![]() 熱心なファンならば英国音楽プロデューサー、キーボーディスト、ソングライターの Jem Godfrey率いるUKモダン・シンフォニック・バンドの最右翼 FROST*のアルバムは全て揃えている事だろうが、そんなファンの忠誠心を確かめるような超弩級アイテムが3000セット限定でリリースされたのを、ちょい遅れてGET! 既発全アルバムの2020年度リマスター&レア音源、そして今年DLのみでリリースされ今回初CD化(!)となる6曲入りEP『OTHERS』を含む8枚組が、LPサイズ(28cm x 28cm)の豪華装丁大判ハードカヴァー・ブックレットに収納されているファン垂涎のマストアイテムだろう。 ブツがブツだけに少々お値段が張ります(涙)が、EP『OTHERS』の現物と今回初出となる17年のライヴ音源や、レア音源集等々、見逃せぬ音源が多数収録されておりますので、これにはファンならずとも注目せざるおえませんね。 まぁ、一連のコロナ騒動で今年は活動がままならなず時間はタップリあった事でしょうし、スタジオに篭ったりセッションしたりする時間も多かったでしょうからEPのみならず新作の準備にも拍車がかかったのかもしれませんので、寡作な彼等にしては次なるスタジオ・アルバムを意外と早く届けてくれそうな予感がします(´ω`) 既発音源については、ここでも以前にご紹介しましたし方々でも詳しくその内容が述べられていると思うのでデータ的な事だけ記載するとして、今回初出な音源やEPについて拙い文章ですが語っていきますのでご容赦を。 なんと言っても本作の目玉は、初CD化のEP『OTHERS』でしょう。 21世紀型シンフォの最先端バンドという呼び名に相応しい3rdアルバムで提示したデジタリーでキャッチーなポップ形態なまま、よりソリッドなボトムがヘヴィネスにウネリ狂い、さらにモダンでエッジあるギターがメロディアスなリフを刻み、非常にキャッチーな歌メロと分厚く爽快なコーラスとデジタル処理されたヴォーカルも相まって、打ち込みも組み込んだダンサンブルなアレンジが効いたフック満載でテクニカルな楽曲群を何の変哲も無い洗練されポップスのようにサラリと聞かせる様は、既にシンフォやプログレ系のバンドとして語るべきではないのかもしれない、そんな未来志向のハイエンドなポピュラー・ミュージックと言えるだろう。 ほぼ Jem Godfreyの独力で作られた楽曲は、前作で凡そ古典的サウンドを好むプログレ勢が手を出さぬ数多くのモダン要素を見事に己のモノとして組み入れ、さらに一段上へサウンドを進化させた3rdの音の数歩先へ進んでおり、高い演奏力は無論の事、楽曲構成や幾重にも重ねられていく緻密なアレンジの妙に Jem Godfreyのセンスが光る、重くズ太い印象が最初に来て、その後デジタリーで煌びやかな音の粒の煌めき、そして最後に奔流のように迸るリズムが躍動する、そんなパワフルな楽曲を激しくキックするエネルギッシュな熱量はHR的で、それでいてどこか冷めた印象のあるスムースなサウンドは、本当に優美で精緻な氷細工の彫刻が艶光っているかのようだ。 個人的に一番驚かされたのは、トライバルなリズムと民族音楽要素、そしてそれ等を打ち込みとデジタリー・サウンドで纏め上げ怒涛のリズム展開と分厚いシンガロングでグイグイ押しまくるTrack3『Exhibit A』は、シンフォやプログレ系でなかなかお目にかかれぬ素晴らしくキャッチーでリズミックな楽曲で、Jem Godfreyの作曲能力の高さを再確認させられました('(゚∀゚∩ 明らかにスタジオで造り込まれたサウンドだし、ロック的なナチュラルなサウンドの響きとかは弱いんですが、既にバンドサウンドが3rdアルバム時点で打ち込みやダブステップも取り込んだデジタリーな方向性へ進化しているので、人工的なモダン・サウンドでも別段拒否反応は起きませんし、そんな生音を好む方は既にFROST*の活動をとっくに追いかけていないだろうから問題はないよね? お値段の張る本リマスター集ではありますが、EP『OTHERS』の為だけに購入しても後悔はしない実に素晴らしい出来栄えだと断言出来ます。 DLで購入しちゃえば音源自体はお安く入手出来るかもしれないが、プログレ&シンフォ系音源はやはり現物で入手してこそなのでねぇ(´∀`) そしてもう一つの目玉、レア&デモ音源集『This And That- B Sides And Rarerities』も見逃せない音源満載であります。 初期のセッションで生まれた未発音源に新たに新録音源を加えて今回初お目見えになった『The Dividing Line』は、初期のシンフォ・テイストを残しつつ、最先端のモダン・デジタルサウンドへブラッシュアップされているような楽曲で、ヴァイオリンや打ち込みサウンド、ループ、そして分厚いコーラスのアレンジが効いている楽曲がめくるめく複雑怪奇に展開していくデジタル・プログレとでも言うべき長尺曲で、どうして今まで未発だったのか不思議なくらい魅力的な楽曲だ。 その他にも、初回限定盤のみ収録のボーナストラックや、アルバム収録時とイメージの変わる日々のセッションの影響が色濃く反映されたデモと呼ぶにはクオリティの高すぎるデモ音源、そしてFROST*にはマッチしないかもしれないと思い仕舞い込んでいた古いデモ音源に手が加えられて新曲へ生まれかわる途中の音源や、完成前の収録曲に即興演奏部分が残された音源だったり、編集ソフトウエェアの試しに実験してみたジョーク音源等、彼等の創作の過程や変化を聴き取る事が出来る貴重音源が目白押し(Ivor Novello賞作家のRobin Beanlandが無料で素敵な編曲作業をしてくれのに Jem Godfreyが Phil Collinsッぽいバラードにしてダメにしてしまった裏話等)でファンはホクホク顔だろう。 まぁ、アルバムの間のインターバルが長いし、メンバーチェンジ等も頻繁に起こっているので当然のように未発音源やセッション音源等が多数存在するのは予想がついたが、これでもまだまだ一部な模様なので、いつか未発音源満載なアーカイヴアルバムをリリースして欲しいものであります(´ω`) 既発音源のリマスターについては、全てが元々音の悪いアルバムでなかったので70代音源のリマスター再販盤のような絶大な効果はありませんが、それでもデビュー作が06年という事を考えると、彼等のように最新のテクノロジー技術をふんだんに活用しているバンドの作品としては古臭く聞こえてしまうのを少しでも緩和する効果はあるように思えます。 つまりファンは即買うべきメガアイテムであり、彼等のアルバムを一枚も持っていないモダン・シンフォ好きな方は本作を購入する事で彼等のスタジオ音源を全て入手する事が出来るお得盤でもありますので、是非ご興味あるようでしたら一度チェックしてみて下さい。 Disc1:『Milliontown』'06 記念すべきデビュー作。REMASTER 2020 Line-up: Jem Godfrey (Keyboards) John Mitchell (Guitars、Vocals:ARENA、IT BITES、KINO、etc…) John Jowitt (Bass:IQ、ARENA、JADIS、etc…) Andy Edwards (Drums:Robert Plant Band、IQ、etc…) John Boyes (Guitars:FREE FALL) Disc2:『Expeliments In Mass Appeal』'08 アッサリ解散の後、再結成されリリースの2nd。REMIX & REMASTER 2020 Line-up: Jem Godfrey (Keyboards、Backing Vocals) John Mitchell (Guitars、Violin、Backing Vocals) John Jowitt (Bass) Andy Edwards (Drums) Declan Burke (Lead Vocals、Acoustic Guitars:DARWIN'S RADIO、etc…) Disc3:『Falling Sattellites』'16 デジタリーにさらなる進化を遂げた3rd。REMASTER 2020 Line-up: Jem Godfrey (Electric & Lap Steel Guitars、Keyboards、Railboard、Vocals) John Mitchell (Guitars、Vocals) Nathan King (Bass:LEVEL42、IT BITES、etc…) Craig Blundell (Drums:David Cross Band、etc…) Disc4:『Falling Sattellites』'20 今回初出となる3rdのInstrumental Version。REMASTER 2020 実は意外にオフ・ヴォーカルのお陰で演奏の細かなニュアンスまでもがバッチリ聴こえて、色々と楽しめる本作ならではの一作だ。 Disc5:『Falling Satellive』'20 初出となる11月24日のライヴ。Live at Dingwalls, London, 24th November 2017 10曲58分。 Line-up: Jem Godfrey (Electric & Lap Steel Guitars、Keyboards、Chapman Stick、Vocals) John Mitchell (Guitars、Vocals) Nathan King (Bass、Bass Synth、Vocals) Craig Blundell (Drums) Disc6:『Others』'20 新録EP。6曲32分。 Line-up: Jem Godfrey (Vocals、Keyboards、Guitars、Railboard、Bass、Drums) Craig Blundell (Drums) Andy Edwards (Drums) Tracks Listing 01. Fathers 02. Clouda 03. Exhibit A 04. Fathom 05. Eat 06. Drown Disc7:『The Philadelphia Experiment』'10 再結成後のライヴ盤。Live at The Keswick Theatre, Glenside, 2nd May 2009。 Line-up: Jem Godfrey (Keyboards、Vocals) John Mitchell (Guitars、Vocals) John Jowitt (Bass、Vocals) Nick D'Virgilio (Drums、Vocals:SPOCK'S BEARD、BIG BIG TRAIN、etc…) Declan Burke (Lead Vocals、Guitars) Disc8:『This And That- B Sides And Rarerities』'20 初出となるタイトル通りなレア&デモ音源集。 Tracks Listing 01. The Dividing Line 02. Lantern 03. British Wintertime 04. The Forget You Song 05. Numbers (Day 1 Demo) 06. Towerblock (Day 1 Demo) 07. Heartstrings (Demo) 08. Closer to the Sun (Demo) 09. The Raging Against the Dying of the Light in 7/8 (Day 1 Demo) 10. Last Day (Demo) 11. Hyperventilate Hypoventilate Paulstretch Test 今回の8枚組限定盤は膨大な量の音源集ではありますが、これで全て彼等の既発音源が完全にコンプリート出来る訳ではなく、本作に未収録の『The Rockfield Files』'13や『Frost*Fest Live』'09なんてのもありますし、アルバム未収録音源を収めたシングルだったりもあるので彼等の事を良く知らない方はお間違いなきように。 地味ぃ~に、限定盤とかオマケ付きとか色々出してるんですよ、ええ。その辺、如何にも英国バンドの伝統的お約束って感じですよね(w
by malilion
| 2020-12-17 18:47
| 音楽
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