THE FLOWER KINGS 「Islands」'20北欧スウェーデンの大御所プログレ・ギタリスト Roine Stolt率いるシンフォ・バンドが、まさかのインターバル1年足らずで待望の14thアルバムをリリースしたのを、ちょい遅れてGET! アメリカ人キーボーティスト Zach Kaminsとドラマーに Mirko DeMaioを新たに迎え6年ぶりにリリースされた前作『Waiting For Miracles』が好評だった事もあり、さらに世界を襲ったコロナショックの為もあってか、意外なほどに新譜リリースが早くて驚かされました。 しかも再び二枚組の大ヴォリュームな新譜となっており、今回はシンフォ定番の大曲は無いものの、多彩且つダイナミックな曲調等のコンパクトな小曲で構成されたアルバム全てが組曲構成のような作風で、荘厳な合唱も交えた華やかなオーケストラル・パートも有ったりと、前作から参加の Zach Kaminsの貢献で大きくリフレッシュされたバンドサウンドが今回も多種多様な新要素を垣間見せつつエキサイティングに展開する圧巻のシンフォ・サウンドを聴かせております(*´∀`*) Roine Stoltが語る本作のテーマは『Isolation(孤立、隔離)』との事で、明らかに現在の世界的なパンデミックに触発されたアルバム・コンセプトではあるが、サウンドの方はいつも通りにキャッチーで朗らか、そして思いの他にリラックスした穏やかな雰囲気さえあるサウンドなので『陰鬱でダークな長尺のコンセプト・サウンドか!?』と身構えた方はどうか安心して欲しい。 お馴染みな70年代回帰型のレトロ風味なHR寄りプログレッシヴ・ロックを、現代風なモダン要素を加えてブラッシュアップしたスケール感の大きいサウンドを基本に、今回はソリッドでヘヴィなサウンドは幾分か控え目で、シンフォニックな優美さと艶やかなユーロテイスト満載な叙情感あるメロディアス・サウンドが多目のバランスとなっており、何時ものようにヴォーカルと分厚いコーラスは歌心があって実にキャッチーで聞きやすく、北欧プログレお得意のヴィンテージ感漂う哀愁のメロディとエモーショナルながらも透明感あるギター・サウンドが味わい深いのはそのままに、いつになくメロウで繊細なトーン(ちょっとQUEENっポイ感じのギターフレーズだったりのお遊びもあったりで)が強目な上に、サイケデリックやJAZZ、そしてフュージョンっポイ要素が楽曲全体から色濃く漂っており、それが思いの他に爽快で新鮮な感触を与える作風となっている。 YESやGENESISを彷彿させる要素や、ヴィンテージなキーボード・サウンドにスリリングなギター・ソロ、そして変拍子のリズム・パターンや交響楽的な楽曲構成と、従来のTHE FLOWER KINGSサウンドを特徴づける要素は全て残しつつも、絶妙なニュアンスを感じさせる美しくメロディアスなサウンドとパッと聞きポップスのように簡素に思える短くコンパクトな楽曲は、その実かなり緻密で複雑な手の込んだ細工が成されており、メンバー各自がアメリカ、イタリア、オーストリア、スウェーデンに住んでいる為、インターネットを使ってファイル交換して本作の全21曲を完成させたらしいが、とてもそう思えぬ一体感と余裕あるアンサンブルとハーモニーの妙が楽しめ、流石はベテラン勢が放つアルバムだと納得しきりだ。 また、今回は現在主流なダークでヘヴィなボトムサウンドの塊を叩きるけるパワー志向なMIXに挑むような、70年代の作品で多く聴かれたのと同様にドラムの録音レベルが少し低めにMIXされている模様で、その効果もあってかよりメロディアスでテクニカルなサウンドの繊細な響きが際立って聴こえ、そのお陰で普段なら裏方で余り良く聞き取れぬ Mirko DeMaioが叩き出すロック寄りなドラミングや細かなニュアンスの全て聞き取れるだけでなく Jonas Reingoldの素晴らしくテクニカルなスウィングするベースプレイも良く聴こえ、今回の70年代回帰的なドラムサウンドを余り前面に出さぬMIXが巧く機能しているのが分かる。 前作でも多種多様な楽器を操り、オーケストレーションに至るまでその的確でハイセンスなテクニカル・プレイと絶妙のアレンジ力で、幾分かマンネリズムに陥りかけていたTHE FLOWER KINGSサウンドに新鮮な風を持ち込み、一気にバンドサウンドのレベルを一段引き上げモダン化を加速させる事に成功した Zach Kaminsは今回も素晴らしい鍵盤捌きを見せており、聴き慣れたクラシックなキーボード・サウンドを多用しつつ随所で現代的なサウンドを取り入れ、華やかなオーケストレーションのエレガントで艶やかな音色は前任者の Tomas Bodinのプレイでは余り感じられぬプレイであったり、GENESIS&YESタイプの楽曲ではJAZZの影響を受けたテクニカルでモダンなキーボード・リックとスムーズで洒落たギター・ワークが小気味よく絡み合ったりと、各方面からこのアルバムのサウンドをより新鮮なモノにしているのは見逃せないだろう。 バックのサウンドばかり述べて来ましたが、今や完全にバンドの顔となった Hasse Frobergのヴォーカルは、リードパートも Roine Stoltとのメロゥなハーモニー・パートでも相変わらずエモーショナルで伸びやか、そして穏やかなその歌声は実に説得力があり、数あるシンフォ・バンドの中で比べても控えめに言って最高レベルだ(´ω`) ボスである Roine Stoltのギター・プレイは余り自己主張する事なく楽曲に即したメロディを奏で、数多くのソロを執っているがそれでも十分に随所でスリリングな輝きを放っており、感情的で味わい深いプレイや独特のトーンはどれも素晴らしく、加えて今回はJAZZっぽい洒落たプレイを多く聴かせてくれ、実に新鮮な気分にさせてくれる。 また、今回は Steve Hackett BANDの Rob Townsendが一曲でソプラノ・サキスフォンをゲストプレイし、その見事な演奏と艶やかな音色でアルバムに華を添えております。 北欧シンフォ・ファンやTHE FLOWER KINGSファンは当然、迷う事なく即買いで、ドラマチックで優雅なオーケストレーションと荘厳な混声合唱が導入されたファンタジックな気品ある美しいシンフォ・サウンドやキャッチーで華やかなユーロピアン・シンフォ・サウンドがお好きな方ならチェックしても決して損はする事ない、そんな彼等の新作の程をどうか一度その耳で確かめてみて下さい。 THE FLOWER KINGS Members: Roine Stolt (Vocals、Ukulele、Guitars、Additional Keyboards) Hasse Froberg (Lead Vocals、Acoustic Guitar) Zach Kamins (Pianos、Organ、Synthesizers、Mellotron、Orchestrations) Jonas Reingold (Bass、Acoustic Guitar) Mirko DeMaio (Drums、Percussion) With: Rob Townsend (Soprano Saxophone) P.S. 国内盤リリースが決定し、しかもボ-ナストラックが1曲追加されておりますので、音源マニアな方は少々お高いですが国内盤をお求めになる方がよろしいでしょう。 っても、たった1曲の為に千円近くを払う人は、熱心なファン以外に居ないよなぁ… 最近、この手のボッタクリ具合がエグくなり過ぎてて、結局目先の小銭の為に長くバンドを愛してくれるファンを生む機会を減らしそうで心配ですわ…
by malilion
| 2020-11-23 11:35
| 音楽
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