![]() RATTの Juan Croucierの実弟 Tom Croucier(Roger Romeo's ROMEO、Bobby Dazzler、Vic Vergat、AIR PAVILION、etc...:Bass、Vocals) とREO Speedwagonのドラマー Bryan Hitt(Stan Bush、Jef Scott、etc...) が中心となり80年代初頭に結成され、85年にリリースしたツインギター&ツインキーボード5人組USハードポップ・バンドの唯一作が今回初CD化&デジタル・リマスター、さらに2曲の未発表曲をボーナストラックとして追加しナンバリング1000枚限定(私のは0793でした)でリイシューされた! このバンド結成時は両名とも殆ど無名状態であったが、本バンドの活動を経てそれぞれAIR PAVILIONやREO Speedwagonなど数々のバンドやプロジェクトへ参加する事になる訳なので、今も現役で活動中のミュージシャン(既に Tom Croucierはミュージシャン業から足を洗っている模様)達が有名になる前に成功を夢見て結成し活動していた幻のバンドの発掘レア音源と言う事になるのだろう。 一枚だけアルバムを出して即解散したバンドの音源と聞くと眉を顰める方もおられるだろうが、そもそもがCapitol Records傘下のManhattan Records(この後、EMI Americaと合併し、最終的にCapitol Recordsに吸収)からのリリースに、Richie Zito(HEART、CHEAP TRICK、Eddie Money、etc...)の手によるプロデュースであった事もあってか、そこらのインディ・バンドが残した自主制作盤と違ってプロダクション等含めて本作のサウンドクオリティは断然高く、今回のリイシューでもリマスター効果によってボトムを中心に音量が持ち上がっているが発掘再発盤にありがちな音の歪みやノイズ等は皆無で、今の耳で聴いても少しも見劣りせぬ上質な仕上がりの一枚となっている。 全体的にアメリカンなサウンドと言うより80年代初期ユーロ・ポップス風な感触のウェットなメロディとデジタリー・サウンドがアルバムを満たしており、バブリーでゴージャス、陽気で豪快なアメリカンHMがメジャーシーンを席捲していた当時としては、米国産バンドらしいドライなサウンドではあるもののUSメインストリームのバンドとしては明らかに毛色の違うちょっと古めな路線(そもそも Tom Croucierは80年代初期の David Bowieに強く影響を受けてロックとニューウェーブを融合させたバンド結成を目論む)のサウンドと言えるが、彼等が短命に終ったのはアルバムの出来や内容どうこうでなく『レーベルが強要する音楽的方向性とのギャップや楽業界の政治的な問題等の為に成功から見放された』為らしく、作品の出来がどんなに優れていたとしてもアルバムリリース後にレーベルからのバックアップやプロモーション皆無ではどう足掻こうと本バンドに未来は無かったんですよね…(´д⊂) レーベルはもっとシンプルなアメリカンAORサウンドを求めていたのか、それとも当時流行りの絶頂だったバブリーでゴージャスなUSヘア・メタルなサウンドを求めていたのか今となっては定かではありませんが、仮にそのどちらかを求めていたのだとすると本バンドはレーベル側の求めるサウンドと全くマッチしていなかった事になるんですよね…だったら、なんで契約したんだよ、って思うんですが、まぁ彼等のなかなかイケてるルックスが気に入ったのかも…今もですがより当時はレーベルの言う通りに売れ線な楽曲とサウンドを提供するのが至上だったミュージシャンが大勢居たように思えますし、実際それで莫大な富みを生み出し各国のメジャー・レーベルを栄えさせていた時代でしたからねぇ… この手の80年代メロディアス・ロックバンドのレア盤は、グランジーな時勢の為に知る人ぞ知るなアイテムになりがちですが彼等の場合は世はまさにバブリーで華やか、キャッチーでブライトなアメリカン・ロックがメインストリームを席捲する黄金の80年代中期であった訳ですから、創作と関係ない問題で足を引っ張られ解散しなければ、きっともう二、三枚は出来の良いメロディアスでシャレオツなモダン・サウンドのアルバムをリリースしてくれた事でしょうから本当に残念で仕方がありません。 AOR風なシャレオツでセンスあるフレーズを軽やかに刻むツインギターに英国ニューウェイブっぽいシンセやデジタルサウンドが響くツインキーボードに、ちょいフュージョンっぽいテイストもあるリズム隊が絡むキャッチーでメロディアスな新鋭USハードポップ・バンド、って字面や編成だけ見るとUSプログレ・ハード・バンドっポクなかなか面白そうな音を出しそうなバンドに思えるでしょう? う~ん、今さらながらにインディにドロップしてでも活動存続していて欲しかった今で言うクロスオーヴァー系ポップ・サウンドな変わり種バンドでありました… フロントマンも兼ねる Tom Croucierの通常トーンの声質がCHEAP TRICKの Robin ZanderのロートーンとSAGAの Michael Sadlerのロートーン(歌い方もチョイ似てる)を足して二で割ったイメージなのだが、中域~高域では両者と全く声質が異なっていたり、いきなりHR風なシャウトを聴かせたりと、80年代UKポップス風なメロディ使いとシャレオツなアーバンテイスト漂うバンドのAORサウンドに彼の滑らかなヴォーカルスタイルが所々で些かアジャストしていなかったようにも思えるが、これは個人的なヴォーカリストの歌声に対する趣味の問題も大きいかもしれない。 また、バンドの立ち上げメンツがリズム隊な為か楽曲におけるリズム隊のプレイやサウンドが少々前に出すぎなイメージ(チョッパー・ベースがブリブリうるさいw)もあって、比較的シンプルでキャッチーなポップサウンドなのにソコも少しバンド全体の方向性(フュージョンっぽいリズム隊に感じるから?)とズレが生じていたようにも思えるが、逆にそこが他の凡百のメロディアス系バンドと違う点でもありリズム隊のプレイに興味があるような方にはなかなかテクニカルでセンスあるプレイが楽しめる好盤と言えるだろう。 何れにせよ当時陽の目を見る事がなかった素晴らしい80年代メロディアス・バンドのレア・アイテムが今回こうして限定とはいえ再発されたのは大変喜ばしい事ですので、80年代メロディアスロック・マニアな方は一度チェックしてご自身の耳でその出来の程を確かめてみて下さい。 尚、アルバム・ジャケはオリジナルと今回のリイシュー仕様のニュー・ヴァージョンが選べるリヴァーシブル仕様となっております。 Track List: 01. Phone to Phone02. I Believe in You 03. Angel 04. Non Stop World 05. No One Knows 06. Automatic 07. Trouble 08. For no Reason 09. Situation 10. Life by Night Bonus Tracks: 11. Fade to Blue 12. You and I LIFE BY NIGHT Musiciens: Tom Croucier (Lead Vocals & Bass) Bryan Hitt (Drums & Percussion) Stuart Mathis (Guitars & Backing Vocals) Jeff Naideau (Keyboards & Rhythm Guitar & Backing Vocals) Kevin Anderson (Keyboards & Backing Vocals)
by malilion
| 2021-07-24 18:19
| 音楽
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