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80年代中期に録音されながら未発のままだったバンドBIG GUNSの音源が発掘&リマスターされ初CD化でリリース!!

80年代中期に録音されながら未発のままだったバンドBIG GUNSの音源が発掘&リマスターされ初CD化でリリース!!_c0072376_20422419.jpgStephen Crane、Duane Sciacqua 「Big Guns」'21

BABY、Glenn Frey BAND等で活動をしたシンガーソングライター&ベーシストで、ロサンゼルス界隈の超・豪華スタジオ・ミュージシャン等が多数参加した84年リリースのソロ・アルバム『Kicks』がAORマニアに有名な Stephen Craneが、元々セッション・ミュージシャンで現在はナッッシュビルでカントリー系ミュージックのスタジオ・エンジニア&プロデュースの他に映画やTV番組のサウンドトラックの作曲などでも活躍する Duane Sciacqua等と85年に結成しながらもアルバムは未発表に終わっていたアメリカンHRバンド(BIG GUNSがバンド名?)のデヴュー作が今回発掘されAOR Heavenからリースされたのを即GET!

Stephen Craneの『Kicks』の直接のフォローアップとして1985年にバンドは結成されたが、同年にUSAエンターテイメント界の重鎮でありマネジメント会社会長である Irving Azoffの退社とそれに伴うMCAレコードの改革で『Kicks』のマーケティングやプロモーションをMCAレコードが行わず、結果的に商業的に失敗作とされ、同様にバンドのプロモーションも行われなかった結果、カルフォルニアのHollywood studioでレコーディングされながらもバンドが消滅した為に長い間忘れ去られていた当時の音源を、先頃『Kicks』がCDリイシューされ好評を博した事で元メンバーの Duane Sciacquaがその存在を思い出して発掘し、2021度リマスターといくつかの再録を行い全10曲入りのフル・アルバムとして完成させたのが本作となっている。

豪華なゲストを迎えた Stephen Craneのソロ作はAOR寄りなサウンドのアルバムであったが、本作はキャッチーなメロディはそのままに、Stephen Craneの太く熱いワイルドなヴォーカルを聴くまでもなくモロに Sammy Hagarに影響を受けた、当時のメジャー・シーン向けなコマーシャル性も保ちつつ豪快にドライヴィングする痛快なアメリカンHR作となっており、こんなに良い出来のアルバムがお蔵入りのまま長らく埃をかぶって眠っていただなんて俄かには信じられません。

結果的にはバンドが消滅した後、Duane Sciacquaは裏方に回って大成功を収め今もミュージックシーンで活躍中なので、彼からすれば成功する前の当時既にそこそこ名の売れていた Stephen Craneと組んだ良い想い出的なバンドとして本作を思い出して音源を完成させてリリースまで漕ぎ付けてくれたのかもしれませんね。

発掘音源の類いではありますが、元々メジャー・レーベル傘下でのレコーディングだったのと参加しているのも当時売り出し中だったスタジオ・ミュージシャン達(TOTOやらEAGLESのメンツもスタジオに居たなら参加して欲しかったなぁ)だし、今や著名スタジオ・エンジニア&プロデューサーである Duane Sciacquaの手によるリマスターと追加録音が成されているので音質的に全く問題なく、つい最近録音された作品と言われても信じてしまうクリアーなサウンドと高品質なプロダクションとなっておりますのでご安心下さい。

ただ、総じてアルバムの出来は良いのですが、Sammy Hagarを彷彿とさせる Stephen Craneのハードでワイルドなヴォーカルが、如何せん劣化コピー風でしかないのがどうしても避けられないマイナス・ポイントとして耳に残り、そもそも荒々しいHRヴォーカリスト的な魂震わす迸るような叫びやカリスマ的な魅力はAOR畑の Stephen Craneから聴こえず、まして感じられもせず、Duane Sciacquaをはじめバックのメンツもソツ無くプロフェッショナルなプレイを繰り広げているのですが、やはりスタジオ・ミュージシャンだからなのかバックバンドという立場故かバランス重視で飛びぬけて個性的なプレイや破天荒な度肝抜くバンドならではのマジックが感じられるスリリングな演奏は見当たらず、『Sammy Hagarッポイ感じがする優等生なHRバンド作』というフォロワー作なイメージから脱却する事が出来なかった一作のように思えます。

もうちょいヴォーカルメロディがポップでスムースなAOR的要素があれば、とか演奏をもっとワイルドさを抑えて爽快コーラスを追加しアーバンテイスト香るシャレオツなAOR風なら、とか Stephen Craneの歌声が活きるバックのメンツの優等生プレイでも十分に売れ線な作風を想像してしまうのですが、結局は当時の彼等が目指していた方向性が豪快なアメリカンHRサウンドだったのが一番の選択ミスだったように思えてなりません…

なんだかんだ言いましたが出来は決して悪くない一作でありますので、Sammy Hagar や Paul Sabu等の音楽がお気に召すようなアメリカンHRファンにはお薦めな一作なのは間違いありませんので、もしご興味あるようでしたら一度チェックしてみて下さい。

Track List:
01. Gangland
02. Crazy In Love
03. Bad Girls
04. Waiting for The Night
05. Love For Sale
06. Touch of Magic
07. Tell Me What You Want
08. Combat Zone
09. I Won't Tell On You
10. Bad Reputation

BIG GUNS Musiciens:
Stephen Crane     (Lead Vocals & Bass)
Duane Sciacqua     (Guitars & Backing Vocals)
Matthew MacKelvie   (Guitars、Keyboards & Backing Vocals)
Paul Daniel       (Drums)


by malilion | 2021-07-29 20:42 | 音楽 | Trackback
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