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英国のベテラン勢が結成したレトロ・ロックバンドCATS IN SPACEのデビュー作がボーナスCD付きの2枚組でリイシュー!


英国のベテラン勢が結成したレトロ・ロックバンドCATS IN SPACEのデビュー作がボーナスCD付きの2枚組でリイシュー!_c0072376_12001992.jpgCATS IN SPACE 「Too Many Gods -Infinity Edition-」'20

以前ここでも紹介し、キャッチーでポップなノスタルジック・サウンドが個人的にドンピシャだった、SWEET、AIRRACE、MORTIZ等のバンドで活動してきた古強者達によって結成された英国産6人組メロディアス・ロック・バンドの、15年リリースのデビュー作『Too Many Gods』にボーナスディスクを付け2枚組として新たにリイシューしたExpanded Special Editionをちょい遅れてGETしたのでご紹介。

少し大きめな限定6面デラックス・デジパック2CD仕様で文字やトレードマークの猫頭(?)にシルバーのエンボス加工が施された豪華装丁仕様盤だ。

なんでもオリジナルの1stは既に完売して入手困難との事なので、もしまだ彼等のデビュー作が欲しいけど入手していない、といったメロディアス・ロック愛好家な方がいたらこのチャンスをお見逃し無く。

単に追加プレスするのではなく、オマケを付け加えてリイシューしてくれるサービス精神旺盛(お値段もお手頃!)な彼等に感謝を!(*´ω` *)

古強者なメンツの方は、
Paul Manzi (現ARENA 現RAW GLORY ex:Oliver Wakeman BAND ex:Andy Scott's SWEET:Lead Vocal、G、Key)
Greg Hart (ex:MORTIZ ex:IF ONLY ex:GTS:G、Key、Vo)
Dean Howard (ex:BAD COMPANY ex:IAN GILLAN BAND ex:T'Pau ex:再結成AIRRACE:G)
Jeff Brown (ex:Andy Scott's SWEET ex:STATETROOPER ex:WILDFIRE:B、Vo)
Andy Stewart(ex:MORTIZ ex:IF ONLY:Key、Vo)
Steevi Bacon(ex:Robin Trower BAND:Ds)

という、ベテラン・ミュージシャン等で構成されているので、各バンド名を見てピピッ! と来た方はチェックしても損はありませんよ。

Track List:
CD 1
01. Arrival
02. Too Many Gods
03. Stop
04. Last Man Standing
05. Mr.Heartache
06. Unfinished Symphony
07. Schoolyard Fantasy
08. Greatest Story Never Told
09. Only In Vegas
10. Man In The Moon
11. Five Minute Celebrity
12. Velvet Horizon

CD 2
01. Scandalous
02. How Does It Feel (Featuring Danny Bowes)
03. Greatest Story Never Told (Orchestral Mix)
04. Too Many Gods (Live At Newcastle City Hall 2017 December)
05. Greatest Story Never Told (Live At Newcastle City Hall 2017 December)
06. Five Minute Celebrity (Live At Newcastle City Hall 2017 December)
07. Schoolyard Fantasy (Instrumental Exclusive To CD)
08. Mr.Heartache (Original Demo Exclusive To CD)
09. No Regrets (Never Before Heard Recording From 2016)

ボーナス音源についてですが、デビュー作が有名バンドのサウンドエッセンスをパクリ擦れ擦れ(汗)に随所に散りばめ、シャレオツでポップなELO風な雰囲気で纏め上げた作風だったのに、続く2ndではHEEP風&QUEEN風なキーボードとコーラス、そして Brian May風なギターの割合が増えて全体的にレイドバックした雰囲気とうっすらプログレ・テイストが漂っている、80年代風ハードポップ色が薄れて70年代後期風HR色が強まった彼等でしたが、今回収録の音源も2nd以降の方向性となっているので、1st路線の音を求めている方にはちょっと残念なオマケ付きリイシュー作と言えるかもしれません。

唯一、3曲目だけがギターやドラム等の音が抑えられ、代わって豪華で分厚いストリング、ピアノ、シンセ、オルガンやフィメール・バッキングコーラスが強められた艶っぽいサウンドのオーケストラミックス・バージョンで、オリジナル・バージョンより一層に元ネタのELOにより接近したシンフォニックな響きが美しく、デビュー作を気に入った方ならばその音源を聴く為だけにも手を出してみてもいいのでは?

LIVE音源の方は、流石はベテランと言った安定した演奏とコーラスで、LIVEならではのラフさと生々しさやアレンジの変化を加えつつ、アルバムの方だと借り物なサウンドテクスチャーが幾分気になったのですが、LIVEではそんな雰囲気は微塵も感じさせぬ熱気を伴った好演を終始繰り広げております(*´ω` *)

また、彼等は3rdリリース前に7曲収録のLIVEアルバム『Cats Alive!』'18 をリリースしているが、そちらは2017年3月に彼等がTHUNDERをサポートしたCardiff Motorpoint Arenaにて録音された音源なので、春と冬の3月と12月の演奏を聞き比べてアレンジの違いや演奏の差を楽しんで見ては如何だろうか?

2ndリリース前の録音曲は、幾分か1stの雰囲気を引き継いだちょっとノスタルジックなテイスト香る楽曲で、1stに収録されていてもなんら問題ないポップでキャッチーな佳曲だ。

そうそう、2曲目にTHUNDERのフロントマン Danny Bowesが参加しているのは、きっと17年のLIVEサポートで出来たツテでしょうね(*´ω` *)

英国のベテラン勢が結成したレトロ・ロックバンドCATS IN SPACEのデビュー作がボーナスCD付きの2枚組でリイシュー!_c0072376_11403497.jpg

CATS IN SPACE 「Day Trip to Narnia」'19

ついでに去年の春頃にリリースされていた、LIVE盤『Cats Alive!』の発表を挟み前作から約2年ぶりとなる3rdアルバムも今頃(汗)にご紹介。

60年代末期から70年代初期にかけて多くのバンド達がロックンロールやポップロックを試行錯誤して組み合わせ、幅広いファンに受け入れられ易い音楽フォーマット=ラジオフレンドリーな売れ線ミュージックを創り上げてきた歴史を音楽ファンならば誰もが知る事と思う。

父親世代から息子や娘に至るまで、今やクラシック・ロックと呼ばれる華やかだった英米のメインストリーム・ロックの音楽フォーマットは世代を超えて今尚愛されており、ロックファンにとって非常に馴染み深くポピュラリティ高い音楽と言えるだろう。

このフォーマットを確信犯的なまでに大胆に活用したデビューアルバム『Too Many Gods』'15 が好評を得て以来、DEEP PURPLE、STATUS QUO、THUNDERとのツアーサポートに始まって、謙虚にLIVEハウス周りから始まり、遂にはHammersmith Odeon、Hyde Park、そしてThe London 02 Arenaにまで到達した彼等は、Phil CollinsやBLONDIEとのHyde Parkでの演奏を経て、前作を踏襲しつつ音楽性をさらに拡げた2ndアルバム『Scarecrow』'17をリリースし着実に活動範囲と市場を拡げる成果を上げて来た。

そんな彼等が、さらなる意欲的な挑戦作をリリースしてきた。

まず目を惹くのは、デビュー作からエンジニアリングを担当していた Mick Wilson(ex:10cc Ds & Lead Vocal)が今回からメンバーとして名を連ねて(でもメンバーフォトには収まっていない…)おり、クレジットにはVocals、Acoustics & Additional Synthesizers、とあるが、実質的にはアルバム後半の一大組曲の分厚いヴォーカルパートや複雑な楽曲を再現する為のヘルプ要員としてエンジニアを超えて多数のパートで客演した為にメンバー扱いになっているのだろう。

なので本作は、前作同様のメンツに1人加えた7人組バンドとして制作と言う事に成っております。

さて、本作についてだが、最初に一聴した時この新作のサウンドに余りピン、と来なかったと言うのが正直な感想でした……

以前からアナログLPのA面、B面を意識したアルバム作りをしてきた彼等が、本作でさらにその嗜好を推し進め、前半部分のA面を自身も踏まえたロックスター達の目を通しての、音楽業界への幻滅をシニカルに、自嘲気味に、英国人独特な毒舌を効かせ、音楽ビジネスのダークサイドやビッグネームなバンド程に悩まされるカジュアルなファンとハードコアなファンとの関係等の問題を白日の下に晒して批評している楽曲が多い為か、QUEEN張りな分厚い華麗なコーラスやキャッチーな歌メロが多く聴かれるものの、隠しようもなくダークな雰囲気が漂っている事や、そうしたコンセプトに引っ張られたのか、最初の2枚のアルバムのような朗らかでキャッチーな屈託ないブライトサウンドや即効性ある美旋律や耳を捉えて放さぬポップな歌メロが弱く感じられたのです。

また、B面の27分を使ったコンセプチュアルな『The Story Of Johnny Rocket』で構成された、宇宙へ憧れ宇宙飛行士になる事を夢見る Johnny Rocketの少年時代から恋人 Twilightとの出会い、熱烈な恋に落ち、婚約し、宇宙への任務から帰ったら結婚しようという約束が悲劇的な結末を迎えるお約束的展開からの、最後に Johnny Rocketは実は宇宙に行っておらず、TVが騒ぎ立てる一連のアクシデントは国民を騙すためのデマであり、別人となった Johnnyと Twilightは約束通りに結ばれる、という世界中の陰謀論者が喜びそうなネタを仕込みつつ希望を持たせる結末は、誰もが一度は持つだろう少年の夢にヒネリを加えた彼等独特な物語として描かれており、コンセプトアルバム的に作り込まれた楽曲、分厚く美しいヴォーカル・ハーモニー、そしてテクニカルでソツないベテランらしいプレイで隙無く仕上げられているものの、そういった一大絵巻的な物語ゆえにコンパクトさやキャッチーさがイマイチな感が拭えず、このバンドにコンセプトアルバム的なスケールの大きい重厚なサウンドをファンが求めているのかと言うと、ちょっと疑問で……(汗

どうしてもコンセプチュアルな創りの影響に引っ張られてしまったのか、個々の楽曲の印象やメロディをもうちょい大切にした作りならもっと即効性があるように思えたんですがねぇ…後、唐突なディスコっぽいアレンジのデジタリー・サウンドにも『何故にディスコ??』と、戸惑ったのが大きかったかも(苦笑

とは言え、その宇宙一大絵巻的なストーリー性のせいで、2ndで薄まったELO風味ある壮大でポップなオサレ・サウンドが再び色濃く感じられるQUEEN+ELOなサウンドになっているは、彼等のデビュー作を気に入っていたファンには嬉しい点と言えるかもしれない。

ただ、聞き込むうちに本作には多くの隠された深味と仕掛けが施された、E.L.O、SUPERTRAMP、PILOT、QUEEN、10cc、SWEET、KISS、RUSH、そしてTHE WHO等の偉大な先人達を彷彿とさせるサウンドを融合させた、音楽的にも叙情的にも70年代UKロックの栄光の日々を想起させる、過ぎ去った古き良き時代のサウンドと偉大なクラシック・ロックバンド達やAOR、ポップスの大御所達へのトリビュートを示す、特に年配の音楽ファン程に楽しめるであろうノスタルジックなアルバムな事に気付きました。

なんて言って置きながら、手放しで本作を褒められない理由は他にもあって、メロディアスで壮大、キャッチーでテクニカル、そしてエレガントな音楽的洞察力に満ちた本作のサウンドは、ベテランならではの幅広い音楽性(ちょっとフォロワーサウンド過ぎて聞こえるのもなぁ…)が逆に災いしたのか、あるパートではプログレッシヴっぽく、あるパートではHRに聞こえ、あるパートでは懐かしのスペース・ロック、あるパートではミュージカルや美しいオーケストレーションを融合させたロック・オペラ、あるパートは華やかなグラム・ロック、あるパートは80年代の象徴ディスコ・サウンドと、余りにも雑多過ぎる音楽性のせいで、ポップでキャッチーという共通項以外にサウンドに一貫性が乏しく、意図的なオマージュ的パートのせいもあってか些か纏まりの悪い散漫としたサウンドに聞こえる点はやはり残念だしマイナスだと思いますね。

そうそう、サウンドテクスチャによるオマージュやトリビュートだけでなく年配のリスナーの為に幾つか仕掛けが施されており、69年放送の英国の子供向けテレビシリーズClangersの、小さな月のような惑星に住むネズミのような生き物の家族についての短編映画(粘土人形のストップモーション劇)で登場する『I wanna hang out with the Soup Dragon』という有名なセリフが『The Story Of Johnny Rocket』中に現れ、70年代に少年少女だった英国人リスナーをニヤリとさせる事でしょう。

他にも面白いトピックとして、メンバーの古巣バンドの一つであるSWEETのボス Andy Scottが極上のAOR曲『Hologram Man』にバッキング・ヴォーカルとしてゲスト参加し、SWEETっぽさ満載なコーラスで楽しませてくれている。

批判的な事も色々と述べましたが、フックあるギターリフがクリアーでメロディアスな音の壁を形成し、煌びやかで魅力的なキーボード・パートは心地よく、メランコリックなメロディと英国らしいエレガントな叙情的サウンド、そしてリズミックに活躍するボトム・パートが満載な上に、独特のストーリー性、ポップロックの楽しさ、熱いロックスピリット、爽快でキャッチーなヴォーカル、そして美しいヴォーカル・ハーモニーがタップリとフィーチャーされており、ベテラン・ミュージシャン達によって演奏される聴き応えあるレトロ・ロックの素晴らしさや、高揚感と楽観性を感じさせるクラシック・ポップスも存分に楽しむ事が出来る、決して期待を裏切らぬ一作であります(*´ω` *)

確かに彼等は別段目新しい事を演っている訳でも無いし、品質は高くとも結局は既に偉大なる先人達が成し遂げた偉業をなぞっているだけという批判も当然だが、多種多様で雑多な要素を纏め上げた折衷サウンドである本作は、老獪なベテランの技が活かされたが故に成し得たアルバムなのは間違いないだろう。

Track List:
01. Narnia
02. She Talks Too Much
03. Hologram Man
04. Tragic Alter Ego
05. Silver And Gold
06. Chasing Diamonds
07. Unicorn
08. The Story Of Johnny Rocket I: Space Overture
09. The Story Of Johnny Rocket II: Johnny Rocket
10. The Story Of Johnny Rocket III: Thunder In The Night
11. The Story Of Johnny Rocket IV: One Small Step
12. The Story OF Johnny Rocket V: Twilight
13. The Story Of Johnny Rocket VI: Yesterday's News
14. The Story Of Johnny Rocket VII: Destination Unknown

ダークでハードな最新のヘヴィ・ロックを好む向きにはお薦め出来ないが、楽しい時間を過ごす為の音楽を探している方にならぴったりの、価値有るクラシック・ポップ&レトロ・ロックアルバムなのはお約束できますよ(*´ω` *)

また、本作は通常のCDの他に、20ページのブックレット付きデラックスCD、限定の6面デジ・スリーヴ風仕様CDや、12インチ180gの限定ポスターが入ったホワイト・ヴァイナル(ICE WHITE)盤、同じく12インチのレッド・ヴァイナル(TURKISH DELIGHT Limited)盤、そして限定のNARNIA BOXが発売されている。

このNARNIA BOXには、Johnny Rocketの布パッチ、ドッグ・タグ、ギター・ピック、6枚のコレクター・カード、LED ZEPPELINの『Communication Breakdown』、『Man in The Moon(Acoustic Version)』のカヴァー曲、そしてTHUNDERのフロントマン Danny BowesをフィーチャーしたSLADEの『How Do You Feel』のカヴァー曲が7インチLPに収録され同梱されているので、マニアックな彼等のファンはお見逃し無いようにご注意されたい。

って、今更な話ですね(汗




by malilion | 2020-05-25 11:29 | 音楽 | Trackback
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