SIMON SAYS 「Spin This +6」'20
カナダはケベック出身でツインギター&キーボーディストを擁する6人組メロディアスHR&AORバンドが91年に唯一リリースした7曲入りミニ・アルバムにボーナストラック6曲を追加してEscape Musicからリマスターに加えニューアートワークとオリジナル・アートワークのリバーシブル仕様で限定1000枚のリイシューが成されたのを即GTE! 本作は元APRIL WINEのギタリスト Gary Moffetの手によってプロデュースされており、当時CDとカセットでそれぞれ500枚(!?)のみ発売という曰くつきのアルバムで、現在はオリジナル盤が珍しく内容も良い極小数プレス盤としてマニアに高額取引されており、今回目出度くリイシューされて歓喜しているメロハー・ファンは多い事でしょう(*´ω`*) さて、本作の内容はと言うと、Gary Moffetの見事なプロデュース手腕もあってかカナダらしい淡い哀愁と透明感を感じさせるポップでメロディアスな、妙な癖の無い非常に洗練された80年代後期風産業ロック・スタイルで、キャッチーでコンパクトな楽曲満載なポピュラリティの高いヘヴィ過ぎず甘過ぎずなバランスの取れた高品質サウンドを聴くに、当時メジャー契約を結び大手からリリースされていた隠れたカナディアン・メロハーバンドの名盤と言われても誰も疑わぬだろう秀逸な出来だ。 ただ、当時既にグランジーの闇が全米を覆っていた事を考えると、カナダのメジャーレーベルもその時流を意識して内容どうこうより旧来からの売れ線王道スタイルである本バンドの作品に興味を示さなかったのかもしれない。 因みにフロントマンの Johnny Zatylnyはこの後、Freddie Mercuryのモノマネ(ディナーショー等で人気者に)アーティストの一人として広く評価される事になるが、当時の彼のヴォーカル・スタイルにその片鱗は感じられず、80年代後期アメリカン産業ロックにピッタリな甘い声質で、ミドルレンジの歌唱を主体にしつつシャープなハイトーン・ヴォーカルも時折交え、完成度の高い楽曲の上で情感豊かで伸びやかな歌声を披露している。 また、今回追加されたボーナストラックの楽曲も、産業ロックらしいキャッチーで素晴らしいメロディ、爽快感あるヴォーカルと分厚いコーラス、ソツなくテクニカルでメロディを第一に考えたフックあるギター・プレイ、時に艶やかなナチュラルサウンドで時にデジタリーサウンドで煌びやかで印象的なメロディを奏でるキーボードと、それら全ての要素がブライトな楽曲を飾り立てるメジャー路線のアリーナ系メロディアス・ロックサウンドで、当時これらの音源を収録したアルバムがインディでリリースされ話題になっていたなら、間違いなく国内盤がゼロコー辺りからリリースされて好評を博していただろう素晴しい出来だ。 これだけ素晴しい出来のアルバムであってもグランジーの闇に覆われたアメリカのシーンに引っ張られた感のある当時のカナダ・メジャーシーンで受け入れられなかったのが悲しく不条理に思うが、それが流行と言えば流行なのかもしれませんね…(´д⊂) しかし、このAOR張りな優し気なヴォーカルと出しゃばらず『ココゾ!』という時に美旋律を奏でるシンセ、そして惰弱一辺倒になりそうな楽曲を引き締めるハードエッジなギター二本の絶妙な絡み、それらを包み込むキャッチーな分厚いバッキングコーラスと、カラッとしたドライなサウンドと大味な事が多いアメリカン・ロック勢と一味違うユーロ的ウェットな叙情感を漂わせつつ繊細なメロディと爽快感を感じさせるサウンドを聴くに、やっぱりカナダのバンドって得も言われぬ独特な味わいがあるなぁ~、と再確認しましたネ♪ もし本作リリース後に時流を考えてもう少しパワーとエッジを加えたハード目でダークなサウンドのアルバムをリリースしていたならばもう少し活動を継続出来たのかもしれないしメジャーレーベルからも興味を持たれたかもしれないが、それでは彼等の素晴らしいサウンドが損なわれてしまうのは明白なので、潔く解散を選んだ彼等を称えるべきかもしれません。 今回のリイシューで、聴く人を笑顔にするAORハード&メロディアスでポップな彼等の素晴らしい音楽が一人でも多くの方の耳に届く事を祈っております(*´ω`*) まぁ、今はDLで時と場所を選ばずに音源だけなら購入出来てしまうので限定何枚がどうとか関係ない、と考えているDL中心なリスナーな方も多いかもしれませんが、それでもやはり現物を持っていてナンボと私のようなコレクション癖のある者は考えてしまうので、同じように現物主義の方は限定盤故に購入はお早目にネ! 因みに私の購入した盤は0957枚目でした(w SIMON SAYS Members: Johnny Zatylny (Lead Vocals) Tim Higgins (Rhythm Guitars) Darryl Stevens (Lead Guitar) Wayne Higgins (Bass) Matthew Coull (Keyboards、Hammond、Backing Vocals) Alan Knight (Drums、Backing Vocals) Produced by Gary Moffet
by malilion
| 2020-09-21 15:25
| 音楽
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