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英国ポンプ・バンドGALAHADのオフ・シュート・プロジェクトの第三弾が前作から一年ぶりに早くも登場!!

英国ポンプ・バンドGALAHADのオフ・シュート・プロジェクトの第三弾が前作から一年ぶりに早くも登場!!_c0072376_23225851.jpgGALAHAD ELECTRIC COMPANY 「Soul Therapy」'21

英国第二世代ポンプ勢の筆頭バンドGALAHADのオフ・シュート・プロジェクトによる3ndアルバムが本人達も“予期せぬ事態”により思いの他早くにリリースされたのを少々遅れてGETしたのでご紹介。

前作に引き続きGALAHADのキーボーディスト Dean Bakerとヴォーカリスト Stuart Nicholsonの二人によるプロジェクト体制でのスタジオ・プロジェクト・アルバムとなっている。

前作までエレクトロニックでデジタリーな音像を駆使したサウンド造りを全面に押し出した、アンビエントでシネマティックなサウンドを聴かせつつもGALAHAD本体が持つ幻想風なシンセやメロトロン系鍵盤サウンドを随所で導入し、冷ややかなデジタリー・サウンドでありながら英国風な陰影のクッキリした叙情感あるメロディが際立つ、シンフォニックな上にダンサンブルな打ち込みを多用したサウンドが交差した特異な個性の実験作という赴きが強い作風だった本GALAHAD派生プロジェクトであったが、今回はタイトルにもある通りフロントマン Stuart Nicholsonが母親を5年間の闘病生活の後、2020年11月にリンパ腫の癌で亡くした事を発端とする、怒り、悲しみ等への“癒し”をテーマにしたセラピー作と言え、終始 Stuart Nicholsonのエモーショナルなヴォーカルに焦点をしぼった楽曲は当然のようにヴォーカル・オリエンテッド志向な創りとなっており、英国人アーティストらしいウェットな叙情感とメランコリックなメロディを主軸に据えつつ冷ややかなアンビエント&エレクトロ・サウンドで移り変わる Stuart Nicholsonの心情を克明に描き出している。

冷めた無機質なデジタリー・サウンドを主軸にする本プロジェクト作に合わせてか前作まで幾分か感情を抑え気味に淡々と歌っていた Stuart Nicholsonだが、本作で垣間見える生々しい感情剥き出しなエモーショナルなヴォーカルは、哀愁に満ちた怒り、途方もないフラストレーション、渦巻く心痛、深い悲しみ、癒しへの渇望、達観した諦めの情感、遠い過去の想い出など、内省的で密やかな Stuart Nicholsonの内面を赤裸々に描き出しており、デリケートな美旋律と情感豊かな Stuart Nicholsonの声音がデジタリーで浮遊感あるサウンドと融合し、聴き手の感情を激しく揺さぶる非常に悲しくエモーショナルな一作なのは間違いない。

抑えきれぬ感情が漏れ出すような悲し気な歌声と残響感ある物悲しいエコーのかかったピアノの音に、なんとも言えず胸をしめつけられてしまいます…

ヴォーカルにバランスを置いた創り故か、前作ほどバックのサウンドは煩く自己主張していないし、これまでに比べアッサリ目なアレンジだったりと、エレクトロニックでデジタリーな音像の作品としては少々食い足りない感が無いでもないが、7曲の新曲と、前作『When The Battle Is Over」』に入りきらなかったレコーディング・セッションで残された4曲で構成された本隊バンドGALAHADが持つ叙情的なモダン・シンフォ風味も随所で感じさせる、創造力と共感力に優れた Dean Bakerが適切なサウンドトラックとアレンジを施したアンビエント&エレクトロニック・サウンドの力作に仕上がっているので、前作までのデジタリー・サウンド・ファンな方もGALAHADファンな方も本作を無視するには惜しい一枚と言えましょう。

限定で前作に続き本作もカラー・ヴァイナルがリリースされる模様なので、マニアな方はLP盤の方もチェックお忘れなく。


Track List:
01. Therapy
02. All That Glitters
03. Gone to Ground
04. Fluidity
05. The Living Ghost
06. Everywhere I Look
07. Monster in the Dark
08. When Darkness Comes
09. I Cannot Forgive You
10. Muted Expectations
11. A Belly Full of Stones

GALAHAD ELECTRIC COMPANY:Line-up
Dean Baker     (Lead & Backing Vocals、Soundbites、Words)
Stuart Nicholson   (Synthesizers、Sampling、Arrangements、Orchestration、Programming)



by malilion | 2021-11-21 23:23 | 音楽 | Trackback
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