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80年代風なテイストを感じさせる北欧メロディアスHRバンドTHE RAGGED SAINTSの入手困難だったデヴュー作がボートラ追加でリイシュー!!

80年代風なテイストを感じさせる北欧メロディアスHRバンドTHE RAGGED SAINTSの入手困難だったデヴュー作がボートラ追加でリイシュー!!_c0072376_00044369.jpgTHE RAGGED SAINTS 「The Sound of Breaking Free +1」'21

北欧フィンランドで11年に Tomi Julkunenと Toni Biteのギタリスト2人によって結成されヘルシンキを拠点に活動するツインギター5人組メロディアスHRバンドが2013年にリリースしたデヴュー作が、この度ボーナストラックを1曲追加してLIONS PRIDE Musicよりリイシューされたのでご紹介。

既に20年に煌びやかなキーボードを大々的にフィーチャーしてよりメロディアスで北欧風味が増してキャッチーになった7年ぶりとなる2ndアルバム『Sonic Playground Revisited』をAOR HEAVENからリリースしている彼等は、デヴュー作をリリースしたドイツのプログレHM系レーベルPOWER PROGが閉鎖された為に今まで非常に入手困難な状況だったのだが、9年越しでやっと手軽に本作を入手する事が出来るようになった訳だ。

フロントマンの Markku Kuikkaはフィンランド産プログHMバンドSTATUS MINOR(コッチはLION MUSICと契約してる…ややこしい…)のヴォーカリストでもあり双方のバンドに未だ在籍しているが、知名度の点ではドラマーの Rolf Pilveが北欧メロハーの大ベテランSTRATOVARIUSのメンバーでもあったり、09年アルバムデヴューで17年までに3枚のアルバムをリリースし、そのテクニカル且つ比較的聴きやすいダークなプログHMサウンドが注目を集めているギタリスト Sami Saarinen率いるSTATUS MINORの方が未だ上ながら、アルバムの内容では決して引けを取らぬTHE RAGGED SAINTSでの Mark Kuikkaのエモーショナルでワイルドなヴォーカルやキャッチーでメロディアスな楽曲にも注目であります。

デヴュー作の入手困難騒動ですが、音楽性的に考えてTHE RAGGED SAINTSの作品はプログレHMレーベルからの十分なプロモもして貰い辛かっただろうし、ユーザーもSTATUS MINOR系統を期待していたのに全く方向性の違うサウンドのアルバムに戸惑っただろうから、結果的にメロハー専門レーベルのLIONS PRIDE Musicからのリイシューとなって初めて作り手と聴き手の思惑がマッチした状況になったと言えるのではないでしょうか?

勿論、自身の能力に関係なく出だしでコケたのはバンドにとっていただけない状況だったでしょうけど…('A`)

さて、デヴュー作時の彼等のサウンドはと言うと、明らかに80年代から脈々と続く欧州型メロディアスHRサウンドをベースにしているが別に伝統的サウンドだけに拘っている訳でもなく、WHITESNAKE、BAD HABIT、PRETTY MAIDS等の英国や欧州、そして米国で80年代から90年代初頭頃までに活躍したキャッチーなHRバンド達からも幅広い影響を受けつつ、さらにモダンで活気のあるプロダクションを付け加えて単なるリヴァイバル・サウンドや80年代パロディでない独自色の強いストレートでパワフルな素直に格好良い骨太なロック・サウンドを披露していました。

古き良き欧州型メロディックHRサウンドに、メタリックでハードなHM要素やナスティでグラムなUSロックンロール・フィール、渇いたカントリー・サウンドやアーシーなブルーズは勿論、隠し味にAORテイストまでもをまぶした、一癖も二癖々もある複雑なバックボーンを伺わせるサウンドと、太くパワフルな歌声(David Coverdaleと John Corabiを足して二で割った風な声質)を轟かす Mark Kuikkaの熱くエモーショナルなヴォーカル、そしてツボを心得たワイルドなツイン・ギターのスリリングな絡みを基軸に妙な小細工無しにグイグイと楽曲が展開していく様の格好良いのなんの、演奏レベルの高さも相まってデヴュー作にして既に堂々の風格さえ漂わす期待度満点なアルバムだっただけに、レーベル絡みのアクシデントに巻き込まれたのが残念でなりません…(´д⊂)

シンプルながらパンチの効いたクリスプなリフ、パワフルでソリッドなリズムセクション、目立たぬがしっかり楽曲を引き立てるキーボード・アレンジ、メロディックなフックと活きの良いシンガロングを伴って軽快に鳴きまくるリードギター、それらを従えるのはブルーズが似合いそうな渋く男臭い中音域メインの伸びやかなディープ・ヴォイスと効果的でキャッチーなバッキング・ヴォーカル・アレンジに支えられた耳を惹く歌メロの数々を確かめるまでもなく、THE RAGGED SAINTSのメンバー達は長年アンダーグラウンド・シーンで切磋琢磨し鍛え抜かれた猛者揃いなのは明白で、勢い任せに思えてその実緻密なアレンジと堅実でオーガニックな演奏は、昨日今日に結成された若手バンドに望むべくもない成熟具合と確かな可能性を示していたと今さらながらに確信するのですが、だからこそ2ndアルバムをリリースするのに7年もの時間を要する事になってしまったのが悔やまれます。

そして、久しぶりの2ndで洗練度とキャッチーさ、さらにAOR度とメロハー感を大きくアップしたリラックスした甘口サウンドへガラリと変化してしまった訳なんですが、もしこの空白期間がなければ1stの流れを汲むソリッドで男臭い硬派なロック・アルバムをもう数枚制作してくれていたのでは、とあらぬ妄想が尽きませんネ…

また今回追加されたボーナストラック『No More Crying In The Rain』は、ミッドテンポの軽快なギターリフで押しまくる甘美なツイン・リードが聴ける楽曲でアルバムに収録されていても少しもおかしくない中々の佳曲ですので、今となっては貴重なオリジナル盤をお持ちの方でも本作に手をだしても決して損はしない音源だと言えましょう。

北欧メロハー要素とアメリカンHR要素を巧くMIXさせた、骨太でスリリングな80年代風ワイルド・サウンド好きな方にお薦めな彼等のデヴュー作ですので、もしご興味あるようでしたら一度チェックしてみて下さい。

もし完成度が高くブライトで北欧甘口メロハーな2nd(Mark Kuikkaが力みを抜いてポップスみたいに軽やかに歌ってる違和感が…)がお好きな方には本作は少々渋くワイルド過ぎるかもしれないので、手を出す前に音源等のチェックをネットでしてからの購入検討をお薦めします。

個人的には断然2ndアルバムの方が好み(ダーティなロックンロール系バンドみたいな猥雑なイメージのジャケはミスマッチだと思うけど‥)ではありますが、本作の方向性も捨てがたい、そんな素直に格好良い硬派なメロディアスHRサウンドなんですよねぇ~(゚∀゚)

Track list:
01. The Sound Of Breaking Free
02. A Place Where I Belong
03. Don't Let Me Go
04. I'll Never Give Up On Love
05. Love Won't Fade Away
06. We Are The Same
07. While The World Is Burning
08. New Beginnings
09. Never Walk Away
10. Before Time Goes By
11. The End
12. No More Crying In The Rain

THE RAGGED SAINTS Line-up:
Markku Kuikka  (Lead Vocals)
Tomi Julkunen  (Guitars)
Toni Bite     (Guitars)
Jukka Hoffren   (Bass)
Miikki Kunttu   (Drums)

with:
Haerri Petjakko  Keyboards、E-Bow、Rhythm Guitars & Excellent Guitar Solo on Track 4
Jarno Hannien   Keyboards on Track 7
Olavi Tikka     Backing Vocals
Pasi Rantanen   Backing Vocals

因みに本作でも陰の功労者として大活躍している鍵盤奏者の Haerri Petjakkoとバッキングシンガ-の Pasi Rantanenは2ndにも参加しており、本作にも増してアルバム制作に貢献している。

by malilion | 2022-03-14 00:05 | 音楽 | Trackback
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