![]() USAネヴァダ州の都市リノを拠点に活動していた4人組アメリカン・メロディアスHMバンドROCK BOULEVARD(ロック・ボールバード)が1990年にリリースした唯一のEPアルバムが20年度オフィシャル再発盤されたのを、ちょい遅れてGET! 確か500枚限定で当初リリースだった本作、初回盤を私は惜しくも買い逃したんですが、こうして再び購入出来るようになった所を見るに500枚以降も新たにプレスした模様ですね… まぁ、多くの人が欲しがっている売れると分かっている商品をわざわざ限定だからとリリースしないなんて商売人は居ませんからね。 追加プレスしてくれた事は、素直にMetallic Blue Recordsに感謝しかありません。初回盤を慌てて購入した忠実で熱心なメタル・ヘッドの諸兄は面白くないでしょうけど(汗 さて、本編7曲に未発表音源2曲をボーナストラックに追加収録し、アートワークをリニューアルしオリジナルジャケとのリバーシブル仕様、セルフタイトルだったアルバムタイトルを『I Got What You Want』へ変更して再発された本作、オリジナル・リリース時はCDプレスは250枚、カセットも250本のみ限定リリースという激レア・アイテムで、その80年代後期USメロディアス・ポップメタルなグラム風味あるキャッチー・サウンドが無名バンドらしからぬ出来の良さもあって、未だにオリジナル盤は高額(10万円以上の値が付くらしい…)で取引されているというメロディアス愛好家やコレクター泣かせな幻のアイテムの一つでありました。 無事公式リイシューが成ったお陰で、一時ブートレッグCDRもリリースされていた幻の音源を、これで心置きなく楽しむ事が出来ますね(´∀`)b 時代の末期に結成された事や、グランジーの闇が全米を覆い尽くした後の本格活動と、彼等の演るサウンドは当時のシーンに置いてほぼ需要が無かったのが不運でしたが、その80年代後期スタイルなUSポップ・メタルは今で言うヘア・メタルと言われる類の80年代定番なメインストリーム・サウンドで、分厚い爽快感あるコーラスとキャッチーでフックあるヴォーカル・メロディ、ツボを心得えた堅実なバックのプレイとラジオ・フレンドリーなコンパクトな楽曲を聴くに、幾つかの不運が重ならなければオーソドックスにメジャー契約を手にしていてもおかしくなかったインディ・バンドの一つだったのは確かでしょう。リードヴォーカルの Marc Groverの歌声が、ちょっと濁ったザラついた声質ながら良く伸びるアメリカンHMバンドでよく聴けるヴォーカル・パフォーマンスなのと、グラム風味もある楽曲のせいでLAメタルっぽい感触もあるブライトなサウンドは、多少定番過ぎて突出した個性が無いと言えるかもしれませんが、フックあるリフやメロディがふんだんに飛び交う、キャッチーでブライトなメロディアスHRチューンの数々が素晴らしい仕上がりな隠れた名盤だった事もあって、もし当時国内盤がリリースされていたならそこそこ話題になって、売り上げも悪くなかったのじゃないと思えるレベルなだけに実に残念です(´д⊂) では、ここで彼等の足取りを少し。 1985年の秋、Deland Vothと Robbie Woldridgeはネバダ大学のマーチングバンドでサックスとクラッシュシンバルを演奏していたがロックバンド結成を思い立ち、Deland Vothはギターを、Robbie Woldridgeはドラムを担当する事に。 お約束の楽器店でメンバー募集の張り紙をチェックし、WAZE GUYSを脱退したばかりのヴォーカリスト Jeff Kerrに連絡を取り、リズムギターに Kyle Eigenmann、ベースに Sai Williamsを迎え入れ初期の5人組ラインナップが完成する。 当初、彼等はROCK BLVD.と名乗っていた。 マーチングバンド経験者だったからなのか、バンドの首謀者二人のプレイはバンドの音楽性から考えるとテクニカル志向だった模様で、Deland Vothのギタープレイは、Eddie Van Halenや Randy Rhoadsに影響を受け、Robbie Woldridgeのドラミングは、Neil Peart、Tommy Lee、Alex Van Halenに影響を受けていたらしく、MEGADETH、QUIET RIOT、ICONなどのバンドにも影響を受けていたと言うから、テクニカル志向なピュアHMサウンドへ進まず、LAメタル風なポップ・メタルを演奏する方向性を選択したのは、クラブ聴衆へのアピールや他メンバー達からのインプットがあった結果なのかもしれない。 まぁ、90年代当時どっちを選択していたとしても、結果的に活動は行き詰まる事になったんでしょうけどね…(涙 1986年にリノで開催されたバンドコンテストで優勝し、その年の12月には東部オハイオ州のプロモーターとの契約が成立し、バンドは活動の場を西部ネヴァダ州から東部オハイオ州へ移す事に。 昼は自動車販売店ディーラーで働き、夜はクラブで演奏活動をオ続けると、すぐにバンドは人気を集め始め、オハイオ州で最も人気のあるハード・ロック・アトラクションの一つとなる。 1987年、ROCK BLVD.はFraternity Recordsと契約し、ファースト・アルバムのレコーディングの為スタジオに入る。 当時録音されたアルバム『Stand And Fight』は、今回デヴューEP『I Got What You Want』と同様に初めてCD化され同時発売となっている。 アルバムに先駆け“One Time Lover”と“Y R U Lyin'”の2曲がシングル・リリースされ、知名度がさらに向上したものの結局アルバムはリリースされず、2020年まで未発表のままであった。 当時、何故リリースが見送られたのかは、時流を感じてレーベルが考えを変えたからなのかレーベルが想定していた程良い仕上がりでなかったからなのか真相は定かではありませんが、こうしてお蔵入りしていたアルバムが再び陽の目を見る事になったのはなによりだ(*´∀`*) ![]() バンドは活動続行を決意し、ハイオ出身者である David Lantz(ex:HAMMER LANE、ex:METAL TOYZ、ex:TRIP、ex:NEMESIS)を新たなベーシストに迎える。 David Lantzが加入して間もなく、手練れのギタリスト Michael Hillが加入してバンドラインナップが再び完成する。 だが、先に脱退した2人に触発されたのか、アルバムが一向にリリースされない事が影響したのか、バンド内で地元ネヴァダ州のリノへ戻る事がバンドにとって最善の選択との意見が出始め、昼の仕事で成功を収めオハイオ州で安定した生計を得ていたフロントマン Jeff Kerrは Michael Hillと同時にバンドを脱退してしまう。 残ったバンドメンバー、Deland Vothと Robbie Woldridge、そして David Lantzの3人はリノで活動を再開する事に。 Deland Vothがリード・ヴォーカルを担当し、新たにMANIKIN LAFFなるバンドにも在籍するギタリスト Dennis Feckoを迎え4人組でリノでの活動を再開する。 メンバーを探しつつ、スリーピース・バンドとしてクラブで懸命に演奏しながら、リハーサル・スタジオで週6日リハーサルを繰り返し練度を上げていたのが功を奏したのか、解散したばかりだが高く評価されていたHRバンドRAWKONのフロントを務めていた、当時リノで既に有名なシンガーであった Marc Grover(ex:VICES、ex:AXENT、ex:CRASH STREET、ex:14NI、ex:NEVERSAY)の目にとまり、彼が加入して4人組バンドとしてのラインナップが完成する。 まぁ、この辺りは好みもあるので、一概になんとも言えませんけど。 ROCK BOULEVARDとRAWKONの結成やメンバーの相互関係は、80年代末期から90年代初頭のリノでのインディ・バンド達が無数に関わっているので、ご興味あるようならチェックしてみると色々と面白い発見やミュージシャンの名を見る事が出来ますよ。 1990年にEasy Streetで開催されたコンテストでバンドは優勝し、報酬としてGranny's House Studioでの6時間のスタジオ・タイムを得ると、バンドは新たなアルバムをレコーディングするべく、さらに5,000ドルを集めてスタジオ入りし、同時にTri Recordsと契約を結ぶ。 こうしてレコーディングされリリースされた4人組として初めての音源であるEPは250枚という限定的な枚数にも関わらず多くの好意的な評価を受け、そんなEPが呼び水になったのか、レコーディングから数週間後、バンドはネバダ大学フットボール・チームの為の応戦ソングを依頼され『Let's Go Wolfin'』をレコーディングする為に再びスタジオへ。 フットボール・チームのメンバーを迎えてのイントロのギャング・バッキング・ヴォーカルとフットボールの実況音声が聴ける別ヴァージョンの『Let's Go Wolfin'』はアナログ・シングルでリリースはされたが、今回初めてCD音源として『I Got What You Want』にボーナストラックとして収録される事になった。 ネバダ大学のホーム・フットボールの試合で『Let's Go Wolfin'』は演奏され、バンド活動は順調に見えたが、既にグランジーの闇に覆われつつあったシーンの変化をメンバー達は敏感に感じ取っていたのか、メンバーが他プロジェクトへ移籍した為にバンドはアッサリと解散してしまう…(´д⊂) David Lantzと Marc Groverは他のバンドに参加するべくカリフォルニアへ移住し、Deland Vothは Harry Crook(ex:RAWKONのギタリスト)と Jamie Lee(ex:RAZORDMAID、ex:WILD CHILD、ex:WHYTE WIDOWのヴォーカリスト)と組んでSLANG WARFAREというバンドを新たに結成する。 残念ながら、その後のメンバー達の詳しい足取りは分かっていない…… 結成から僅か5年ほどの活動期間の間にメンツが変わりまくったのと、活動拠点を西部から東部、再び西部へ大きく移動を繰り返した事、そして時流がグランジーへ傾いたのもあって、優れた音楽を創作していたにも関わらずメジャー・シーンで活躍するチャンスを得られなかったのが実に惜しい、そんな90年代初頭のUSAメロディアス・ロックバンドの音源がこうしてオフィシャル・リイシューされ、同時にお蔵入り音源まで初リリースと、本当にありがたい事尽くしです(*´∀`*) 今回、80年代末から90年代にかけて活動をしていた知る人ぞ知るUSメロディアスHMバンドの関連作品3タイトルROCK BOULEVARD『I Got What You Want』『Stand And Fight』RAWKON『Street Eagles』がMetallic Blue Recordsから再発されたので、ご興味あるようでしたら是非一度チェックしてみて欲しいですね。 因みにRAWKONの音源は1987年テープアルバム『Street Eagles』で、ボーナストラックとして同年リリースのテープEP『Johny's Eyes』音源も追加収録しております。 ROCK BOULEVARD Line-up:Deland Voth (Lead & Rhythm Guitar、Piano、Backing Vocals) Robbie Woldridge (Drums & Backing Vocals) David Lantz (Bass & Backing Vocals) Marc Grover (Lead & Backing Vocals、Rhythm & Lead Guitar)
by malilion
| 2021-03-06 08:57
| 音楽
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