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怒濤の勢いで遂に新世代イタリアン・プログレバンドの頂へ手をかけた SYNDONEが期待の新作をリリース!!

怒濤の勢いで遂に新世代イタリアン・プログレバンドの頂へ手をかけた SYNDONEが期待の新作をリリース!!_c0072376_03352804.jpgSYNDONE 「Kama Sutra」'21

前作『Mysoginia』'18で70年代の古典プログレ・バンド群と肩を並べるレベルへ到達し、現在のイタリアン・プログレッシヴ・シーンで堂々の存在感を示すイタリアはトリノを拠点に活動する彼等の、復活後第6弾にして通算8枚目となる前作より3年ぶりの新譜が国内盤でリリースされたので即GET!

唯一のオリジナル・メンバーでリーダー、そして作曲とキーボードを担当する Nick Comoglio率いるSYNDONEは結成当時からのバンド・コンセプトであるツイン・キーボードを主軸に、華麗かつ技巧的な70年代プログレ・リスペクトと言える重厚なシンフォニック・ロックを復活後には展開し、今やヴェテランと呼ばれる域に達した彼等が前作までのイタリア・プログレッシヴ・ロックならではの伝統を受け継いだ濃密にして情熱的なテクニカル・サウンドを、更なるスケール感アップと音楽性の進化を推し進めて再び素晴らしい傑作を届けてくれた。

残念な事に前作でやっと6人組バンドのメンツが安定したかと安心したのも束の間、再びメンバーチェンジが勃発した模様で、メロディ楽器奏者の4人は変わりないがリズム隊がゴッソリと入れ替わっており、Maurino Dellacquaに代わって Simone Rubinatoなる新ベーシストに、Martino Malacridaに代わって Eddy Francoなる新ドラマーが新たに迎えられ、リズム隊の若返りが図られている。

Simone Rubinatoはベース講師やデモンストレーターだけでなく、フロントマンの Riccardo RuggeriとTHE JGGなるプロジェクトでも活動を共にしている模様なので、その人脈で本作に招かれたのだろう。

Eddy Francoは今流行りのオンライン・ミュージシャンでインターネット上のミュージシャン派遣会社に所属し、世界中から依頼を受けてドラムの音入れをする、という今の時代ならではの活動をするフットワークの軽いドラマーと言う事で、果たして短期間の参加なのか、しっかりバンドに腰を落ち着けるのか不明な点が少々不安が残る所であります。

復活してからはリズム隊は常にゲストを迎える形態でアルバムを制作していた期間の方が長いので元に戻ったとも言えるかもしれないが、ファンとしては出来る事ならばリズム隊も安定して欲しい所ですよね…(汗

さて、待望の新作はタイトルを見ても分る通り、聖書と同様に評価が高く世界的に有名で『アナンガ・ランガ』『ラティラハスヤ』と並んでインド3大性典の一つとされ、その中で最も重要とされる紀元2世紀に古代インドで記された最古の経典『カーマスートラ』をメイン・コンセプトに据えてアルバムが制作されている。

SEX指南書としてばかり有名な『カーマスートラ』だが、実際はSEXに関する箇所は7部35章に渡って書かれた全文の極一部でしかなく、その殆どは一般的な愛や求愛と結婚、そして妻に対して等々の実生活を通しての男女の愛の有り方や、異性への好意の示し方などもっと大きなカテゴリーで『愛』を語っており、当然本作にはLAメタル・バンドお得意な下世話で猥雑なエロティック&ポルノ要素メインではない、“生き方”として語られる性行為と自己満足に終わる現代社会のそれとの差を比較すると同時に“人間への生命の愛”を説く経典に即したシリアスなテーマが綴られており、タイトルから来る卑猥なイメージで要らぬ誤解などせぬよう御注意されたい。

注目はこれまでイタリア語で歌詞を歌ってきた Riccardo Ruggeriが本作では初めて英語で歌詞を歌っており、これはよりワールドワイドでの活動を見据えた変更なのか、中々に興味深い変化と言えるのではないだろうか?

復活作以来、巻き舌でのイタリア語歌唱だけ聴いてきたからかちょっと Riccardo Ruggeriのヴォーカルに違和感を覚えるものの、いつも以上にパワフルな太く芯の強い歌声は、アルバムコンセプトを表現する為か、優しく穏やかなアプローチから、ちょっとエロティックで気怠げなイメージや、芝居じみたヒステリックなもの、お得意の優美に歌い上げるオペラチックなものからロックらしい荒々しく伸びやかなスタイルまで、実に多彩で幅広い歌唱スキルを披露しており、多様な内容を十二分に表現しきっているのは流石の力量でしょう。

バックのサウンドもメロトロン、ハモンド、ムーグ、ピアノ等の多種多彩なヴィンテージ・キーボードを駆使したツイン・キーボードサウンドが内省的で芸術性の高い繊細なSYNDONE定番サウンドを織り成しながら、ロックらしい疾走感あるハモンドの荒々しく歪んだプレイやスリリングなリズムアプローチ、新たなバンドの特色となったヴィブラフォンをフィーチャーしたJAZZっぽい音使いや、コンセプトの『カーマスートラ』を思い起させるインド風味マシマシなシタールの音色を随所で挿入してみせるだけでなく、前作でも参加の Francesco Zagoが指揮するBudapest Scoring Symphonic Orchestraが紡ぐ重厚で艶やかな本物のストリング・サウンドがアーティスティックなエネルギーをダイナミックに提供し、けれどもコンセプト故な重厚でシリアス一辺倒でない軽やかでユーモラスなパートもあって初期のような胸焼けするような押しつけがましい濃厚さは抑えつつ、物語を読み進めるように優美でクラシカルな雰囲気やロマンティックでミステリアスな雰囲気漂う美旋律で次々と映画サントラの様に色とりどりに楽曲を染め上げドラマチックに展開していく様は正に圧巻だ。

70年代イタリアン・プログレ・バンド達に共通していたダークで混沌としたシンフォニック・サウンドと、パワフルでストレートな押しを強調したモダンでテクニカルなハーモニクスを融合させた、新世代イタリアン・プログレ筆頭と言えるバンドの孤高の音楽性を新たな側面から描き出したプログレッシブで魅力的な傑作なのは間違いない。

引き続き本作も多くのゲスト奏者を招いているが、中でも注目は元VAN DER GRAAF GENERATOR、現KAPREKAR'S CONSTANTの David Jackson(Saxophone)と、故Greg Lakeに一目置かれMANTICOREから作品をリリースするなど注目を集めるイタリアの歌姫でソロ活動も活発な Annie Barbazza(Vocals)らが参加している事だろう。

相変わらず密度の高い重厚で鮮烈なサウンドですが、重厚であればある程にフッと訪れるピアノの軽やかな独奏やクラシカルな味わい深い音色を紡ぐ様が本当に美しく、ゲスト参加のブタペスト管弦交響楽団の艶やかなストリングス・サウンドも相まって、キーボードサウンド・ファンやイタリアン・プログレファンは勿論のことモダン・シンフォ好きな方にも至福の時を提供する事間違いなしな、大変な力作でありますので是非に一度ご自分の耳で本作をチェックしてみて下さい(*´∀`*)

因みに国内盤のみボーナストラック1曲追加で、オリジナル・イタリア盤は初回500枚限定ゴールド・ディスク仕様となっておりますので、マニアな方はそちらもチェックお忘れなく。

Band Line-up:
Nick Comoglio     (Hammond、Moog、Juno dist、Mellotron、Composition、Orchestration、Backing Vocals)
Riccardo Ruggeri    (Lead vocals、Overtone Siging、Composition、Backing Vocals)
Marta Caldara     (Vibraphone、timpani、Composition)
Gigi Rivetti       (Hammond、Acoustic Grand Piano、Electric Piano、Wah clavinet、Composition)
Simone Rubinato    (Bass、Fretless Bass、Minitaur、Composition)
Eddy Franco      (Drums、Percussion)

With:
Riccardo Di Ggiani   (sitar)
David Jackson     (Saxophone)
Annie Barbazza    (Vocals)
Gianluca Cagnani   (Pipc Organ)
Vincent Boniface    (Crystal Flute)
Claudio Adamo    (Baritone Electric Guitar)
Andrea Manco    (Flute)
Luigi Finetto      (Oboe)
Luigi Picatto      (Clarinet)

And:
Budapest Scoring Symphonic Orchestra、Conducted by Francesco Zago



by malilion | 2021-09-21 03:35 | 音楽 | Trackback
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