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オランダのポンプからシンフォへ進化したベテラン・バンドTIMELOCKが新編成で14年振りに再始動作リリース!!

オランダのポンプからシンフォへ進化したベテラン・バンドTIMELOCKが新編成で14年振りに再始動作リリース!!_c0072376_17233767.jpgTIMELOCK 「Sygn Yn」'22

以前ここでもご紹介した元YWISのメンバー等が90年代初頭に立ち上げたオランダのポンプ・バンドTIMELOCKが、前作『Buildings』'08 から13年ぶりの復活作EP『...STAY AWAKE..』'21 リリースに続いて遂に14年振りとなるフルアルバム5thをリリースしたのを即GET!

1985年にオランダHaagseでTHE LAST DETAILとして結成され、改名、発展を経て92年にユーロ・ポンプの総本山レーベルSI MUSICからアルバム・デビューした彼等の詳しい歴史は以前の4th紹介文をチェックしていただくとして、長い長いインターバルの果てに復活した彼等は当然のように前作とメンバーが変わっており、不動のフロントマンでバンド創設者の一人である Ruud Stoker(Lead Vocals)と同じく創設者の一人で元YWISのメンバーであった Julian Driessen(Keyboards、Synthesizer)の中心人物二人は変わらず在籍しているものの、デヴュー作から前作まで長きに渡り参加していたオリジナル・ベーシストの Bert de Bruijneの名は無く、新たなベーシストとして David Guurinkを迎え、さらに3rd『Circle of Deception』'02まで在籍し、前作『Buildings』'08では脱退していたギタリスト Martin Hendriksが十数年ぶりにバンドに復帰し、さらに『Circle of Deception』制作時ヘルプで叩いた Rob Boshuijzenを正式ドラマーとし、もう一人の新たなキーボーディスト Arjen van den Boschをオーケストラル・キーボーダー&アレンジャーとして迎え、その上に Coby van Oorschotと Laura Eradusという二人の女性バッキング・ヴォーカリストをバンドの正式メンバーとした大所帯8人編成のツインキーボード・バンドとして再始動し、久しぶりのアルバムを届けてくれた!('(゚∀゚∩

なんだかんだとこれまでアルバム制作に関わった復帰組が居て彼等のファンには嬉しい本作なんですが、個人的に初期のバンドサウンドのカラーを決定付けていた重要メンバーで元YWISのメンバーでもあったギタリストの Rinus Hollenberg(Guitars、Keyboards、Drum Programming、Vocals)の名前が無いのが悲しいですが、もう彼は随分前にバンドから離脱しているので再びTIMELOCKへ戻って来る事はもう無いのでしょうネ…(´д⊂)

EPリリースの時のインタヴューで Ruud Stokerが語った、3rd『Circle of Deception』リリース後にバンドは活動停止状態だったという事実や、4th『Buildings』は元々TIMELOCKの作品ではなく Ruud Stoker主導の別バンド名義で制作されていたが結局レーベルの意向でTIMELOCKのアルバムとしてリリースされる事になった経緯や、そういった不本意な制作過程な為か『Buildings』の仕上がりや完成度の低い楽曲に満足していない凡庸な作品だという彼の考えや、『Buildings』リリース後に盟友 Julian Driessenが長らくバンドの本拠地であったHaagseからDeventerへ引っ越したり、オリジナル・ベーシストの Bert de Bruijneと『Buildings』から加入したギタリスト Ronald DemiltがTHE MISSING LINKという別バンドで音楽的にTIMELOCKと別方向の活動をしだした為にバンドはバラバラになり終焉を迎えた事や、その為に完全に音楽から足を洗いヨガのインストラクター(!?)として新たな生活をしていた事や、長らくマイクを手放していた為にすっかり喉が錆ついていたが奥方の長年の励ましでバンド活動に前向きになり再び Julian Driessenと組んでバンドを再始動させた事等々、『Buildings』以降彼等の動向が全く聞こえて来なかった事もあって色々と衝撃的な新事実の連続に驚かされっぱなしでした。

00年以降メジャー・シーンはグランジーの闇に覆われていた訳ですし、80年代からの流れを汲むキャッチーなメロディアス・ロックバンド達やプログレの流れを汲むポンプ・バンド群の活動も当然キビシイものがあったでしょうから『Circle of Deception』を最後にそのアルバムの出来栄えとは無関係にバンドが解散していてもおかしくなかったんでしょうが、ゴタゴタの末にリリースした『Buildings』がイマイチな出来からのバンド消滅と余り良いとは言えぬ終焉の迎え方だったにも関わらず今回こうして再びTIMELOCKとして新譜を届けてくれた事をまずは祝いたいですね。

また、EP『...STAY AWAKE..』制作時に既に本作の楽曲は制作されており、18分越えの大曲1曲を含む80分以上のダブル・アルバムをリリースするよりもアルバム全体のカラーとして今一つマッチしていない比較的コンパクトな楽曲(それでも5分以上…)を先にEPでリリースする事にしたという事で、本作収録のアルバム・ヴァージョンとヴァージョン違いなEPタイトル・トラックの『Stay Awake [Single Edit] 』以外のアルバム未収録3曲を含むEPも本作『Sygn Yn』の一部と言える音源ですので、彼等のファンは確実に入手しておくべき音源と言えましょう。

EP収録曲を抜いた本アルバムの方が纏まりが良いのは分るが、個人的には初期のカラーが幾分か感じられるしポップでキャッチーさが際立っていたり、フィメール・ヴォーカルのフィーチャー具合が多い毛色の変わった曲なんかも含むEP収録曲を入れた方が楽曲の幅的にもアルバムによりメリハリが生まれたと思うのですが、そこは完成度とアルバムをトータルに見た時の仕上がり具合にバンドが重きを置いたのでしょうから仕方がないですね…

さて、内容についてですが、前作の時点で初期のSAGAやRUSHを思わせるメロディやサウンドの断片も伺える、Ruud Stokerの甘く伸びやかなヴォーカルを活かしたフックある歌メロを主軸に展開するキャッチーでクリスプな80年代風味のあるメロディアス・ポンプ・サウンドから完全に00年代風のシンフォ系サウンドへの脱却を果たしていた訳ですが、続く本作も軒並み6分台以上の長さの楽曲や6パートから成る18分以上の組曲を収録している事やVRゴーグルと思しきアイテムを頭部に装着している人物のジャケやデジタル処理された内ジャケ、歌詞カードにサイバーなイメージのフォトをあしらっている事からも察せられる通り同一路線上と言えるモダン・シンフォサウンドで構成されているのは間違いない。

Coby女史と Laura女史により補強されたヴォーカル・パートの分厚く壮大な男女混成コーラスや Ruud Stokerが『自分達のサウンドにオーケストラの豊かさを加えたかった』と語るNIGHTWISHのような欧州シンフォニックHMからの影響が露わな重厚なオーケストレーションを加えたサウンド・フォームや、Julian Driessenの操るスケール感ある煌びやかなキーボードワークをツイン・キーボード編成で構築するなどしてダークでメランコリックな美旋律とデジタリーでモダンなタッチを巧みに取り込んだ、これまでリリースしてきたアルバムの良さはそのままに、よりハードでモダンなエッジを加えた新鮮なフィーリングも感じさせる新生TIMELOCKサウンドを提示し、前作の不振と長い長いインターバルが嘘のように見事なシンフォ・サウンド作に仕上げる事に成功している。

あ、初のツイン・キーボード体制やフィメール・バッキング・ヴォーカリスト達が迎えられた事ばかり注目しがちでしたが、復帰した Martin Hendriksも控えめだった『Buildings』時とは打って変わってソリッドでエキサイティングなギター・プレイやスリリングで魅力的なソロ・プレイで自己主張しつつバンドにしっかりと貢献しており、英国ポンプの雄 PENDRAGONや同郷新世代テクニカル・シンフォバンドの KNIGHT AREAを彷彿とさせるパワフルでドライヴ感あるシンフォニック・サウンド要素をバンドに持ち込んでいる重要な演奏者となっているので『ツイン・キーボード体制だから鍵盤サウンドばっかりになって退屈にサウンドになったに違いない』と思われた初期からの彼等のファンな方はご安心を。

また、そのメロディアスでリリカルなサウンドとは裏腹に、TVや多くのメディアによって押し付けられた意見や価値観で二極化した社会の中で他人を尊重する事を説いたり、古典的なテーマの『神と悪魔』を曲中で対話させてみたり、全体的にダークな雰囲気が漂う歌詞が綴られているが、中でも最後に収められている大曲『大隠蔽物語』はタイトルもさることながら、ギリシアの有名音楽家 Vangelisが作曲したサントラ『Blade Runner』っポイ雰囲気が漂う重厚でSFチックなシンセサウンドの上で『政治家や犯罪者はチャンスを逃さず、見識の無さを隠すのに忙しく、お前の金を奪うだけ...』と、権力と金に支配された現在の社会と政治体制を批判的に歌い上げ、最後に“この曲は『政治的に抑圧された全ての人々に捧げる』”とシニカルに締めくくるなど、ファンタジックで夢想的な物語を語りがちなシンフォ系バンドとしてはシリアスでヘヴィな内容を語っている Ruud Stoker渾身の力作だ。

個人的には初期のSAGAやRUSHを彷彿とさせるコンパクトな楽曲のキャッチーさやテクニカルな如何にも70年代プログレの影響大な派手で分かり易い80年代ポンプ・サウンドの方が好みではあるものの、スケール感や楽曲の完成度や独創性は間違いなく現在の方が高いのは明らかだし、インディ・シンフォ系あるあるの少々マッタリした展開の楽曲には少々苦言も呈したいが、初期の爽快感や透明感が後退し、変わって太く逞しくなって説得力と渋みが増した Ruud Stokerのヴォーカルは長らく歌って居なかったのが信じられないくらい見事な歌いっプリなので、オランダ産バンドらしい叙情感あるメロディや70年代オランダ・プログレ・シーンを代表するバンドの一つKAYAKを思わせる幻想色を湛えたファンタジックで壮大なキーボード主導サウンドなど、今となっては珍しくなった80~90年代ポンプを継承するキャリア30年超えのベテランらしい深みある荘厳なシンフォ・サウンドを今後も更に発展させて届けて欲しいものです。

そうそう、まだリリース・インフォを確認出来ていないが、Ruud Stokerが言うには『これまでのアルバムを全てリマスターしたBOXセットをリリースするよ』との事なので、これまで彼等の音源を入手しそこねて来たポンプ&シンフォ好きな方には朗報だろう。

ただし、1stのリマスターは打ち込みのドラム・パートを本物のドラマーによるプレイに差し替えたりはしない模様なので、ちょっとソコだけは残念かなぁ、というBOXになりそうではありますが…(汗

Tracklist:
01. Moving Landscapes
02. Stay Awake
03. Everlasting
04. The Devils Hour
05. Heart of Mine
06. The Great Cover Up Story. Pt. 1 Time Slips Away
07. The Great Cover Up Story. Pt. 2 War of Words
08. The Great Cover Up Story. Pt. 3 Revolution
09. The Great Cover Up Story. Pt. 4 The Glimpse
10. The Great Cover Up Story. Pt. 5 Footprints in the Sand
11. The Great Cover Up Story. Pt. 6 Sole Survivor


TIMELOCK Line-up:
Ruud Stoker      (Lead Vocals)
Julian Driessen      (Keyboards & Synthesizer)
Martin Hendriks     (Lead & Rhythm Guitars)
David Guurink     (Bass)
Rob Boshuijzen     (Drums)
Arjen van den Bosch  (Orchestral Keyboards)
Coby van Oorschot   (Backing Vocals)
Laura Eradus      (Backing Vocals)

With:
Eline Ossevoort / Vocals (Track 3)
Nino Thomas   / Grunts (Track 4)



by malilion | 2022-02-25 17:23 | 音楽 | Trackback
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