Michael Schinkel's ETERNAL FLAME 「Gravitation」'21
ドイツ人ギタリスト兼ヴォーカリストの Michael Schinkel率いるキーボード入り4人組ネオクラシカルHMバンドETERNAL FLAMEが前作から3年ぶりとなる4thをリリースしたので即GET! 93年にドイツで結成され、99年にETERNAL FLAME名義のデヴュー作『Desire』をリリースし、当時は国内盤もリリースされB級マイナー作であったものの日本人好みなそのマイナー調のメロディアス・サウンドがその筋では好評を博したと記憶しているので、意外に彼等のデヴュー作を所有しているネオクラHMマニアな方は多くおられるかもしれない。 しかし、残念ながら続く02年リリースの2nd『King Of The King』は前作に劣らぬマニア受けする内容であったからか国内盤リリースは見送られ、その後長らく彼等の活動について伝わって来なかったが、2018年に突如として復活して Michael Schinkel's ETERNAL FLAME名義で約16年ぶりとなる3rd『Smoke on the Mountain』をリリースし、往年のYngwieフォロワー系ネオクラHMファンを歓喜に沸かせた Michael Schinkelが久々の新譜を届けてくれた。 前作はスウェーデン出身で幅広いジャンルで活躍するヴォーカリスト Goran Edmanやアメリカ人ヴォーカリスト Mark Boalsという元 Yngwie Malmsteen Bandのフロントマン達をゲストに迎えつつ、デヴュー作参加のベーシスト Tom Kellyのみ復帰しているだけで他メンツは一新されていた訳だが、本作はドラムスのみ Michael Henckyから Tommy Wagnerへチェンジしており、1st、2ndでは露骨な YngwieフォロワーなギタープレイやRAINBOWっぽいメロディ、そしてほんのり北欧HMのEUROPEやTALISMANを思わせる透明感のある音楽性をMIXしたマイナー調の美旋律が堪らないネオクラシカルHMサウンドが、Yngwieフォロワーなギタープレイはそのままに欧州HMは元よりアメリカン・ロック等の新しい要素を含む長いキャリアに相応しく幅広いジャンルを消化し自らの血肉としたユーロHMサウンドへ反映させた音楽性の進化を見せた訳だが、続く本作でも Goran Edmanと Mark Boalsの二人をゲストに迎え、音楽性にも大きな変化はなく、よりコンパクトでフックあるメロディが心地よい、モダンにヘヴィに進化したダークなネオクラシカルHMを聴かせてくれている(*´∀`*) ちょっとサウンドがヘヴィでモダンになったと言えど、宗家 Yngwiが酷い完成度と劣悪な音でボロボロな手癖アルバムをリリースし続けて人気がすっかり凋落してしまった昨今、メジャー・シーンではとっくに絶滅しインディ・シーンでさえ珍しいネオクラシカルHMスタイルのサウンドを届けてくれるバンドが今も活動中だなんて、ソレ系のファンな諸兄は感涙にむせんでいる事でしょうネ(w しかも、Goran Edmanと Mark Boalsの二人がネオクラシカルHMサウンドをバックにその抜群の歌唱スキルを披露してくれるんだから、文句がある訳ありません!(゚∀゚) デヴュー当時の赤面してしまうくらいモロに Yngwie Malmsteenサウンドと奔放なギタープレイが今となっては懐かしいですが、本家 Yngwie Bandと違ってリードヴォーカリストも兼ねていたのが幸いしたのか Michael Schinkelは元々楽曲全体のバランスを考慮したプレイを心掛けていたし、RAINBOW風のキーボードやギターフレーズが活かされたマイナー調のネオクラシカルHMサウンドは奇をてらった所が無く、楽曲自体はオーソドックスな如何にも欧州的なマイナー調のメロディと劇的さを併せ持つ佳曲を聴かせてくれていたので、復活してからのより音楽性の幅が広がって小洒落たアレンジとポップさやキャッチーさが増したモダン・ユーロHMサウンドは、別段驚くような変化でもなく順当な音楽性の進化を示していると言えましょう。 それにしても経年のせいか、デヴュー当時のミドルレンジ主体な時はSAXONの Biff Byfordっポイ歌声で、ここぞという所でハイトーンを絞りだす Michael Schinkelの若々しくも勢い任せで不安定さを感じさせたヴォーカルが、ググッと渋さと伸びやかさを増していて、ハイトーンを聴かせるパートは減ったがその分メロディアスでセンスあるアレンジが活かされた楽曲のキャッチーな歌メロを以前に比べ随分上手く歌いこなすその力強いヴォーカルを聴くに、実は未だに Yngwi風なフレーズやリフを連発する彼の流麗なギター・テクより彼のヴォーカル・スキルの進化の程が本バンドの評価をこの先左右する最大の鍵になるのではないかと思えて来ます。 そして復活してから参加したキーボーディスト Helmut Kohlpaintnerの操る楽曲を華やかに彩るシンセを中心とした鍵盤サウンドが、目立たないけれどさりげなく実に良い働きぶりをしており、このバンドはデヴュー作参加のキーボーディスト Ferdinand Jamitzkyも2ndのキーボーディスト Thomas Streckも、同様に主役である Michael Schinkelの派手でテクニカルなギター・サウンドとヴォーカルをスポイルしないツボを心得たプレイを心掛けているのが分ります。 まぁ、バンドのボスで顔でもある Michael Schinkelの紡ぐ魅力的なメロディーやプレイの邪魔になるような演奏をしても変えさせられてた、という線も捨てきれませんが(笑)少なくともこの手のネオクラ系の派手なプレイが得意なキーボーディストがよく聴かせる自身のプレイヤー・スキルを誇るような長く複雑なソロ・キーボードパートは無く、あっても様式美HMお約束のギターとキーボードの長い絡みのあるユニゾンや短いソロ・パートのみで、総じて自分の立ち位置を弁えた楽曲の完成度を上げるプレイを心掛けているのは好印象ですね。 プロモ・クリップで Michael Schinkelと Tom Kellyがリードヴォーカル・パートを分けあって歌う三期DEEP PURPLEみたいなツイン・ヴォーカル体制を見せちょっと驚かされましたが、確かに Yngwie風の激しいアクションをしながらヴォーカルを一人で歌いきるのはキツイ仕事でしょうから、ベーシストとヴォーカルを分け合うのはLIVEでの喉の負担を考えても上手い方法かもしれません。 決してAクラスのハイクオリティな楽曲だとかメジャー・クラスの高品質サウンドと言えませんし、オリジナリティ云々と言った問題や革新的な音楽的な冒険を挑んで居る訳でもありませんのでそういった点が気になる方にはお薦めしかねますが、Yngwie Malmsteenからの影響がモロに分かる Michael Schinkelのマイナー調のテクニカルな早弾きギターが冴え渡る80年代風モダン・ネオクラシカルHMや様式美HMのRAINBOW、初期EUROPEや初期TALISMAN等の透明感ある北欧HMサウンドがお好きな方なら一度チェックしても決して損はしない、そんな一作であります。 Michael Schinkel's ETERNAL FLAME Musicians: Michael Schinkel (Lead Vocals、Guitars) Thomas Keller (Bass、Vocals) Helmut Kohlpaintner (keyboards、Backing Vocals) Tommy Wagner (Drums、Backing Vocals)
by malilion
| 2021-11-25 20:30
| 音楽
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