人気ブログランキング | 話題のタグを見る

デンマークの期待の新星 H.E.R.O.が2年振りに3rdアルバムをリリース!

デンマークの期待の新星 H.E.R.O.が2年振りに3rdアルバムをリリース!_c0072376_16314168.jpgH.E.R.O. 「Alternate Realities」'22

本国デンマークよりここ日本での注目度の方が高いと評されている、デンマーク産ポップ・ロック・バンドが前作から二年ぶりとなる3rdをリリースしたのをちょい遅れてGET!

フロントマンの Christoffer Stjerneが語る所によると、意図的にメタリックなサウンド・アプローチを本作では試みたらしいが、以前よりも確かにヘヴィなリフとラウドに歪んだギター・サウンドがフィーチャーされたオルタナティヴロック・スタイルの楽曲がモダンなタッチで描かれ、パンデミックの影響を受けてダークになった気持ちと Christoffer Stjerneの宗教絡みのディープでパーソナルな体験を反映したシリアスな歌詞と良くマッチしている。

アルバムは全体的にダークでヘヴィなトーンとモダンなプロダクションにまとめられており、キャッチーでもハッピーでもないポスト・ハードコア風だったり典型的なエモ・バンド風のそのサウンドは、前作の朗らかなポップ・サウンドが好きだった方には少々残念な方向へ進化したのは間違いない。

とは言え、宗教的な対立が引き起こした最愛の家族との関係崩壊と喪失、それに伴う悲しみ、喪失が残した傷、その後の癒しのプロセスという、フロントマン Christoffer Stjerneのパーソナルなストーリーを反映した歌詞には救いと癒しが最終的には語られており、それはアルバムのアートワークである折り紙の鳩(希望、癒し、許しの象徴)が表すように、グ゙ランジー・メタルのような暗い怒りや救いの無い悲しみばかりではないのは、時折現れる甘い歌メロや物憂げな歌声、そしてゆったりとした静寂とウェットで優し気なメロディを聴けば十分に理解出来るだろう。

前作が気に入っていた方なら本作の内容や方向性で少々ガッカリする所もあるでしょうが、明るい話題もしっかりありまして、MEWのベーシスト Johan Wohlertが正式メンバーとして加入し、やっと4人組バンドとしての体制が整ったのは何はともあれ喜ばしいですネ(´∀`)

リズム隊がやっと形成された影響か、本作ではベース・プレイが強調されている箇所やソリッドなリズム隊とハードなギターが絡み合って生み出すラウドなリフは実に重厚で、ポップス、ポスト・ハードコア、オルタナティヴ・ロックが巧くミックスされたドラマチックで劇場型のモダン・ポップロックに前作から引き続きフィーチャーされるユーロ・バンドらしい憂いを帯びたエモーショナルなメロディと近未来的なエレクトロニクスを駆使したデジタル・サウンドが融合したモダン・サウンドの上を、Christoffer Stjerneの多様な表情を見せる伸びやかで繊細なヴォーカルが滔々と流れていく様は相変わらず美しい。

ただ、総じて楽曲の完成度は高いしハイレベルなプロダクションの施されたサウンドは磨き抜かれ洗練されているのだが、自身が意図したようなロックらしい生々しさは余り感じられず、それは前作でも苦言を呈したヴォーカルの比重が大きいミックスや、やたらとヴォーカル・エフェクトがかけられているのが原因で生っぽさが失われている為だと思われ、オルタナティヴやラウンドロックな方向性なのに妙に造りモノっポイ感覚が残るアルバムとなってしまったのは残念だ。

やはり生々しくストレートなロックという方向性にしてはデジタリーでエレクトリックなエフェクト・サウンドが多すぎるように思うし、ダークでヘヴィな部分もあるが最終的にはラジオやメインストリームでのチャートアクションを念頭に置いてソングライティングされている為か中途半端にキャッチーさも顔を出したりして終始違和感を感じてしまうのは問題だろう。

Christoffer Stjerneの語る言葉を信じて熱心なHMファンが本作に手を出すべきではないのは間違いないが、昨今のポピュラー・ミュージック寄りのモダン・ロック好きな方なら問題なく本作を気に入るのかもしれません。

個人的には、どの曲もメロディーは良いと思うけれどちょっとダークに傾き過ぎているし、キャッチーさもイマイチで、その上にロックらしい熱いグルーヴ感が薄いメカニカルな作りモノっぽいリズムワークが、小奇麗で洗練された総じて質の高いサウンドなだけに余計に残念でありました…

やはり看板ヴォーカリストのパーソナルな歌詞に引っ張られた感じで楽曲全体がダクでネガティヴな感情に染まっているイメージが大きかったように思えます。

日本盤CDにはボーナス・トラックが2曲収録され、初回生産限定盤にはデンマーク・コペンハーゲンにて昨年ロックダウン解除後に行われたLIVEの模様を収めたDVDが付属しているので、音源マニアな方は初回限定盤を速やかにGETしておきましょう。

Track list:
01. Gravity
02. Lead The Blind
03. Never Be the Same
04. Oxygen
05. Made To Be Broken
06. Personal
07. Cynical
08. Monster
09. Bring Me Back to Life
10. Heavy Heart
11. Hopeless
12. Is It Me You`re Looking For

H.E.R.O. Line-up:
Christoffer Stjerne   (Vocals & Guitars)
Soren Itenov      (Guitars)
Anders Kirkegaard   (Drums)
Johan Wohlert     (Bass)




by malilion | 2022-04-05 16:32 | 音楽 | Trackback
<< 時代に恵まれなかったUSメロテ... アメリカンCCM系大御所ロック... >>