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USAシンガー Jordan Coxとスウェーデン人マルチ・インストゥルメンタリスト Michael Palaceがシンセウェイヴ・プロジェクトのデヴュー作をリリース!

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PLATFORMS 「The Future That Never Happened」'20

2015年頃からドラマや映画、ゲームのサントラ制作にコンスタントに参加してきたシカゴ出身のアメリカ人シンガー&ソングライター Jordan Coxと、自身のメロハー・バンドPALACEをはじめ多くのプロジェクトや他アーティストとのコラボレーションでも活躍する北欧スウェーデン人マルチ・インストゥルメンタリスト Michael Palaceによるシンセウェイヴ(シンセポップ&AOR)プロジェクトが20年にデジタル配信オンリーでリリースしたデヴュー作が、今回2021年に500枚限定でCD化され発売されたので即GTE!

なんだか80年代前半に流行ったアーバンテイストでシャレオツなデジタル・ポップスのアルバムみたいなジャケですが、これがそのイメージまんまな音が飛び出して来て笑ってしまった(w

プログレ系ミュージシャンとしてだけでなくポップ・ヒットメイカーとして80年代初期から第一線で活動を続ける Geoff Downesが、英国人シンガー Chris Braideと組んだUKポップ・ユニットDOWNES BRAIDE ASSOCIATIONもそうだが、これから80年代風エレ・ポップが流行りでもするんですかね? 何かそういうブームが来てるん?

本作のサウンドを聴いて『なぁんだ懐古趣味なアルバムか』と思った貴方、実はですね最近の音楽ファンはこのとっくの昔に廃れてメジャーシーンで息絶えた80年代風エレポップを『Synthwave』という新しいジャンル(!?)として認識し、ジワジワ巷で人気が出てきているらしいんですヨ Σ(゚д゚ ) マジデ!?

『シンセウェイヴってなんぞ?』と、思われるロック・ファンやメロハー・ファンな方も多と思いますが、大雑把に言って『The Terminator』『Blade Runner』『Escape From L.A』『Transformers』等の名作映画のサウンドトラックに、シンセポップ、ニューウェーヴ、ディスコ、ハウス、ファンクなどのクラブミュージック要素を加え、さらにU2やSIMPLE MINDSのような壮大なスタジアムロック要素をMIXした、『King Fury』のような映画や『Stranger Things』のようなTVドラマを通じて近年急激にユーザーを獲得している、新鮮でレトロ、現代的でありながら革新的な新しいエレクトロ・ポップ・ミュージックの事を指している、らしい(汗

まぁ、昔から欧米のポップスやロックを聴いてきた方には少しも新しいと思えないディスコなテイストも入り交じるノスタルジックな80年代風エレポップに聴こえるでしょうが、やはり『新ジャンル』と呼ばれるだけあって80年代当時のエレポップが内包していなかった音楽要素がふんだんに散りばめられたシンセウェイヴなる新たなモダン・サウンドは、80年代に英国を騒がせたプログレに対するポンプの登場のように思えて、確かに“新しい”サウンドなのだ。

本双頭プロジェクトの主役でフロントマンの Jordan Coxは、Adam Young(OWL CITY)、Chris Martin(COLDPLAY)、Bono(U2)、Jim Kerr(SIMPLE MINDS)などの超メジャー・シンガー達を彷彿とさせるミドルレンジ主体のポップス的な歌唱スタイル(非シャウト)と穏やかで滑らかな歌声が心地よいシンガーで、デジタル処理された無機質で冷ややかなヴォイスでUKダンス系ッポイ歌唱を見せたり、ファンキーなサウンドになった時のファルセットや歌声がちょっと Adam Levine(MAROON5)っポク聴こえたりと、幅広い楽曲に合わせて様々な表情を見せながら情感タップリに伸びやかにエモーショナルに歌い上げる歌唱スキルはかなりのもので、ともかく売れ筋な良い声をしているのは間違いない。

本プロジェクトのサウンドを一手に引き受け、プロデュースまでこなしてマルチ・インストゥルメンタリストの面目躍如な Michael PalaceはAOR&メロハー・ファンにはお馴染みなアーティストで、自身がフロントマンを務めるバンドPALACEデヴュー前にカナダが誇るメロハー・バンドHAREM SCAREMのフロントマン Harry Hessを中心とするFrontiers主導のプロジェクトバンドFIRST SIGNALにギタリスト兼ベーシストとして参加したのを皮切りに、CRY OF DAWNやKRYPTONITEにギタリスト兼ベーシストとして参加、Toby Hitchcockのソングライター兼ギタープレイヤーとしての参加と様々なプロジェクトで名を売り、とFrontiers Recordsのレーベルオーナー Daniel Floresの肝いりでデヴューした彼ですが今回は一切歌声を披露せず、クラシックな80年代のシンセポップ、80年代メロディアス・ロック、モダンポップスなどを織り交ぜたシンセポップ要素とスタジアム・ロックのエッセンスを忍ばせたキャッチーな要素が組み合わさったコンパクトでシンプルなシンセウェイヴ・サウンドを、細かなアレンジを交えて隅々まで構築している手腕とミュージシャンとしての先見性は流石の一言に尽きるだろう。

メロディアスで非常にキャッチーな心地よい本作のエレポップ・サウンドを乱暴に例えると、PET SHOP BOYS × GLASS TIGER × THE 1975 ÷ 80年代アリーナ・ロック + ちょい北欧フレーバー=PLATFORMSと、言ったイメージで、デジタリーで煌びやかなシンセをメインにしつつ、時にEDMの如くメカニカルでダンサブルに、時にTHE DOOBIE BROTHERSっぽくソウルでファンキーに、U2を思わせるヴォーカル・メロディに乗せて、SIMPLE MINDSのムードを漂わす楽曲に、E.L.Oっぽい楽曲展開やコーラスが絡みながら、FLASH DANCEを思わせるサントラっぽいフィーリングが素敵なパワーポップを形作りつつ、時折キレのあるHR風なギターが飛び込んで来たかと思えばシャレオツでムーディなサックスが響いたり、イギリスの80年代の Blue-eyed soul風な雰囲気を漂わせたかと思えば Michael JacksonsやBANANARAMAを彷彿とさせる80年代にMTVでヘヴィ・ローテーションされていた楽曲で聴けた弾むようなシンセ・ベースがエネルギッシュに暴れまわったり、と次から次に懐かしのサウンドやメロディや音楽要素が千変万化に楽曲を彩りながら飛び出してくる、様々なスタイルや影響を受けた独特の音楽的融合物全てが今風なモダン・サウンドへリモデリングされた、聴いていて古いのか新しいのか奇妙な感覚に囚われるノスタルジックだけど新鮮で“ド”キャッチーの糞ポップな楽しい楽しいアルバムだ(゚∀゚)

しかし、アルバムタイトルの『叶わなかった未来』って、もしグランジー・ブームが起きなかったらきっと今頃もっと先進的なテクノロジーを駆使したキャッチーでメロディアスで華やかでバブリーなサウンドがメジャー・シーンの流行りになっていたに違いない、っていうジョークなのか皮肉なのか(w

Michael Palaceの新たなプロジェクトとは言え、HMやHR、そしてメロハー・ファンには些かジャンル違いなアルバムではあると思うが、幅広い音楽的興味をお持ちの方やポップでキャッチー、メロディアスで煌びやか、そしてコンパクトな完成度の高い心地よいサウンドがお好みな方ならば必ず気に入ると思う無視するには惜しすぎる一枚ですので、是非一度本作のサウンドをご自身の耳で確かめてみて下さい。

イヤー、頭っから最後まで捨て曲無しでここまでメロディアスでキャッチーな完成度高いサウンドを披露されては、古いだ新しいだ、デジタルだなんだと関係なく諸手を上げて歓迎せざるを得ないでしょう、メロディアス・ミュージック好きとしては(w


by malilion | 2021-08-02 13:11 | 音楽 | Trackback
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