![]() Rolandミュージックスクールセンター校に指導講師として参加したり、大阪音楽大学短期大学部でエレクトロニックミュージック・プロダクション講師も務め、ゲーム音楽やイベント、TV番組用テーマ、CM音楽等も手掛け、大阪を拠点にプロフェッショナルな活動を続ける女性作曲家&ピアニスト 安斎ゆう子女史が結成した、6人組シンフォニック・ロック系リーダー・プロジェクト・バンドのデヴュー・アルバムが5月末に自主盤でリリースされたのを遅れて今頃にGET! “2021年、混沌とした この空の下 止まった時間と 失われた尊厳を取り戻すための旅が、今 始まる。 求めるのは 光差す場所。St.Claire の奏でる物語。” 作曲家・ピアニスト 安斎ゆう子が率いるプログレッシブロックバンド ~St.Claire~ ファンタスティックにシアトリカルに描き出す、クレアの物語。 『クレアは 君、 クレアは わたし』 との事だが、YESやTHE FLOWER KINGSを愛聴するという安斎ゆう子女史の嗜好やゲームミュージック等からのインスパイアもあるのか、音楽講師も務める関西を中心に活動するメンバー等が奏でるテクニカルでダイナミックな楽曲構成や聴き応え十分なアンサンブルと堅実なプレイに裏打ちされた本作は、欧米のシンフォ系バンドと明らかに毛色の違う音を鳴らしており、ワールド・ミュージック的要素やヴァイオリン奏者を擁する事もあってかブラジルの至宝 SAGRADO CORACAO DA TERRAっぽいフィーリングが全編に漂っている感が強く、『SAGRADOっぽいサウンドらしいよ』という紹介に誘われた自分のような人間にとって、本作はなかなかの掘り出し物でありました(´∀`) 英詞混じりでなく日本語だけで力強く語られていく歌詞は、どこかポジティヴな感触のあるメロディアスでシンフォニックなファンタジック・サウンドに乗りながらシリアスでシアトリカルなストーリーが描き出されていく為か、プログレ系にありがちな夢想的で楽天的な感触を与えぬ為に少々重苦しく感じられるパートも垣間見え、艶やかで優美なヴァイオリンの音色と軽やかに鳴り響く鍵盤サウンドが主導する麗しい美旋律の数々が綴るサウンドと幾分かギャップのようなものを感じるが、シンフォ一辺倒でないハードエッジで硬質なギターが斬り込んでくるパートやワールド・ミュージックやラテン風なパーカッション、コーラス・アレンジや音色の使われ方等にお手本バンドであるユーロ・プログレ系バンド等に無い独特なオリジナリティが感じられ、壮大な世界観のファンタジックなシンフォ・サウンド路線なれどユーロ系やラテン系シンフォ・バンドに薄い硬質な感触がピリリとアルバムを引き締めているイメージが聴き終えると残る、近年のジャパニーズ・プログレッシヴ・シーンでも屈指の力作なのは間違いない。 フィメール・ヴォーカルが苦手な自分でありますが、Kikoこと中田幾子女史の太くパワフルで伸びやかなヴォーカルはこの手のシンフォ作にお約束の無表情で薄っぺらなソプラノ・ヴォーカルで無い事もあって実に耳に馴染みよく、冒険譚のように進む日本語歌詞オンリーなストーリーを語る上でちょっと言葉がメロディに乗り切れていないように感じる瞬間があるものの総じて文句無いハイレベルなもので、さすが音大で講師をなさっているだけある堂々としたヴォーカル・パフォーマンスと言えましょう。 90年代から数々のバンドへギタリストとして参加し、自身のロックバンドFOREST MOUTHで活動する 森口 英次氏も現在は音楽学校でギター講師も務めており、ヤマハでドラム・インストラクターを務める傍ら、NOVELAのリーダー 平山照継率いるプログレッシヴ・ロックバンドTERU'S SYMPHONIAでも叩いている 疋田砂生氏や関西を中心に数々のプログレ・バンドのアルバム制作にベーシストとして参加し、現在はインスト・プログレ・トリオ荘園、プログレッシヴ・ハード・バンドALL IMAGES BLAZINGでも活躍する 藤井博章氏と、バックのメンツは何れ名うての凄腕プレイヤーばかりで、彼等のハイレベルでテクニカルなプレイを目当てに本作に手を出してみても決して損はしないだろう。 また本作で一番華やかに活躍しているのがヴァイオリン奏者の 富永彩花女史で、国立大学生として歯学医療を学ぶ傍ら、大学の学生オーケストラで音楽の研鑽に励む若きヴァイオリン・プレイヤーで、その艶やかでエモーショナルなプレイと紡ぎ出す音色が実に魅力的で本作の出来映えを一二割増しにする活躍をしていると思うのです、ハイ。 個人的には『CURVED AIRのクラシカルな優美さ+KING CRIMSONのダイナミズム』なサウンドと評されるヴァイオリニスト 藤本美樹女史率いるFANTASMAGORIAとまた系統の違う艶やかで美しい旋律を紡ぐ 富永彩花女史の今後の活躍に期待大であります(*´ω`*) 全体的にちょっとヴォーカルが前に出すぎているように感じ、もうちょいスケール感のあるサウンド造りが成されていたなら欧米のシンフォ・バンドにも少しも引けを取らぬアルバムになったように思えるのですが、現状ちょっとこじんまりしたサウンドにまとまってしまっているのが残念なものの、デヴュー自主盤にあーだこーだ細かい文句言い出してもはじまらないので、その点は次作で改善される事を期待しておきましょう。 St.Claire LINE-UP: 安斎ゆう子 (Composer、Arranger、Keyboards) Kiko(中田幾子) (Vocals) 富永彩花 (Violin) 森口 英次 (Guitar、Tiple、Chorus) 藤井博章 (Bass、Fretless Bass、Chorus) 疋田砂生 (Drums)
by malilion
| 2021-08-22 14:50
| 音楽
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