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フレンチ・プログレッシヴ・ロックの雄 TAI PHONGが新譜『Dragons Of The 7th Seas』を久しぶりにリリース!!

フレンチ・プログレッシヴ・ロックの雄 TAI PHONGが新譜『Dragons Of The 7th Seas』を久しぶりにリリース!!_c0072376_14575516.jpgTAI PHONG 「Dragons Of The 7th Seas」'21

70年代フレンチ・プログレッシヴ・ロックシーンの代表的バンドとして国内でも未だ根強いファンが存在するベテラン6人組バンドTAI PHONGの8年振りとなる6thスタジオ・アルバムがリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

本作の予告編として17年に先行リリースされていたシングル『Before The Dragons』収録の『Summer Nights』を本作にも別ヴァージョンで収録(バックは同一音源でヴォーカルパートだけ差し替えなハズだが違和感無いな…)しているがもう一曲のインスト曲『A Sustained Moment Of Silence』は未収録なので音源マニアな方はご注意を。

00年の再始動以降TAI PHONGは唯一のオリジナルメンバーである Khanh Maiと Davy Kimによる親子ユニットへとバンド体制が様変わりしたが、『Return Of The Samurai』'13 発表時のメンバーで残っていたのはキーボーディストの Jean Philippe DupontのみでLIVE作『Live In Japan』'17 時に既に大幅なIメンバーチェンジが行われ、本作でも Khanh Mai親子を除いてキーボーディストの Bastien Mc Oneとベーシストの Klod Rock、ドラマーの Romuald Cabardosが引き続きアルバム制作に参加しているものの、フロントにはAina Quach嬢(18年年末までは在籍してたのに…)に変わって新たに加入した美声フィメール・ヴォーカリスト Ketty Orzola嬢(前任者より美人! 本職はシャンソン歌手?)を迎え、さらに70年代TAI PHONGの主要メンバーであった Jean-Jacques Goldman、Jean-Alain Gardet、そして Khanh Maiの実弟 Tai Sinhの3人がゲスト・プレイヤーとして参加してアルバムに花を添えるだけでなく、これまでのアルバム制作に関わって来た複数のミュージシャン達をゲストに迎えて本作は制作されている。

と、イマイチ再始動してからメンツが安定しない彼等だが、バンドの頭脳でありアイデンティティである Khanh Maiが紡ぐ哀愁タップリに泣きまくるギターと随所で響き渡るセンチメンタルでデリケートな音色、そして繊細なタッチで優美に描き出されるメロディアスなユーロ・シンフォニック・サウンドは未だ衰える事なく健在なのでファンの諸兄等は安心して欲しい(*´∀`*)

勿論、過去作の焼き直しでもセルフパロでもない本作は、Davy Kimをはじめ新世代のミュージシャン達によるプレイや感性が大幅に導入された為か、バンドの特徴である抒情的な音使いとメロディアスな楽曲の展開美、そして哀愁漂う甘く切ないポップ・サウンドにも幾分か変化が見られ、よりモダンなサウンドアプローチや Davy Kim(本作の半分は彼の手による楽曲でミックスとマスタリングまで手掛けている)によるメタリックでテクニカルなちょっとフュージョン風な所もあるギター・プレイ、さらに Bastien Mc Oneの小気味よいピアノをはじめ各種キーボード類が織り成す瑞々しく鮮やかな音色とプログレらしい巧みな鍵盤捌き、そしてエスニックな雰囲気を所々で漂わせつつオーケストレーションや合唱を用いたドラマチックでスケール感ある甘口のシンフォニック・ロックサウンドには今を生きる現役バンドとしての矜持がシッカリと感じられ実に頼もしく嬉しいのです♪

まぁ、ロックとして考えると些か穏やか過な上にフィメール・ヴォーカルな事もあって砂糖菓子のような甘いポップスにさえ聴こえる時が多々有ったり、ツインギター編成なのに特段ハモリで攻めるとかハードに攻めるリードギターとカッティングしまくりなリズムギターの多重攻撃とかも無く、所謂ロック然としたスリリングさや情熱の迸りのような危うさやワイルドさは感じられませんが、そもそも淡いメロディアス・サウンドを長年創作し続けて来た彼等にそれらの要素を求めるファンや聴衆は今さら居ないでしょうから、大きな問題点にはなりえないでしょうけどね(汗

LIVE盤でパワフルで見事な歌声とパフォーマンスを披露した Aina Quach嬢より、本作のような穏やかでセンチメンタルな作風とウェットな美旋律に彩られたアルバムにはよりアダルトで艶やかな歌唱スキルが光る Ketty Orzola嬢の方がマッチしているように思えますが、果たしてLIVEではどういったパフォーマンスをバントと披露するのか興味は尽きません。

RPGゲーム『DRAGONS OF THE 7TH SEAS』にインスパイアされたという本作は、Ketty Orzola嬢が伸びやかで艶やかな美声を聴かせる魅惑的なヴォーカル・パートがメインではあるが、6人からなるゲスト・ヴォーカリスト達が次々とその歌声を披露して歌唱パートをバックアップし、センチメンタルなシンフォ・サウンドに様々な表情と多彩なカラーを付け加えているので、これまでになく本作の叙情感あるサウンドにバラエティ豊かな演出が成されているように思え、加えて Jean-Jacques Goldmanや Tai Sihnの歌声が聴こえてくると弥が上にも古参ファンならば堪らずノスタルジックな想いに引き込まれてしまう、聴き終えて実に楽しい印象が強く残るそんな素敵なアルバムだ('(゚∀゚∩

尚、本作10曲目の『Melody』は Jean-Jacques Goldmanらと共にアルバム・デヴュー前の72年にスタジオ録音された48年の時を経て今回初リリースとなる未発表音源(マスター紛失の板起こしな為かちょいノイズあり)となっておりますので、初期作のファンの方も見逃せぬ一作となっております。

唯一残念なのは、先行シングル『Before The Dragons』もそうでしたが、本作も自主CD-R製となっており、R焼きの工程中の宅内での電源のオン/オフが関係したのか所々でノイズが頻繁に聴き取れ、素晴らしいサウンドと内容であるにも関わらずデュプリ盤でないが故の弊害だけが非常に悔やまれます…orz

R盤と聞いて眉をひそめた方ご安心を、本作はちゃんとしたデュプリ盤の『七海神龍伝 - ドラゴンズ・オブ・ザ・セヴンス・シーズ』が国内盤で紙ジャケ仕様のCDでリリースされておりますので、特にお手製プリントアウトな変形紙ジャケ仕様サイズのオリジナル盤であるR盤を入手したい、とかいうマニアックな理由がない限りは少々値がはりますがしっかりした装丁の国内盤で入手される事をお薦めします。

まぁ、それでも国内盤でもノイズが聴き取れるので、コレはマスターに問題あるんでしょうなぁ…宅録の時に何かが影響したのか…残念です…

それとオリジナルの自主制作盤と国内盤はジャケの色味がオリジナルは紫っポク、国内盤は青味ががっているのと、大きく収録曲の順番が入れ替えられており、ボーナストラックも自主盤の方が多いので音源マニアな方は自主盤も見逃せないアイテムとなっております。

そうでなくとも、ライナーや内袋、そして装丁と製品としてクオリティ高い国内盤よりも、自主制作盤の方が如何にもマイナー・プログレバンドのオリジナル盤らしい朴訥で素人臭い味わいがあってマニアならではの喜びがあるんですけどね(汗

所で何故か日本語タイトルな6曲目のイントロは、彼等が以前に来日した際に街頭で録音した音源を使用したとの事ですが、アニメか何かでの三石琴乃さんのセリフがモロに聴こえるんだけど、アレは許可降りてるの? いいんですかね?(w

Original Track List:
01.Expelled From Paradise
02.Rise Above The Wind
03.T'oublierai Jamais
04.The Boy In The Storm
05.Flow
06.Sabishii
07.Segolene
08.Dragon
09.Summer Nights

Bonus Tracks:
10.Melody
11.Close My Eyes
12.Dans Tes Nuits
13.J'aime La Nuit(Track 07のフランス語ヴァージョン)


TAI PHONG Musiciens:
Khanh Mai       (Guitars、Moog & Backing Vocals)
Davy Kim        (Guitars、Programming & Backing Vocals)
Bastien Mc One     (Keyboards & Programming)
Ketty Orzola       (Lead & Backing Vocals)
Klod Rock        (Bass)
Romuald Cabardos    (Drums & Percussion)

with:
Jean-Jacques Goldman (Lead & Backing Vocals on Track 10)
Jean-Alain Gardet    (Keyboards on Track10)
Tai Sinh        (Bass & Backing Vocals on Track 10)
Alain Stevez      (Lead & Backing Vocals on Track 02)
Shay Zohar       (Lead Vocal on Track 07 & 13)
Angelique Pacquet    (Lead & Backing Vocals on Track 09)
Moria Nemo      (Backing & Vocals Arrangements on Track 03、05、07、11、12、13)
Jose Bolero       (Lead Vocal on Track 11)
Thierry Trutet     (Bouzouki on Track 09)
Angelo Zurzulo     (Keyboards Arrangements on Track 09)
Ludovic Duquesnoy   (Cello on Track 03 & 11)
Michael Zurita      (Classical Guitar on Track 09)
Veronique Seruch    (Lyricist Track 12)
Alexandre Lejeune   (Lyricist Track 13)



by malilion | 2021-07-14 14:57 | 音楽 | Trackback
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