LEVERAGE 「Above The Beyond」'21
北欧フィンランド産正統派6人組HMバンドLEVERAGEの再結成第二弾5thアルバムが去年の8月末にリリースされていたが、国内盤が出るかな? ひょっとして来日記念盤でボートラ追加盤とか出るかも? とかあらぬ妄想を続け待ちに待って購入を後回しにしまくってたらこんなに購入遅れてしまいました(汗 うーん、前作『Determinus』'19 は国内盤がリリースされたんですが、元々派手さの無い質実剛健な渋いサウンドだったのも災いしたのか、素晴らしいアルバムを届け続けてくれていた彼等も遂に国内盤リリースを見送られてしまった模様だ…(´д⊂) ただ、10年ぶりとなった前復活作でキーボード入りツインギター6人編成の半分のメンツが入れ替わり、合わせて音楽性も変化させ、古き良き正統派HRを継承したオーセンティックな80年代HR要素も兼ね備えつつ、北欧バンドらしい煌びやかなシンセワークを交えた安っぽいポップさと無縁のキャッチーでありながらシンフォ要素を隠し味にした哀愁漂うメロディと、疾走に頼らぬ重厚なハードネスを奏ってた訳ですが、そんな黄金期のSURVIVORを彷彿とさせるフック満載な楽曲と叙情感あるメロディアス具合が素晴らしかった恐るべき完成度のドラマチックな王道正統派メロディアスHRサウンドから、幾分今風のダークなヘヴィさや北欧エピカル・テイストや疾走感を加味したユーロ・モダン・メロディアスHRサウンドへと装いが改まっており、叙情感とオーセンティックな北欧メロディアスHR要素が強まったサウンドが洗練されたプロダクションで巧みに表現され、現在の市場を意識した手堅い一作に仕上がっておりました。 復活作で示した北欧モダンHRな方向性自体は悪くないものの、下手に既にキャリアを築いていた事もあって元からバランス重視で完成度優先の質実剛健なメロディアス・サウンドは、どうしたってデヴューしたばかりのフレッシュな勢いある北欧産新人バンド達の派手で煌びやかなサウンドやルックスと比べると地味に思えてしまい、そういうった事もあって本作の国内盤が見送られてしまったのかもしれない。 大手メジャーと契約しているビッグネーム・バンドならいざ知らず、メロディアス系では名を馳せてはいるもののまだまだワールドワイドな規模のレコード会社と言えないFrontiers Musicレーベル所属な彼等だ、世界中を襲ったパンデミックのダメージが欧州を問わずショービジネス界に暗い影を落とした事も新作リリースに何かしらの影響を与えたのは間違いないだろう… 個人的にも前作のアルバムは出来は悪くないもののそれまでの三作と比べる(それまでが素晴らし過ぎた!)と余りピンと来る内容でなく、単純にメンツ変更が影響したのかも、と普通なら思う所ですが、新ベーシスト Sami Norrbackaはリーダーでギタリストの Tuomas Heikkienが作曲で参加したTHE MAGNIFICENTでもベースを弾いており、そもそも3rdアルバム『Circus Colossus』'09 リリース後にオリジナル・ベーシストの Pekka Lampinenが健康上の理由で脱退した後にヘルプとしてステージで演奏に参加していたのだから10年を経てサポート要員から正式メンバーに昇格したLEVERAGEファンにはお馴染みなプレイヤーであり、看板フロントマン Pekka Heinoに代わって前作から参加した、HEARTPLAYやSAPPHIRE EYES等に参加し北欧メロハー系バンドをチェックされている方やAOR系バンドに詳しい方なら良くご存じだろう、そのJOURNEYの Steve Perryを彷彿とさせるクリアーなハイトーン・ヴォイスが知られる元URBAN TALEの Kimo Blomは、前任者の太く逞しい中音域をメインとした歌唱スタイルと声質や方向性が違うものの負けず劣らずの優れた歌唱スキルを持つヴォーカリストなのは周知の事実なので、無論好みはあるかもしれないが再結成作でもその幅広い音域を誇る素晴らしい歌唱と彼にしては珍しいアグレッシヴでダーティな歌声も披露して新風をバンドに持ち込んで尽力していたのは確でありました。 となると、Frontiers Recordsお抱えのソングライターでリーダーの Tuomas Heikkienが新たな相棒に選んだ元KIUAS、METAL DE FACTのギタリスト Mikko Salovaaraを迎えて作曲された楽曲の方向性やサウンドにデヴューから解散するまでの音楽性との相違の大きな原因があると考えるのが妥当で、Mikko Salovaaraの持ち込んだ新しい音楽要素や Tuomas Heikkien的にも現在の音楽シーンを鑑みた事や心機一転それまでと違う要素を全面に打ち出した事も復活作のサウンドが大きく変化したのに影響したもかもしれませんね…orz さて、前作から2年ぶりとなる本作ですが、前作で感じた居心地の悪さというかシックリ来なさ具合はさすがに薄れ、新編成なメンバー感のコンビネーションと信頼感もしっかりと構築されたのか、前作での00年代以降に顕著な特徴の無機質でダークなヘヴィさやモダンな感触は薄れ、代わって北欧エピカル・テイストやミステリアスなイメージ、そして美旋律のキャッチーさ具合いも前作より大幅に増し、より叙情感ある北欧エピックメタル・サウンドへ接近した感が強まっており、北欧HRバンドお約束なDEEP PURPLE、RAINBOWを源流とする王道様式美HRテイストやオーセンティックなHR要素(Brian May風ギターはご愛敬w)を前作以上に随所で聴かせる為か、ちょっと聴き Kimo Blomの声質や分厚いコーラス、そして重厚なハモンドが使われた楽曲などは90年代以降のURIAH HEEPっポク聴こえたりして明らかにサウンドの成熟度合や小慣れた感、そして余裕のようなものがサウンド全編から漂っており、解散前までとは行かぬまでもあと一歩の所まで迫る非常に魅力的な北欧メロディアスHR作に仕上がっていて驚かされました(゚∀゚) 解散前はプログレッシヴ・ロックのニュアンスやキャッチーな産業ロック要素も含む完成度の高い奇をてらわぬ北欧正統派モダンHRサウンドな音楽性故に派手さがイマイチでありましたが、再結成以降は意図的にバランスを崩して北欧メロハー系サウンドへ接近した、HRらしい疾走感と北欧らしいエピカルでミステリアスな音楽性(アコースティカルなタッチと北欧らしい寂寞感が今回はミソ!)という分かり易さの増した新基軸サウンドがより市場にストレートに訴求するのは間違いないでしょう。 シンフォニックなフレーバー、オーセンティックな美旋律、爽快で分厚いヴォーカルハーモニー、強力なリズムセクションに乗った力強いリフと豊かなグルーヴ、テクニカルで煩くなり過ぎぬ絶妙な塩梅のアレンジ、それらが渾然一体となって疾走感を伴って突き進むメロディック・ロック・サウンドには重厚さと繊細さを兼ね添えた北欧らしい叙情感とウェットな感触が満ちており、新基軸サウンドの模索が本作でようやく一応の完成の目途がつき試行錯誤を終えた、そんな吹っ切れた様な開放感と自信に満ち溢れたプレイが楽曲からビンビンと伝わってきて実に痛快であります♪(*´ω`*) 個人的には解散前の完成度の高い音楽性の方が独自性があって大変好きだったのですが、本作で示された新たな音楽性であるドラマティックな叙情感と美旋律を堪能出来るオーセンティックな北欧HRサウンドも些か独自性は薄れたものの決して嫌いではない、というか寧ろ大変好ましい方向性ですので、是非この方向性のまま着実に完成度を上げた素晴らしいアルバムを次も届けて欲しいですね。 Track List 01. Starlight 02. Emperor 03. Into The New World 04. Do You Love Me Now 05. Angelica 06. Under His Eye 07. Falling Out Of Grace 08. Galleria 09. Silence LEVERAGE Line-up: Kimo Blom (Lead Vocals) Tuomas Heikkien (Guitars) Mikko Salovaara (Guitars) Sami Norrbacka (Bass) Marko Niskala (Keyboards) Valtteri Revonkorpi (Drums)
by malilion
| 2022-04-16 15:13
| 音楽
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