![]() Robin(Vo&B)と Mats(Ds)のEriksson兄弟を中心とする北欧スウェーデン出身の4人組新世代ハイブリッドHRバンドが約3年ぶりに放つ6thアルバムをちょい遅れてGET! 本作から再びマネジメントを北欧ポップバンドのTHE CARDIGANSやEUROPEの John Norum、同郷先輩バンドH.E.A.T等が所属する『HAGENBURG』に、レコード会社も『Frontiers Music』に移籍しての新作リリースとなっている。 制作メンツは前作と変わらぬ4人でメンバーチェンジの類いは起こっていないのでファンは一安心だ。 また前作からフロントマンの Robin Erikssonが Robin Redへ、Micke Janssonが Mikael Blancという如何にもロッカーらしい芸名へ改名していたのだが本作で再び Robin Erikssonとクレジット(Mikaelの方は新しい芸名のまま)されており、恐らく先頃リリースしたソロアルバムでは Robin Redを名乗っているのでソロ活動の方は Robin Red名義で、バンドの方は本名で、という区別を付ける為に名前を元に戻したものと思われる。ややこしい…(汗 さらに本作最大のトピックは、80年代系サウンドを得意とする新世代のメロハー・バンド達を数多く世に送り出して来た『Frontiers Music』への移籍が影響したのか作風が大きく変わっており、シャープなモダンさとアメリカナイズされた華やかな美旋律を兼ね添えつつ、端々に北欧らしいウェットなメロディ使いやフック、そして細やかなアレンジと艶やかなヴォーカルメロディが実に味わい深く、ドライで作り物臭いUSA産バンド群のサウンドとはひと味もふた味も違うアグレッシヴで骨太な新世代バンドに相応しいハイブリッド・サウンドだった前作から大きくモダンな雰囲気が後退し、代わって所謂80年代風のキャッチーなメロディアス・サウンド要素が大きく全面に押し出され、さらに楽曲のアレンジもよりシンプルでストレートな感触が強い、良く言えばストレートに美旋律を楽しめる親しみやすさが増した、悪く言えば単純化して類型化したオールド・スクールなメロディアスHM的サウンドへと接近した作風となってしまった事だろう。 これまでテクニカルで凝ったアレンジとフック満載なメロディアスな美旋律をハイレベルで融合させた高品質なハイブリッドHRサウンドを披露し孤高の独自性を確立していただけに、今回のよりポピュラリティとストレート度合へバランスを傾けたメロハー路線変更には正直驚きを隠せません。 キャッチーでポップでありながら、ユーロテイスト漂うウェット感と北欧系特有のキラキラしたキーボードと透明感あるメロディ、メインリフでヘヴィに攻めつつサビでは突き抜ける爽快感とフック満点な分厚いコーラスというデビュー時からの方向性は変わる事なく、楽曲の完成度やアレンジの妙、そしてモダンなサウンド造りとバンドが持つ魅力をより一層に磨き上げ、さらにドラマティックさとダイナミックさ迸るサウンドスケールをこれまで一歩一歩弛まぬ努力と挑戦で地道に成長させて来ただけに、何故今さらこの定番メロハー路線を選択したのか、という疑問符ばかり頭に浮かんでしまいます…('A`) 楽曲がコンパクトでストレートになった為か、Daniel Johanssonの弾いていたエモーショナルなギタープレイも派手さは控え目に、バンド結成当初からバンドサウンドの中心として大活躍してきた Micke Janssonが操る鍵盤が紡ぐ涼やかなデジタルパッセージや煌びやかなシンセサウンドも楽曲の雰囲気出しやバッキングパートが増え、リズム隊のプレイも前作のようなメリハリ重視で陰影を生み出すようなアグレッシヴさは弱く、歌を重視した為かボトムを支える控え目な裏方に徹しており、それと代わるように分かり易いキャッチーなコーラスの比重が増し、Robin Erikssonの噛みつかんばかりな激しい熱唱もかなりマイルドで大人しく、穏やかでリラックスした歌声を聴かせるパートが増え、前作で感じた痺れるような魔法の如き眩いマジックを生み出していたスリリングに疾走する新世代ハイブリッドHRサウンドは影を潜めてしまったのが悲しい…orz 無論、散々ネガったのは以前の方向性と聴き比べてでの話で、北欧メロハー作として見た場合は Micke Janssonが操る鍵盤サウンドは煌びやかに楽曲を彩り、Robin Erikssonの余裕ある抜群の歌唱力を活かした深み有る逞しいヴォーカルは上から下まで幅広い音域をカヴァーし楽曲に多彩な表情を与え、Daniel Johanssonのコンパクト且つエモーショナルでなギターはツボを心得た過不足無いプレイでハードエッジを楽曲に与え、北欧HRバンドらしい高揚感と爽快感がバランスの取れたメロディを瑞々しく輝かせており、よりメジャーな展開を目論むのに相応しい計算された美旋律とガッチリとコンポーズされたキャチーなコーラスが満載なその新基軸サウンドは一般的な音楽ファンにも訴求しそうなのは確かだろう。 確かに楽曲がシンプルでストレートになったので聴き易くなったし、爽快なコーラスの使い方を含めて歌メロと美旋律の良さにフォーカスされた楽曲形態は完成度も高く終始心地良いのだが、前作までで聴けた灰汁の強さが失せマイルドで一般的になったサウンドにはおよそキラーソングと呼べるような一聴しただけで心を鷲掴みにされる衝撃は乏しく、このバンドならではの強烈な個性が薄れてしまったように思えて残念でならない。 とは言え、インディで好き勝手やってれば良いというアンダーグラウンドで自己満足的な活動ではなく、よりメジャーな市場でのブレイクと活動範囲の拡大を目論んでの今回の路線変更でしょうから、レーベルからのプレッシャーもあったのでしょうし、この度の彼等の選択を責める気にもなれないんですが…(´A`)ウーン 願わくば彼等の望んだ通りに、より一般的な聴衆の耳に彼等の作品が届き、さらなるメジャーな活動への展望が開ける事を願って今後の活躍を期待しておきます。 Track List: 01. Into The Fire 02. Higher 03. Feed The Lie 04. Radio 05. Are You Ready 06. Burning 07. Falling Down 08. Lost In Paradise 09. Turn Back 10. We Will Win 11. Desire 12. Falling Down (Acoustic Version) DEGREED Line-up: Robin Eriksson (Lead Vocals、Bass) Daniel Johansson (Guitars、Backing Vocals) Mikael Blanc (Keyboards、Backing Vocals、Programming) Mats Eriksson (Drums、Percussion、Backing Vocals、Programming)
by malilion
| 2022-04-10 22:12
| 音楽
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