![]() 英国シンフォ・バンドDARWIN'S RADIOの元フロントマンで、英国モダン・シンフォの急先鋒FROST*のリードヴォーカルとしても活躍し、現在は脱退してソロ活動と並行しTHRESHOLDの Richard West(Keyboards、Vocals)、元PAIN OF SALVATIONで現DARKWATERの Simon Andersson(Guitars、Bass、Programming、Keyboards)とのプロジェクト・バンドAUDIOPLASTIKやオランダのポンプバンドDILEMMAの復活作等で活動する英国人ヴォーカリスト兼ギタリストによる前作『Book of Secrets』から5年振りとなる4thがリリースされたのを少々遅れてGETしたのでご紹介。 最近のトレンドに倣ってか英国でのロックダウンを背景にしたコンセプト・アルバムとなっており、その影響もあってか前作まで欧州を股に掛けた多国籍なメンバー達をバックに迎えてアルバムは制作されていたが今回はほぼ英国人ミュージシャン達でバックは固められており、AUDIOPLASTIK、KAYAKの Kristoffer Gildenlow(Bass)、DILEMMAの Robin Z.(Keyboards)、元PENDRAGONで現SHADOWKEEPの Scott Higham(Drums)、COSMOGRAFの Robin Armstrong(Vocals、Guitars、Bass、Keyboards)等の名だたる実力派ミュージシャン達を迎え制作された英Gravity Dream Music移籍第一弾作となっている。 決してハッピーと言い難いパンデミックが題材である本作のサウンドは、前作にも増して重くウネるリズムの上で奔放に暴れ回るヘヴィでノイジーなダウンチューニングされたギターをフィーチャーしつつ、Dec Burkeの伸びやかで力強く歌い上げるヴォーカル・メロディは意外な程にキャッチーで滑らかで、ギタリストのソロ作なので当然なのだが裏方的な使われ方に徹したシンセ類でモダンな味付けとアレンジが成され、ハードでダークな翳りを帯びた哀愁と叙情性のあるバックのサウンドとの対比が鮮やかで目を見張るものがあるテクニカル且つソリッドでタイトなHR風サウンドを繰り広げており、待たされた甲斐のある期待以上の充実作だ('(゚∀゚∩ 無論、時折センチメンタルでメランコリックな如何にも英国人ミュージシャンらしいメロディが顔を出したり、初期のようなFROST*的なドラマチックなシンフォ風味も飛び出すなど、これまで築いてきたシンフォ&プログレ系ミュージシャンとしてのキャリアに裏打ちされた多様な音楽要素が本作を只のダークでヘヴィなだけの無味乾燥としたコンセプト作にしておらず、カラフル且つダイナミックな楽曲は Dec Burkeのエモーショナルなギターに導かれながら、現在の社会環境の変化を反映した想いや示唆を含んだメッセージを綴りながらエネルギッシュにテクニカルに終始展開していく。 と、ここまでは文句なく素晴らしいユーロ・シンフォ・ロックとキャッチーな歌モノ・サウンドが合致したモダンな英国HRサウンドがコンパクトにコンポーズされた本作なのですが、前作がソリッドでパンチ力あるクリアサウンドへ変化した要因はミックスがGALAHADやソロ活動の Lee Abrahamとマスタリングがプログレメタル系でお馴染みなTHRESHOLDの Karl Groomの手によるものだった訳ですが、今回は Dec Burke自身の手によるプロデュースの元で英国マルチ・ミュージシャンでGravity Dream Musicレーベルを主宰する Robin Armstrongによってミックスとマスタリングが行われており、その影響でか幾分抜けの悪い篭り気味な音の悪いアルバムとなってしまっているのだけは少々残念であります…まぁ、レーベル・オーナーには逆らえないよなぁ…(汗 個人的には Dec Burkeの穏やかで甘い声質と歌い上げるナイーヴな歌唱スタイルは、パワフルでソリッドな硬質のロックサウンドに完全にアジャストしているとは言い難いので、もうちょい初期ソロ作のようなシンフォ風味が多い方が彼の歌声の魅力を十二分に発揮出来ると思うのだが、彼はギタリストでもあるのでプレイヤーとしてのスキルや影響を受けて来たギター主導な英国ロック的なアプローチの発露、そしてソロ作なんだから自由に思う存分ギターを弾き倒したい、という当然の欲求(楽し気にピロピロと弾きまくってんだよなぁ)を満たす形でここ最近のユーロ・シンフォ風味ありなモダンHR路線だろうから、自身の歌声とギタリストとしての欲求の折り合いをつけるのが難しいのかもしれませんねぇ… 喪失感、希望、興奮、そして無限に続く広告や物質主義に溺れた現代社会への批判等をテーマに扱った重苦しいコンセプトなアルバムではありますがヘヴィでダーク一辺倒なんて事はなく、いつものように感傷的でリリカルなアコギの爪弾きや、ウェットで物悲しいピアノやストリングス等を加えたシンフォニックなパートも織り混ぜつつ、洗練された雰囲気が漂うドラマチックでキャッチーな歌物メロディック・モダンHRサウンドを展開しているので、本作に参加しているメンツの名前に惹かれた方や Dec Burkeが参加しているバンドのファンの方でも十分に楽しめる一作なのは間違いありませんのでご安心を(*´ω` *) パワフルなギターを中心としたサウンドに、モダン・シンフォ・ロックの要素をふんだんに盛り込みつつ、穏やかで滑らかなヴォーカルと、高揚感のあるハーモニー、エレガントなキーボード、そしてスタイリッシュなリズムセクションが織り成すサウンドスケープは実にレベルの高いプロフェッショナルな完成度を示していますので、ユーロ・シンフォ風味のあるダークなUKモダンHRサウンドをお好みの方は、是非一度チェックしてみて下さい。 Musicians: Dec Burke (Eelectric & Acoustic Guitars、Keyboards、Lead & Backing Vocals) Scott Higham (Drums、Percussion:exPENDRAGON、SHADOWKEEP) Reiner Siemens (Bass) Guilherme Aguilar (Bass、Cello) Kristoffer Gildenlow (Bass:exPAIN OF SALVATION、AUDIOPLASTIK、KAYAK) Robin Z. (Piano、Artwork:DILEMMA) Robin Armstrong (Mixing、Mastering、Backing Vocals、Keyboards、Bass:COSMOGRAF、etc...)
by malilion
| 2021-11-22 14:49
| 音楽
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