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70年代、80年代、90年代初頭の影響モロ! なノスタルジックでレトロな“新しい”デジタル・ポップロック・ユニット LeBROCKのデヴュー・フルアルバムをご紹介!

70年代、80年代、90年代初頭の影響モロ! なノスタルジックでレトロな“新しい”デジタル・ポップロック・ユニット LeBROCKのデヴュー・フルアルバムをご紹介!_c0072376_18403625.jpgLe BROCK 「Fuse」'21

英国を拠点とするシンセウェイブの旗手、シンセ・ロック・デュオ LeBrockが待望のデヴュー・フル・アルバムをインディ・レトロ・シンセサイザー・レーベル FiXT Neonから6月半ばにリリースしていたのを現物を今頃に入手出来たのでご紹介。

今巷で盛り上がりを見せている“新しい”音楽ジャンルであるシンセウェイブ界隈では既に名の知れた Michael Meadowsと Shaun Phillipsの若き英国人コンビによるユニットで、本作リリース前に既に2作のEP『Action and Romance』'16『Real Thing』'18に加え6枚のシングルをデジタル・リリースしているので、流行に敏感な音楽ファンやこの手のデジタルル系ミュージック・ファンならばデヴューから数年経ている彼等のサウンドを既に耳にしている方が殆どだろう。

まぁ、メロハー系やヘヴィ・ロック系ファンにとっては、シンセ・メインな音楽形態故に余り馴染み無い作風ではありますが、その80年代に強烈にインスパイアされたビートとエフェクトを前面に押し出したモダン・サウンドは、コンテンポラリー・ロック、シンセサイザー・ポップ、AORを完璧にブレンドさせつつ、70年代ロックと80年代アクション映画のサウンドトラック・メドレーの間を行き来しながら時折90年代ポップロック要素を散りばめ、ユーロ圏ユニットらしいウェットな歌メロをメインに感情的な歌詞を織り交ぜてユニークなサウンドスケープを構築する中々に魅力的なサウンドで、メロディアス・ロック好きならば『シンセウェイブとか言う80年代リバイバルの軽いレトロ・ポップ・サウンドになんて興味ないネ』と無視するには余りにも惜しい存在であります。

フックあるキャッチーで爽快なヴォーカル、伸びやかでクリアーなギター、煌びやかで多彩なシンセサイザー、そしてギンギンに彩度の高いメロディで埋め尽くされたノスタルジックながら瑞々しい感性が光るポップロック・サウンドが耳に飛び込んで来る為か、ちょっと80年代~90年代初期の北欧メロハーっぽく聴こえたりして、軽めでシンセメインなメロディアス・ポップロックやAORもイケるというような方になら一度チェックして頂いても決してその期待を裏切らぬだろう、そんな溌剌としたブリリアントなポップソングが目白押しでキャッチーでメロディアスな音楽好きならば小躍りする事間違いなしな素敵な彼等のデヴュー・フルアルバムだ♪(≧Д≦)

意図的に80年代ポップスのニュアンスを再構築して楽曲のそこかしこでレトロ・テイストを漂わせつつも決して80年代UKポップのようなダンサンブルなだけの路線に逃げず、映画サントラなどの新しい要素を付け加えつつロックらしい躍動感をしっかり保ったサウンドを展開している点が、90年代末期頃からちょくちょく出現して今でもアンダーグラウンドでシーンを形成する80年代メロディアス・サウンドの焼き直しリバイバル群とは一味違うアプローチとなっており、メロディの運び方や小気味よいアレンジなどに今の音楽ユニット作らしいモダンさがしっかりと伺える点も、彼等が単なるノスタルジック・サウンドを焼き直ししているだけの懐メロ・バンド的な存在でない証左と言えよう。

長らくメジャー・シーンを席捲していた陰鬱で殺伐とした00年代モダン・ヘヴィネス・サウンドへの反動であるかのように、どこまでも軽やかに弾み、ストレートに爽快で、屈託なくキャッチーに、明るくポジティヴなエレクトロニック・サウンドが、透明感ある歌メロとコンパクトで完璧にコンポーズされた楽曲の上を舞い踊る如く伸びやかにダイナミックに展開していく刺激的な様は、80年代レトロ・シンセやAOR、産業ロックの味付けや90年代前半のロックが宿していたインスピレーションが濃厚に感じられ、実によく耳に馴染んでずーっと彼等のアルバムを聴いていられる、そんな安心感と幸福感が堪らんのです。ハイ(*´∀`*)

強烈な衝動を掻き立てるファストでダイハードなヘヴィ・ロック作や、緻密に計算され尽くしたワインの様な深味ある産業ロック作ではないけれど、彼等のアルバムを聴くと『夏の夜に窓を開けて無心にドライブしながら、どこかに向かって車を走らせたくなる』と海外では評されて(夜景メインなアルバムジャケの影響も大きいだろうけど)おり、まさしくそんなイメージにピッタリなまったり楽しめるメロディアスでキャッチーなサウンドであります。

まぁ、シンセ主導な楽曲形態なのと伸びやかなヴォーカル(地声が荒れているパートが多々あって、ちょいワイルドに聴こえるのも高ポイント)なもののシャウトは一切せず、またミドルレンジ主体の歌唱という事もあってヴォーカルパートだけに耳を傾けるとかなりポップ寄りなアプローチで、ロックの熱く生っぽいフィーリングやエモーショナルなサウンドの激突、そして剥き出しの感情の昂りなんかを求めている向きには、少々オサレな造られ過ぎの固くレンジの狭いサウンド(打ち込み故かリズムアプローチが少々単調)に聴こえてしまって向かないだろうとは思いますが、メロディアスなサウンドという点では文句無しに素晴らしいので、一度チェックしても損ではありませんよ?

シンセウェイブ好きな方に今さら語る事もないのですが、ロック系ファンの方に言いたいのは、プログレ系ミュージシャンとしてだけでなくポップ・ヒットメイカーとして80年代初期から第一線で活動を続ける Geoff Downesが英国人シンガー Chris Braideと組んだUKポップ・ユニットDOWNES BRAIDE ASSOCIATIONや、ドラマや映画、ゲームのサントラ制作にコンスタントに参加してきたシカゴ出身のアメリカ人シンガー&ソングライター Jordan Coxと、自身のメロハー・バンドPALACEをはじめ多くのプロジェクトや他アーティストとのコラボレーションでも活躍する北欧スウェーデン人マルチ・インストゥルメンタリスト Michael Palaceによるシンセウェイヴ・ユニットPLATFORMSのアルバムなんかが気に入った方なら間違いなく本作も気に入るだろう、そんなメロハー寄りなシンセウェイヴ作の一枚でホントお薦めです(゚∀゚)

Track Listing:
01. All Or Nothing 3:49
02. Heartstrings 3:09
03. Interstellar 4:28
04. Hollow 4:35
05. Bright Lights 4:13
06. Hangin' On 3:01
07. Takes All Night 3:21
08. Synthetic 4:07
09. In Time 3:46
10. Rush 4:02
11. Takes All Night (Dance With The Dead Remix) 4:27

Le BROCK Line-Up
Shaun Phillips     (Lead Vocals、Lyrics)
Michael Meadows   (Guitar Synths、Programming)


by malilion | 2021-09-04 18:40 | 音楽 | Trackback
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