![]() オランダの北東部フローニンゲン州で Gert-Jan Schurer(Guitars)を中心に結成された、非常にダイナミックで冒険的でありながらスタイリッシュでモダン、そしてキャッチーで多様性に富んだユニークなサウンドが特徴の、男女ヴォーカリストとキーボーディストを含むオランダ産6人組モダン・プログレッシヴ・バンドのデヴュー作がリリースされたのを即GET! バンド名だけ見ると『HMバンド?』という印象だが、近年の Roger Dean風なジャケットを見て『ああ、プログレ系か』と、安心する本作を一聴して誰もが思うだろう事は、これが彼等のデヴュー作とはとても信じ難く、いずれの楽曲でも高いレベルの完成度と優れたパフォーマンスを披露しており『キャリア組のベテラン・ミュージシャン達が新たに結成したバンドなのでは?』と、改めてクレジットを確認してしまうくらい素晴らしい出来栄えな期待の新鋭が放つ充実作だ。 まぁ、実際各メンバーは多角的に活動しており、全くの新人プレイヤーと言う訳ではないのだが、メジャー・シーンに置いては無名な存在と考えて間違いない。 本バンドの一番の特徴はリード・シンガーの Adel Saflouと彼の伴侶である Hiske Oosterwijk嬢のツイン・ヴォーカル体制な事で、Hiske Oosterwijk嬢は主にバッキングやハーモニー等のサポート的な歌声を聴かせるが、Adel Saflouとの絶妙なデュエットはヴォーカルメロディに深みと豊かな広がり、そして楽曲にバラエティ豊かな表情を加え、歌詞をより雰囲気のあるものにしている点は見逃せないだろう。 その上、Hiske Oosterwijk嬢は只のバックシンガーとしてだけではなく、しっかりとアルバム中盤のタイトル曲『No Air』では美しく透明感ある息を呑むようなソロ・ヴォーカルを披露したり作詞でバンドへ多大な貢献をしており、公私に渡って Adel Saflouをサポートするなど本バンドに居なくてはならぬ重要メンバーな一人に違いない。 総じてクリアーでモダンなイメージのサウンドの中で意外な程にハードなリフを基調とする Gert-Jan Schurerの紡ぐエモーショナルなギター・サウンドを起点とし、目立たないがその実テクニカルなリズム隊がダイナミックでソリッドな意外性のある紆余曲折やブレイクを繰り出す上で、バッキングヴォーカルも務めつつキーボードも操る Ard Offersが、時にシンフォニック風に、時に退廃的でモダンなポスト・ロック風に、と万華鏡のように次々とカラフルに移り変わるバンドサウンドの中で繊細で幻想的な音色を鮮やかに響かせ、古き良き古典プログレッシヴ・ロックへの憧憬を見え隠れさせながら、決して弾き過ぎぬ押し引きを心得たバンドサウンドと男女ツイン・ヴォーカルが絶妙なバランスで緻密なモザイク画を描くようにドラマティックでスタイリッシュな美旋律を織り成す様は本当に新人離れしており見事の一言だ。 リードシンガーの Adel Saflouのミドルレンジ主体の伸びやかな歌声や甘い声質からの連想や、爽快コーラスが活かされた限りなくキャッチーでポップな、それでいてプログレらしいテクニカルさや複雑な楽曲構成と、シャープでスタイリッシュな展開の妙が随所で光る彼等の楽曲を聴くに、最初に脳裏に閃いたのは『90年代初頭のSI末期のキャッチーなポンプ・サウンドを21世紀型にモダンへ進化させたバンド?』というイメージでした。 メロディを生み出す両輪である Gert-Jan Schurerと Ard Offersがユニゾンしたり、キャッチーでありながらテクニカルな素晴らしいソロを披露したりするものの、ただ見せびらかすのではなく常にメロディを第一に考えたプレイを心掛けているのが分り、オランダ産バンド特有な幻想色を帯びたクラシカルな叙情感が漂う緻密なアレンジの施されたタイトで魅惑的な美旋律には、ポップス、シンフォ・ロック、AOR、オルタナティブ・ロック、ハード・ロック、JAZZ等の幅広く多様な音楽的要素が含まれているのが窺え、それら全てを男女混成トリプル・ヴォーカルの爽快なハーモニーとキャッチーなコーラスで纏め上げるフレッシュな感覚とロックバンドらしいドライヴ感に満ち溢れた21世紀型モダン・プログレッシヴ・サウンドは、さすがかってポンプの総本山SIレーベルの本拠地オランダから登場したバンドと納得しきりであります(*´ω`*) なんでも本バンドのサウンドがこんなにも多様性に富んでいるのは、中心人物であるギタリスト&ソングライターである Gert-Jan Schurer自身の経験と、彼が育った環境で得た幅広いサウンドを活用しているかららしい。 その他にもダークな透明感を帯びた陰鬱なサウンドが“第二のPINK FLOYD”と評価されたPORCUPINE TREEやPORCUPINE TREEのリーダー Steven Wilsonのようなプログレッシヴロック・アーティストや、Pat MethenyのようなJAZZからの影響に加え、Hans Zimmerのような映画音楽の作曲家、さらにAPHEX TWINのようなエレクトロ・アーティストもPERFECT STORMの音楽に影響を与えているのだと言う。 キャッチーでポップな楽曲を彩る爽快なトリプル・コーラスハーモニーとベルベットのような歌声はパワフルで、ハードエッヂでヘヴィなギターとドライブするベースとドラムはロックスピリットを叩き出し、複雑で魅惑的な音色を奏でるキーボードが織り成すサウンドは欧州バンドらしい艶やかでウェットな叙情感に満ちており、その古いようで新しいプログレとポッフスの折衷モダン・サウンドは、ひょっとすると90年代初頭のSI系バンド達がこぞって挑み果たせなかったメジャーシーンでの成功という二文字を、抗いがたい旋風を伴って今のプログレ・シーンにもたらすかもしれない。 そんな風に期待させる確かな独自性を既に彼等は発揮しておりますので、もしご興味あるようでしたら是非彼等のアルバムを一度チェックしてみて下さい!('(゚∀゚∩ PERFECT STORM Line-up: Gert-Jan Schurer (Lead Guitars) Adel Saflou (Lead Vocals、Guitars) Hiske Oosterwijk (Vocals) Ard Offers (Vocals、Keyboards) David Klompmakers (Bass) Jesse Bosman (Drums)
by malilion
| 2021-04-10 14:44
| 音楽
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