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ユーロ・プログレHM + イタリアン・シンフォ × モダンサウンド = CASTのハイヴリッド・サウンドな新作がリリース!!

ユーロ・プログレHM + イタリアン・シンフォ × モダンサウンド = CASTのハイヴリッド・サウンドな新作がリリース!!_c0072376_14593170.jpgCAST 「Vigesimus」'21

中南米メキシコで1978年に結成され未だに活動を続ける、今やメキシカン・プログレ界のみならず南米グレ界の盟主にして重鎮 Luis Alfonso Vidales(keyboards)が率いるヴァイオリン入り7人組バンドの通算21枚目(BESTやLIVE含むと25作?)となるアルバムが4年ぶりにリリースされたので即GET!

アルバムのタイトルが『20番目』という意味である事から、バンド的には本作は20枚目のフル・アルバムという認識の模様だ。

まぁ、今までに散々やらかして来た大雑把で杜撰な彼等の事なので、アルバム枚数の数え間違いしていても今さら驚かないけど(w

で、久しぶりの新作は前作と同じままな7人のメンツで制作され、安定した制作体制がさらなる創作の高まりを呼んだのか前作路線をさらに推し進めた作風で、その出来栄えや仕上がり具合は総じて前作を凌駕しており、ベテラン・バンドらしい味わい深い押し引きを心得たテクニカルで緻密な演奏、70年代イタリアン・プログレを彷彿させる濃密で構築美あるドラマチック・サウンド、中南米ならではのリズミックな展開と壮大なスケール感、そしてヴァイオリンが優雅にスリリングに紡ぐ叙情美とバンド一丸となった圧倒的な熱量がミックスされ怒涛の展開を見せつける、息つく暇も与えず一気に駆け抜ける超弩級の傑作アルバムです!('(゚∀゚∩

以前からスペイン語だったり英語だったりとヴォ-カルアプローチがイマイチ定まらない彼等だが、本作は前作と同様に英語で歌われているので『イタリア語ならまだしも、ポルトガル語とかスペイン語の巻き舌ヴォーカルなマイナープログレはちょっと』と敬遠しているラテン・プログレ食わず嫌いな諸兄にこそ是非に本作をお薦めしたい。

90年代末期から近年作まで、どこかマッタリした今一つピリッとしない70年代プログレの面影が漂う散漫で凡庸なアルバムばかりをリリースし続けていた彼等だが、11年リリースの『Art』からプログレHM的なメタリックサウンドを取り入れつつモダン化とシンフォニック度を加速させ、前作から加入の Roberto Izzo(violin:NET TROLLS、GNU QUARTET)が紡ぎ出す流麗な天才的ヴァイオリン・プレイが決定的な起爆剤となったのか、リーダーの Luis Alfonso Vidalesが操る鍵盤捌きやアレンジ、そしてストリングス・アンサンブルを活かしたクラシカルで初期GENESISを強く想わせる叙情感ある哀愁のテクニカル・プレイにも以前と段違いな凄みと切れ味が増し、水を得た魚の如く縦横無尽に Claudio Corderoがハードにメロディアスにソリッドでエッヂあるギターを弾きまくる、そんな三枚看板が目まぐるしくリリカルなメロディと複雑な音階を展開させ豊富なアイディアが活かされた精緻なインストゥルメンタル・パートをドラマチックにスリリングに構築していく様は、とても結成してキャリア40年以上のベテランバンドと思えぬ目を見張るアグレッシヴさとフレッシュなパワフルさで迸らんばかりのダイナミックなエネルギーは正に圧巻の一言。

本作は4つの小曲で構成された10分の楽曲や、3つのインストゥルメンタル曲、それらを短・中・長の尺で構成した手の込んだ作品で、それだけ聞くとアルバムを丸ごと聴くにはエネルギーと根気が必要のように思えるが、流れるように展開する構成美ある楽曲や、あの手この手で飽きさせぬインストゥルメンタル・パートから飛び出す魅惑的な音色の数々、そしてHM張りな怒涛の勢いと切れ味鋭い切り返し、タイトでリズミックなボトムがエレガントに場面を展開させていくので、実際はアッという間にアルバムを聴き終えてしまい、その内容の充実ぶりや美しいメロディ、そしてテクニカルなパートが紡ぐサウンドの絶妙さしか印象に残らぬ実に爽快なシンフォニック・アルバムだ。

前作で感じさせた中南米バンドらしい優美でエキゾチックなメロディが濃厚過ぎて胸焼けしそうな劇的展開を伴って忙しなく爆走する楽曲に、GENESISをはじめBANCOやPFMといった70年代プログレの巨人達が遺した古典的サウンドをベースにしつつPENDORAGON、ARENA、SHADOWLAND等の80年代ポンプ勢の影響も伺わせながら、完全にオリジナリル・サウンドへ昇華したクラシカル且つ叙情を帯びた気品漂う美旋律と、Bobby Vidalesと Lupita Acuna嬢による剛柔対比が色鮮やかな男女ツイン・ヴォーカルが美麗なハーモニーやコーラスで様々な表情を与えており、約80分という長さを感じさせぬ勢いと緻密な構成力、そして一段と磨きがかかった展開の妙が光る充実ぶりは、まるで画家がキャンバスに絵を描くように瑞々しい感性と燃え上がる情熱のまま自由自在にドラマチックでファンタジックなサウンドを紡いだような奔放さも感じさせ、近年の中南米プログレモノでは屈指の完成度ではないだろうか?

本作のユーロ・プログレHMとイタリアン・シンフォのハイヴリッド・サウンドじみた、独特の叙情感と美意識が色濃い、オリジナリティー溢れるリズミカルで艶やかな音色が美しいメキシカン・シンフォを、是非プログレHMファンやユーロ・シンフォ・ファンな方々に一度聴いてみて欲しいですね(*´∀`*)


CAST Line-up:

Luis Alfonso Vidales  (Keyboards)
Bobby Vidales     (Lead & Backing Vocals)
Lupita Acuna     (Vocals & Backing Vocals)
Claudio Cordero    (Guitars)
Roberto Izzo     (Violin)
Carlos Humaran    (Bass & Backing Vocals)
Jose Antonio Bringas (Drums & Percussion)


by malilion | 2021-03-09 14:59 | 音楽 | Trackback
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