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猛者揃いのカヴァーバンドに変化が? カナディアン・メロハー・バンドTOQUEの2ndアルバムをご紹介。

猛者揃いのカヴァーバンドに変化が? カナディアン・メロハー・バンドTOQUEの2ndアルバムをご紹介。_c0072376_07431483.jpgTOQUE 「Never Enough」'19

去年の夏頃にリリースされた、カナダ産メロハー・バンドが前作から3年ぶりにリリースした2ndを今頃に現物をGETしたのでご紹介。

Todd Kerns(Vo:THE AGE Of ELECTRIC、SLASH)、Brent Fitz(B:SLASH、Vince Neil Band、Alice Cooper Band、etc..)、Cory Churko(G:Shaina Twain、Britney Spears)、そして Shane Gaalaas(Ds:MSG、Yngwie Malmsteen Band、B'z、COSMOSQUAD、etc..)等というそれぞれ有名バンドに参加して来た実力派メンバーが地元のカナダで結成したメロディアスHRバンドTOQUE(トゥック)のアルバムだが、本作はカナダ産アーティスト&バンドのカヴァー曲メインでオリジナルソングが僅か一曲しか収録されておらず、デビュー作である『Give'r』'16に至っては全曲カナダ産アーティスト&バンドのカヴァー曲集と言う事もあって、イマイチ本格的な活動を見据えたシリアスなバンドなのかお遊びカヴァーバンドなのか判然としない所が困りモノです…(汗

それぞれが関わって来たバンドのサウンドを思うと『昔のカナダ産バンドの楽曲をヘヴィにハードにアレンジしたカヴァー集? 』と、思う所だが、予想に反してAOR風味あるキャッチーでブライトなサウンドが心地よいメロディアスなHRサウンドを披露しており、キーボーディスト不在なものの比較的オリジナルに忠実なアレンジ(所々でお遊びやヒネリが加えられている)なのと、Todd Kernsの明るく朗らかな歌唱と合わさって、80年代ティスト溢れる煌びやかで華やかなシンセサウンドとクリアーなトーンメインな Cory Churkoのギターをフィーチャーしたサウンドを全編で展開しており、カヴァー集と知らずに彼らのアルバムを耳にしていたら余りに全曲キャッチーでフック満載なそのブライトサウンドに一発でノックアウトされて小躍りしていた事だろう(*´ω` *)

カナダと言えばお約束の Bryan Adamsの楽曲をちょっとAOR風なサウンドでタイトにプレイしていたり、お国の英雄RUSHの定番曲で Neil Peart張りなテクニカルなドラミングを嬉々として Shane Gaalaasが叩いていたりと、つい2828してしまいました(w

しかし、前作ではSAGAやLOVERBOYも取り上げてくれたのに、何故に前作に引き続きHARLEQUINとSTREETHEART、そしてQUEEN CITY KIDSをまた?! と、収録曲に謎の偏りはありますが、概ねカナダ産バンドで名の知れたバンドのメジャーな楽曲を取り上げているのでマニアックな層の受けはイマイチかもしれませんね。

前作の方がビッグで分厚い爽快コーラス、そして派手なギターといキーボードをタップリとフィーチャーしていたので、そういった要素が少な目な本作はちょっと聞きポップさとキャッチーさが後退したように聞こえるが、オリジナルに忠実なカヴァーというフォームがある為なのと、SCORPIONSの Klaus MeineとTHE CULTの Ian Astburyを足して二で割ったみたいな Todd Kernsのしなやかなヴォーカルにより焦点を当てた楽曲を選択しただけでサウンドの本質はなんら変化していないと思っております。

まぁ、各バンドの選りすぐりなので楽曲が悪いハズもなく、アレンジに関しては前述の通りなので、そうなると後は各プレイヤーの腕前が本作の見所となる訳ですが、そういった期待にしっかりと応えるべく、ダイナミックでありながら繊細、テクニカルでありながらソリッドなドラミングを披露する Shane Gaalaasを筆頭に、パワフル且つ元曲のアーティスト達へのリスペクトを忘れぬ各自の正確なパフォーマンスと遊び心、そして様々に喉を使い分けてジャンルを問わぬ幅広い音楽性に対応し、一枚のアルバムのサウンドに纏め上げる Todd Kernsの伸びやかで力強く少しワイルドさを秘めた音域の広い歌声とその抜群の歌唱力は、伊達に有名バンドに誘われている訳ではない事を証明して見せている。

惜しむらくは二作続けてのカヴァー・アルバムな為に、このバンドならではという強烈な個性やサウンドなどが聞き取り難いのですが、自主制作ながら本作の隙無い極上の出来と各自の腕前やキャリアを考えれば、もし本格始動したならば、ユーロ圏バンドを思わすウェットなメロディと、80年代風シンセの煌びやかな音色、ちょっとダークでワイルドさも漂うグルーヴィなリズム、そしてコンパクトでキャッチーな唯一のオリジナル曲の仕上がりを思うに、苦も無く諸般の問題をクリアする事は容易く予想出来るだけに、是非にオリジナル楽曲のアルバムをリリースして欲しいと願わずにおれないのです。

これだけ器用に色々なバンドの楽曲を自分のモノに出来る彼等なら、TOTOのようなプロフェッショナルなバランス型産業80年代ロック路線でも、ワイルドでゴージャス、そしてキャッチーな80年代アリーナUSAロック路線だろうと、苦も無く対応して素晴らしいアルバムをリリースしてくれるだろうになぁ~、っていう歯がゆい思いばかり募って、素晴らしい仕上がりの本作を聴いていると精神衛生上大変よろしくないですね。ハイ(*´ω` *)

Tracklist
01.Armageddon
02.Innocence
03.Never Enough For You
04.Ironic
05.Enough Is Enough
06.The Spirit Of Radio
07.Down Again
08.Lunatic Fringe
09.Don't It Make Ya Feel
10.What Kind Of Love Is This
11.Remember
12.Hot Child In The City

13.Armageddon Reprise

Track 01 Originally by "PRISM"
Track 02 Originally by "HARLEQUIN"
Track 03 is a Toque Original Song
Track 04 Originally by "Alanis Morissette"
Track 05 Originally by "TORONTO"
Track 06 Originally by "RUSH"
Track 07 Originally by "QUEEN CITY KIDS"
Track 08 Originally by "RED RIDER"
Track 09 Originally by "HEADPINS"
Track 10 Originally by "STREETHEART"
Track 11 Originally by "Bryan Adams"
Track 12 Originally by "Nick Glider"

Track 13 is unlisted on back cover(アウトロ?)

と、なっており、全編に渡って程良くハードなエッジとロックな熱さ、そしてカナダ特有の透明感あるメロディ、心地良く上品な爽快感ある楽曲を、名うての猛者達がテクニカルに余裕タップリな演奏を繰り広げており、カナダ産HRバンドがお気に入りな方のみならず、80年代のキャッチーなメロディアスロックがお好きな方なら絶対に楽しめる本作を是非にお薦めしたい。

次こそ、もっとオリジナル曲を増やしてそのキャッチーなブライトサウンドを引っさげて本格始動して欲しいと切に願う、そんなバンドであります(*´ω` *)

現物でリリースされる数がめっきり減っている昨今ですが、本作は自主制作盤な上に限定リリースな見開き紙ジャケ風スリーヴ仕様盤ですので、DLで手軽に音源入手しちゃう、って方以外でご興味ある方はお早めにお求めになって下さい。





by malilion | 2020-05-10 07:33 | 音楽 | Trackback
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