![]() HMバンドでFORTRESSというバンドは古今東西問わず腐る程今までに存在してきたので『どのFORTRESS?』と、なるのは当然ですが、彼等は1983年に結成され80年代に活発に活動しながらもアルバムリリースに至らなかった、1989年には解散したUSAロサンゼルス出身のキーボード入り5人組メロディックHRバンド で、そんな彼等が1984年から1988年の間に創作し、1989年に録音したとされる音源7曲をリマスター&初CD化で限定500枚リリースしたのを即GET! さらにボーナストラックとして86年録音のデモ音源と88年LIVE音源の2曲を追加収録しており、80年代半ばにサンセットストリップのHMシーンで、POISON、WARRANT、ALCATRAZZ、MALICE、HEAVEN等の後にメジャーデビューを果たし活躍するバンド達のオープニングを務めていた、当時の空気を感じる事が出来るマニアックな一枚となっている。 幾つかのデモ音源をまとめたコンピレーション・アルバムなので少し音源にバラつきがあるし、篭り気味なドラムの音に少々違和感があるが、それでもデモ音源のリマスターと思えば上々の仕上がり具合で、デジタルリマスターとは名ばかりな板起こしの劣悪で適当なリマスター&リイシュー盤と比べれば、妙な音ヨレや音量の上下のフラつき等が無い丁寧なリマスター作業(それでもノイズを全て取り除けなかった)が行われているのが分かって実に好印象だ。 内容の方は80年代中期のUSA産HRらしい、煌びやかなシンセをフィーチャーしつつハードエッジなギターとダイナミックなヴォーカル、そしてお約束のキャッチーな分厚いコーラスが充実した、如何にもアメリカンHRという大味ながらストレートで勢いあるサウンドで、声質等に問題は無いが些かシンガーの Ted Heatの歌唱力に問題があるように思え、そしてヴォーカルメロディもイマイチなインディ・バンドらしいB級USA産HRといった印象で、当時彼等にメジャーレーベルからお声がかからなかったのも頷ける出来と言えよう。 ただ、彼等のサウンドが面白い点は、当時既にAORフレーバーを感じさせる産業ロック的な要素やユーロテイストもチラつかせる今で言うメロハーのはしり的なサウンドに聴こえる所で、これはキーボーディスト Chris Turbisが持ち込んでいる音楽的要素なのだろうが、テンポの良いリフメインでグイグイと疾走感満載に突き進むストレートで豪快なアメリカンHRに、AOR的音色の使い方やユーロ・ロック的な叙情感あるキーボードプレイやJAZZっぽい派手なソロ等で楽曲にアクセントをつけており、彼等のサウンドにその他大勢のインディ・アメリカンHRバンド達のサウンドとの差異をつけ、30年以上経った今でも独特な個性を感じさせる役割を果たしているように思えます。 リズムセクションにはIRON MAIDENやJUDAS PRIEST的なオーセンティックなプリティッシュHMバンドからの影響が窺え、LAメタル的ドライなサウンドやDOKKEN的なソフトでポップなテイスト、そしてラジオフレンドリーなAOR傾向を散りばめつつ、疾走感あるストレートでエネルギッシュなアメリカンHRサにほんのりユーロテイストをまぶしたサウンドは十分に個性的だし、キャッチーなメロディアスHR好きな方や伝統的なHMバンド達が好きな方になら十分訴求するサウンドではあるものの、やはり全体的な楽曲のメロディの質がイマイチなのと、キーボードプレイは随所で叙事詩的な雰囲気を醸し、ソロにバッキングにと手を変え品を変え楽曲を盛り立てて好印象だが、ギターワークは技術的に何の問題もないが特に個性的でもなく豪快なリフメインなのに肝心要のそのリフやソロでのフレーズが耳に残らず印象が薄く、そして最大の問題的はどうしようもなくヴォーカルメロディが垢抜けぬ所(デモだからコーラスもちょっと雑)だろう。 ぶっちゃけサンプルで Chris Turbisが操る印象的なキーボードプレイとサウンドを耳にしていなければ本作に手を出しませんでした、それくらい Chris Turbisの持ち込んだキーボードの音色とユーロロック的要素が変哲の無いUSAインディHRサウンドに華を添え、他に無い個性を生み出していると個人的には思いますね。 まぁ、それでも総合的には雰囲気で聴けてしまえる悪くないアルバムではあるので、80年代中期のキャッチーなUSAバンドの幻の音源、というフレーズに興味が湧いた方ならデジタル配信もしておりますので、一度本作をチェックしても損はないでしょう。 また、トルコのPENTAGRAMのギタリスト Demir DemirkanやTYTONのドラマーとギタリストも在籍し、FORTRESS解散後にシンガーの Ted Heathがフロントマンを務めていた1992年にデモカセット1本と1999年にアルバム一枚をCDーR盤でのみ残し、惜しくも解散したロサンゼルス出身のHMバンド MESHEENのアルバムも、今回同時にデュプリ盤で初リリースとなっているので本作が気に入った方は一度チェックしてみるとよろしいかもしれない。 と、言ってもFORTRESSは腐っても華やかな80年代USAロックなサウンドだが、 MESHEENはガッツリとグランジーな影響を受けている時代のバンドなのでダルく抑揚の少ない淡泊なメロディがメインな、だけどヘヴィさや各プレイヤーの演奏技術という点ではこちらの方が勝っているのは確かなので、グランジー系がお好きな方には90年代初期のグランジーHMの幻のレア音源と言う事になるから興味惹かれるかも? 尚、2016年に彼等はオリジナルラインナップで再結成した模様で、シンガーの Ted Heathは未だにディナーショーでタキシードに身を包みその喉を披露している様だが、現在もしっかり在籍して活動中で、もしかしたら近い将来音源のリリースがあるかもしれないので朗報をじっくりと待ちたいですね。 Band Line-up Kevin Reyes Guitars Arthur Dominguez Bass Chris Turbis Keyboards Ted Heath Vocals Chris Silva Drums
by malilion
| 2021-02-02 20:36
| 音楽
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