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CCM系USAロックシンガー Ken Tamplinのソロ作が大量にリイシュー!


CCM系USAロックシンガー Ken Tamplinのソロ作が大量にリイシュー!_c0072376_07065557.jpgKEN TAMPLIN 「Where Love is」'98

『An Axe to Grind +3』'20が30周年記念でリイシューされた時ご紹介した、USAはジョージア州出身のCCM系ロック(現在はオンラインでヴォーカルレッスン講師も務める)シンガー Ken Tamplinのソロアルバムが多数リマスターされ再発されたので即GET!

最近良作をリイシューしまくってくれる注目クリスチャン・ロック系レーベルGIRDER RECORDSが、またまたやってくれました♪

いいぞ! もっと行け! どんどん行け! このまま過去の名作CCMアルバムを片っ端からリイシューしまくってチョーダイ!!('(゚∀゚∩

本作は1998年リリースの4thソロ・アルバムで、当時は欧州のみで自主リリースだったレア盤が今回こうして2021年度リマスター&リイシューが成って欣喜雀躍なCCM系及び Ken Tamplinファンの諸兄も多い事でしょう( ^ω^ )

内容の方はと言うと、R&B、AOR、サルサ、ニューエイジ、ファンク、ラテンポップ、カントリー、JAZZ、打ち込み等々の多種多様な要素を含んだ、ハードロックに拘らぬ自身の抜群の歌唱力を活かした幅広い形態の楽曲が収録されており、4.5オクターブのワイドな声域を遺憾なく発揮し、どんな楽曲でも歌いこなして見せる器用さと小手先の技術だけでないロック・ヴォーカリストとしてのパワフルさと迫力満点の強靭な喉を震わせる、彼のヴォーカリストとしての高いポテンシャルを証明する一作となっている。

彼のファンなら Ken Tamplinがとんでもなく歌が上手いのは重々承知ですから、後はどんな楽曲をどんなアプローチで表現するのか、ってトコに注目が集まると思うのですが、本作は妙に奇をてらったりする事無いスタンダードな構成の楽曲の数々を、彼お得意の爽快で巧なコーラスワークを基軸に、耳をつんざくハイトーンから渋く落ち着きあるディープヴォイスまで七変化の美声で情感タップリに歌い上げ、流石は数多の有名バンドのフロントマンに誘われるだけの事はある抜群のパフォーマンスを披露している。

そんな素晴らしいヴォーカルを際立たせるのに尽力しているのが、全面的に参加しているアメリカ人ギタリスト Howie Simon(NELSON、ex;ALCATRAZZ、ex:TALISMAN、ex:Rob Rock、etc..)で、その幅広いセッションワークやバンド活動で培われた抜群のテクニックを誇るギタリストながら、エッヂあるシャープなプレイからアコースティカルで軽やかなプレイまで、しっかり自身のポジションを弁えたソツなくツボを心得た巧なギタープレイで七色の音色を紡いでみせ、楽曲に華を添えているのも見逃せません。

収録曲の殆どがロック作と言うよりコンテンポラリー寄りな楽曲ばかりな一作ではありますが、そもそもCCM系ミュージシャンは伝えたい主張を一番聴衆が聴きやすい形で伝えられるのならば音楽ジャンルや形態に拘らぬ節(ここがCCM系アーティストの特殊な所で、外から見ると節操無く売れ筋へ路線を変えるように思える点であります)があるので、本作は Ken Tamplinにしてみれば幅広い音楽表現でクリスチャンの主張や教えを伝えているだけで、別段違和感を感じる事も驚かそうとも思っていない(実際、この後元のメロハー路線へ戻るし)のでしょうけれどね。

本作がリリースされたのはアメリカにグランジーの魔の手が広まりつつあった頃ではありますが、まだメジャー・シーンでは従来のブライトで派手なアメリカン・ヘアメタルがギリギリ持て囃されていた時期ですから、本作の音楽的方向性が拡散へ向かっているのは所謂80年代後期メインストリームを彩ったメロディアス・ロックバンド達を襲ったグランジーの悲劇とは関係なく、それまでのロックサイドからのアプローチばかりだった活動からより幅広い聴衆に注目してもらう為に選択した変化であったように思えます。

運命の悪戯か、派手でゴージャスな80年代風メロディアス・ロック作をリリースする最後のチャンスを Ken Tamplinはこれで逃し、暗黒のグランジー時代へ以降突入してしまう訳ですから、この拡散指向アルバムを制作する前にもう一枚くらい従来のゴージャスなサウンドのメロディアス・ロック作をリリースして置いて欲しかったなぁ…

様々な嗜好の楽曲を強力で伸びやかな Ken Tamplinの絶品な歌声が見事に纏め上げている本作ではありますが、やはり楽曲ジャンルをボーダーレスにして一枚のアルバムに収めるのは少々キツかったようで、本作の17曲(多い!)を聴き終えた後に幾分か散漫な印象が残るのを避けられなかったのだけが残念な点ではあります。

もう少しメロディアスでキャッチーなポイントに焦点を当てた楽曲だけにして欲しかった所ですが、本作では多様性や拡散する音楽性を見せたいと Ken Tamplinが画策したのだとしたら、その目論みは成功したのは間違いありません。

ただ、問題点も無い訳ではなく『ポップスなんだからソレで良いじゃない』という意見もあるでしょうが、やはり打ち込みドラムの弊害かボトムの音が薄っぺらで硬く、軽いのには終始閉口させられます。

まぁ、コレはリマスターのお陰で音がクリアになってボトムの音も持ち上がった為に軽く硬い印象のドラムサウンドが余計に耳につくせいかもしれませんけど。

ドラマーの Stefan Svenssonもちゃんと叩いて(ホントに叩いてるのか疑問な音だし、単調なリズム運びが多くて…)いるハズなんですが…それでも凡百のメロディアス・ロック作よりも余程ポップでキャッチーなメロディが聴こえる良作に思え、偏にそれは Ken Tamplinの抜群な歌唱力のお陰なのは間違いありません。

同時リイシューの30周年記念盤『Soul Survivor』'91や Tamplin & Friends名義作の『Wake the Nations』'03も2021年度リマスタードされておりますので、今回同時リイシューされた Ken Tamplinの美麗で爽快なコーラスが楽しめるソロ作の数々を是非このチャンスに揃えて楽しんで欲しいですね。

CCM系アーティストのアルバムは昔からプレス数が少ないのが玉に瑕なのも相変わらずなので、お求めの方はお早目に!




by malilion | 2021-03-14 07:07 | 音楽 | Trackback
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