![]() 英国バーミンガムからデヴューの、元HANGING DOLLSのドラマーであり、SHY、Spike of The QUIREBOYS、GINGER等のアーティスト達のプロデュースも務めて来た Alex Cooper(英国ポップバンド Katrina And The Wavesのドラマーとは同姓同名の別人)自らがフロントを務め率いるツインギター5人組ブリティッシュHRバンドが、19年リリースの4曲入りEP『Out Of The Dark』以来約1年ぶりとなる2ndフル・アルバムをリリースしたので即GET! 英国バーミンガムと言えば、LED ZEPPLIN、BLACK SABBATH、JUDAS PRIESTなど錚々たるバンドが登場してきた都市としてロック・ファンには有名で、間違いなくHM発祥の地と言え、その後もNAPALM DEATHなど数々のHMバンド達が登場してきたそのバーミンガムから、注目の新人バンドが登場だ! Alex Cooperと元SCORPIONSのギタリストとして有名な Uli Jon Rothバンドの元ドラマー Lars Wickettを中心に13年に結成され、しばしの後に英国でもトップクラスのLIVEアクト(当初はDEVILSTAR名義で活動していた)として知られる事となった彼等は、元NIGHTWISHの歌姫 Tarja Turunen嬢の長期に及ぶ東ヨーロッパ・ツアーにデビュー前ながら同行し、その新人離れした見事に練り上げられ洗練されたメロディアスな楽曲で着実にファンを獲得し、満を持して『Dark Manoeuvres』'17 にてデビューを果たす。 デビュー作で聴けた80年代メロディアスHRをベースに、ダーティでグラマラスなグラム要素とBON JOVIの様な朗らかアリーナ・USAロックバンド要素を巧みに取り込み、英国伝統バンド(THUNDER、LITTLE ANGELS、MAGNUM、etc...)達を彷彿とさせる湿り気を帯びたポップ要素をMIXさせたダークな叙情的メロディとブルージーな雰囲気が漂う楽曲の基礎をタイトでキャッチーなリズムが構成しており、フックあるメロディと畳みかけるビート、力強く伸びやかなヴォーカルとシンプルながら疾走感あるギターワークが絡み合い、ミステリアスで退廃的な雰囲気の漂うサウンドは、古いようで新しいなんとも言えぬ感触のブリティッシュHRサウンドで、果たしてその独特なサウンドがどう変化したかが注目の新作だ。 まず、メンバーチェンジがEP『Out Of The Dark』前に勃発しており、デビュー作で好演を繰り広げたベーシストの Davey Bennett とギタリトトの Richard Bloomer Daviesが17年に抜け、時を置かずして英国プログレHMNバンドMONUMENTの元ベーシスト Daniel Bateと、ギタリストの Kieran Toppが新たに迎え入れられていたが、EP収録前に Daniel Bateから Jamie Downesへベーシストが三度チェンジし、メンバーチェンジの影響など無かったかの如く本作でタイトでグルーヴィなプレイを披露しております。 バンドの基礎は Alex Cooperと Lars Wickettの二人とは言え、やっぱりシンプルなサウンドのバンド程、メンバー間のケミストリーが重要になってきますし、なによりメンツが安定しないと活動も不安定になりますからね。 本作の内容についてですが、やはり一番の注目ポイントは基本的にヴォーカルを主軸に据えたオーセンティックなブリティッシュHRサウンドを聴かせるバンドだけに、フロンロマンでありボスである文字通りバンドの中心人物の Alex Cooperの歌いップリの如何になる訳ですが、元MSGの Robin McAuleyと元BLACK SABBATHの Tony Martinを足して二で割り、暑苦しい苦り声成分を加えたようなパワフルなヴォーカルは音楽とグループとのハーモニーが際立っており、前作以上に熱を帯びて伸びやか、そして華やかさと堂々さが増していて期待にしっかりと応えるパフォーマンスであります('(゚∀゚∩ クラシカルなブリティッシュHRバンド達のサウンドに通じるブルージーな雰囲気を持った楽曲や、目が覚めるようなフックと流れるようなメロディが特徴的な楽曲、AOR要素を感じさせる洗練されたキーボードを用いた豊かな音色が耳を潤す楽曲、英国らしいメランコリックなメロディの楽曲等々、キャッチーでフックあるサウンドには多くの幅広い異った音楽的影響が窺え、変化に富んだ楽曲の数々を見事に歌い上げる Alex Cooperの放つエネルギッシュで冴えわたるヴォーカル・パフォーマンスが前作以上の勢いと熱量とメリハリを楽曲に与え、骨太なブリティッシュHRサウンドが所狭しと轟いている様は、とてもフル・アルバム2枚目のバンドと思えぬ風格させ感じさせる見事な仕上がり具合だ(*´ω`*) ドラマーの Lars Wickettとベーシスト Jamie Downesのリズム隊が叩き出す渦巻くような轟くビートに乗って、パワフルなリズム・ギターとテクニカルなリード・ギターを巧に絡める Baz Blackettと Kieran Toppのギターコンビは無駄なソロを披露する事無くコンパクトで楽曲第一を心掛けた耳に残る滑らかで絶妙なメロディを紡ぎ、それでいてハードエッジも忘れぬ音の塊のような硬質なプレイを繰り広げ、ちょっと聞きシンプルに聴こえて実は複数のエフェクトが巧妙に組み込まれたかなり手の込んだ複雑な総じてキャッチーなサウンドは、楽曲のビートをリズミカルに強調する控えめながら的確なシンセと甘味と優美さを感じさせるストリング・アレンジも相まって、新人ばなれした洗練度と完成度と言えるだろう。 Alex Cooperが裏方のプロデュース業を行って来ただけあって、伝統的な英国風サウンドとアメリカン要素をほんのりMIXした80年代風メロディアス・ロックサウンドに、EP時から積極的に導入したストリングスを加えた、耳障りが良く、滑らかで甘いモダンなサウンドアプローチも垣間見せつつ、決して軟弱にならぬ様にブリティッシュ・ハードロックらしいメタリックでエッジあるヘヴィなギター・サウンドを随所にフィーチャーしてパワフルさと荒々しさを保持し、それらを上手く調和させる手腕は流石の一言で、メロディアスでキャッチーで親しみやすいモダンHRサウンドで十代の若いリスナー達にアピールするだけでなく、70年代から続くブリティッシュHRの伝統的フォーマットを踏襲する事で古参ロックリスナー達にもしっかりとアピールする、なかなかに堅実で強かな、ポッと出の新人キッズバンドには真似出来ぬ戦略には唸らざるを得ません(´∀`) 妙にヘヴィになるでなく、HRだからとスピードに頼る事もなく、無駄なソロパートなど見当たらぬヴォーカル主体のコンパクトでキャッチーな楽曲を、ミッドテンポ主体ながらこれだけ多種多様な幅を感じさせるスリリングで耳を惹くメロディアスな楽曲造りをこなせるのは、彼等のソングライテイング技術の高さを物語っているように思います。 反面、Alex Cooperを始めベテランらしいキャリア組が制作した作品な為か、アルバムは全体的に非常にバランスが取れており欠点らしい欠点や破綻した箇所も無いのだが、その完成度の高いベーシックな英国HRロックサウンドに『コレ!』と言った突出した個性や独創性が見当たらず、ヴィジュアル的にも特に個性的な訳でもない垢抜けない典型的ロッカー達(汗)なので、今一つ地味に見える存在になってしまっているのが残念でなりません。 完成度を優先した為か楽曲の彩りは多様なものの総じてスケール感が小粒に感じられ、所謂アルバム全体で聴かせてしまう伝統的な英国バンドのお家芸と言えるメロディアスHR的な作品の典型的パターンに思え、やはり現状を変化させるには、何かしら特異な独創性を示すか、強烈なキラーソング、ヒットシングルでもなければこのままズルズルとその他大勢の先輩英国バンド達と同じようなA級に成り切れぬままB級クラスで焦れ続ける道を辿りそうで、そこだけが少々心配であります…… 後は楽曲の完成度と高品質なサウンドの出来具合と裏腹に、ジャケットはまるで劣悪なB級インディ・バンドみたいなチープさと趣味の悪さ(インディHRバンドらしい、と言えばらしいけど…)を感じさせるので、そこだけはなんとかした方が良いと思うなぁ~(汗 また、ゲスト・のヴォーカリスト Eric Dover(ex:JELLYFISH、ex:Slash、ex:LOST ANGELS、ex:Alice Cooper Band)とマルチ・インストゥルメンタリストの Ash Sheehanに二人がコラボレートして楽曲に参加しており、両名のファンは要チェックだ。 新人バンドらしからぬ貫禄さえ漂うサウンドとプレイを披露する彼等ですが、まだまだ知名度も活動範囲も限られている期待の新鋭ですので、ブリティッシュHR好きな方ならば聴き応えある本作を是非にチェックしてみて下さい。 DEVILFIRE Members: Alex Cooper :Vocals Baz Blackett :Guitars Kieran Topp :Guitars Jamie Downes :Bass Lars Wickett :Drums
by malilion
| 2020-10-08 20:12
| 音楽
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