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90年代初頭にサンセット・ストリップを沸かしたもののメジャー・デヴューは叶わなかったUSバンドHELTER SKELTERの音源が初CD化!

90年代初頭にサンセット・ストリップを沸かしたもののメジャー・デヴューは叶わなかったUSバンドHELTER SKELTERの音源が初CD化!_c0072376_16462521.jpgHELTER SKELTER 「Sinsational - The Hollywood Stories」'21

メジャー・シーンでの活躍叶わず人知れずその姿を消したマイナー・メロディアス・バンドの発掘再販でマニアには有名なイタリアのSTEELHEART Recordsから、1989年から1991年にかけてカリフォルニア州ハリウッドのサンセット・ストリップで活動していたツインギター4人組アメリカン・ハードポップバンドHELTER SKELTERが、90、91年に録音したデモ6曲とLIVE音源3曲の計9曲のバンドが残した音源全てを集めたコンピレーション・アルバムを、人気のコレクターズシリーズ『Lost US Jewels』の第10弾としてオフィシャル初CD化&Remasteredでリイシューしたので即GET!

L.A.を拠点として活動した彼等はグラム&ヘア・メタルの次なる大物として期待され、Troubadour、Whisky、Roxyなど有名クラブでソールドアウトのギグを重ね、誰もがメジャー・デヴュー目前と予想していたが、92年4月にNIRVANAをはじめとするグランジ/オルタナ・ブームが音楽業界を席巻するなどメジャー・シーンを取り巻く環境は激変し、グランジの波に飲み込まれて敢え無く解散してしまった、80年代末期のインディ・メロディアス・バンドにありがちなストーリーとなっている…orz

80年代末期のメジャーアクト達に忠実に倣った派手でステージ映えする大きく膨らんだ長髪と如何にもな煌びやかな衣装に身を包んだメンバー4人の姿を見るだけでどんなサウンドを奏でるのか予想がつく、当時のステージの様子が伺えるフォトがブックレットに大量に載っており、80年代末期の華やかでバブリー、そして陽気でキャッチーなサウンドと共に、当時の浮足立つような享楽の熱気や悩み少ない日常、そして明るい未来だけが待っていると無邪気に思えた、あの頃の想い出が蘇ってくるかのようであります(w

さて、内容の方はと言うと、インフォではPOISONのポップフィーリングとWHITE LIONのハードサウンドをMIXさせた様なキャッチーなアメリカンHRバンドという事でしたが、ギターも弾くフロントマンの Scott Terrellが甘い声質でWARRANTっポイ伸びやかでフックあるヴォーカルメロディをポップスのように穏やかに歌い上げる、POISONのようなバッドボーイズ・ロックンロール風のダーティでワイルドなフィーリングは希薄な、どちらかと言えば Scott Terrellの線の細い朴訥とした歌声とシャウトしない穏やかなヴォーカル・スタイルに合わせたマッタリとポップなヴォーカルと分厚く爽快なコーラスをメインに、所々でギタリストの Michael Lawrence Leahyが80年代末期らしい派手でテクニカルな速弾きで斬り込んで来るもののWHITE LION的なメタリックでエッジあるHMサウンド風の演奏パートは少な目な、総じてHRと言うよりハードポップと言える朗らかで華やかな、より大衆向けなコンパクトな楽曲とコマーシャル路線を狙ったサウンドと言えるだろう。

個人的にはちょっと Scott Terrellのヴォーカルは甘っタルすぎてパワフルさも余り感じず当時流行りのバブリーなロック向きじゃないと思うのですが、ワイルドなばかりが当時のメインストリームの条件って訳でもなかったので、コレはコレでAORとかに後々接近しやすそうで良い人選だと思ったんですかね? まぁ、その後は無かったんで今さらな話ではありますが…

この後に来るダークで硬質、キャッチーさの無い不愛想で陰鬱な音楽と短髪半ズボン、そして汚い恰好がメインなグランジー・サウンドの正反対な恰好と音楽を演奏していた訳ですから、そりゃあグランジー・ブームを目の当たりにして自分達の音楽が大衆から完全にソッポ向かれたのだと即メンバー達は悟った事でしょうし、その時の今まで自分達が信じて活動して来た音楽やシーンが崩れ去って全否定されたショックたるや計り知れなかった事でしょうネ…(´д⊂)

本作はデモ音源のリマスターとなっておりますが、かなり丁寧なリマスター作業が施されており、デモテープにありがちなヨレやノイズ等は見当たない劣悪なサウンドでは全くない上質な仕上がりで、80年代末期の煌びやかでキャッチーなハードポップ・サウンドがお好みなマニアックな方なら手を出してみても決して損はしない、聞き手によっては強烈なノスタルジックな想いを呼び覚ますだろう一枚だ。

LIVE音源の方も賑やかな歓声の中、恐らくテープでバッキングコーラスを補っているだろうけれども、如何にもクラブ向きなシンプルでストレートなノリ易いアメリカン・ポップロックを和気藹々と演奏しており、特にバタつく訳でもなく下手なプレイでもない、フラットしたり妙なガナリも無い不味いヴォーカルでもない、ちょっと勢いとワイルドさは足りないけれど、インディ・クラブバンドとしては十分に質の高いサウンドだと思えます。

まぁ、冷静になって本作のサウンドに耳を傾けてみると、もしメジャー・デヴューしていたとしても、その余りにも癖の無い毒にも薬にもならないB級ハードポップ・サウンドは、個性のクソ強い煌びやでゴージャスなサウンドとパフォーマンスを繰り広げていたメジャーアクト達に太刀打ち出来たかと言うと少々疑問ではありますが、良いプロデューサーに出会って戦略やプロモーション等をしっかり練って有名作曲家の力を借りてシングル・ヒットでも飛ばせばワンチャンあったかもしれないね、と言えるレベルのサウンドではある事は確かでしょう。

毎度お馴染みこのシリーズは500枚限定となっておりますので、もし本作をチェックして気に入ったのならお早目に入手する事をお薦めします。

まぁ、DL購入する方は別段限定なん枚かなんて気にはしないんでしょうけどね。

因みに88年に1枚アルバムをリリースしているドイツのバンドとは別バンドです、念の為。

Track List:
Demo Cassette 1990:
01. You Belong With Me
02. Hollywood
03. Sinsational

Demo Cassette 1991:
04. Candy Store
05. Send Me An Angel
06. Alone

Live Tracks 90/91
07. Dream Of The Night
08. Helter Skelter
09. New Kid In Town

HELTER SKELTER Musiciens:
Scott Terrell         (Vocals、Guitar)
Bobby Stevens       (Bass)
Michael Lawrence Leahy (Guitars :R.I.P. 2019)
Brian Joseph       (Drums)

by malilion | 2021-07-16 16:46 | 音楽 | Trackback
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