![]() Bob Catleyバンドの元ギタリスト Vince O'regan(LEGION、ex:ESCAPE、ex:HOLY RAGE、etc..)とシンガー Simon Abbottsを中心に結成され、2001年にセルフタイトルのアルバムにてデビューした、キーボード入り5人組英国産HRバンドが約16年ぶり(!!)となる待望の3rdアルバムをリリースしたので即GET! ……しかし、2ndリリース前のゴタゴタ(Vince O'reganの独断専行な暴走で鍵盤奏者が追い出され、Simon Abbottsもクビにされて…)を思うと、よく3rdをこうして再びリリースしてくれたなぁ、と感慨深いものがあります。前々から Simon Abbottsが大人な対応してくれているのが救いですかね(汗 デビュー作はFrontiers Recordsから、2nd『Worlds Apart』は今は亡きMTM Musicからと、それだけで熱心なメロハー・ファンならば本バンドがどういったサウンドなのか予想出来るだろう、煌びやかなキーボードサウンドを控え目に配し、そこそこキャッチーで英国バンド独特の煮え切らぬヴォーカルメロディが特徴なブルーズベースHRサウンドで、派手さや即効性ある刺激は少ないものの手堅いサウンドを聴かせていた訳だが、久しぶりに届けられた本作はこの長いインターバルと時流の変化にも関わらずそのサウンドは不変で、以前からの彼等のファンには嬉しい知らせだろう。 Simon Abbottsのミドルレンジ主体の音域が広い訳でも技巧派な歌唱スタイルでもない、ブルーズソングが良く似合いそうな渋めなその歌声は、ちょっとUFOの Phil Moggを思わせ、妙な小細工や奇をてらった仕掛けなど皆無な実にオーセンティックなスタイルのHRサウンドに良くマッチしており、70年代から脈々と受け継がれてきた叙情感ある哀愁の英国HRサウンドを今に伝える貴重なバンドの一つと言えるに違い無い。 まぁ、Simon Abbottsの変わらぬ歌声と Vince O'reganの咽び泣く切ないギターの音色さえあれば、バックが誰に変わろうと年月を経ようとも、良くも悪くもこのバンドの核となるサウンドは変化し(ようが)ないんでしょうね……(汗 勿論、この時間の経過も関係してだろうが、サウンドはモダンになっているし、ブルーズ特有な臭みが薄れて所謂今風のユーロ圏メロハーっぽいウェットな叙情漂うサウンド(新キーボーディスト Irvin Parratが大活躍!)にバックが近づいて聞こえるのは、多少 Vince O'reganが自己抑制を覚えたからなのか以前よりも出しゃばる事が少なく、ココぞとばかりに弾きまくるパート以外は比較的大人しくバッキングを弾いているからなのも無関係では無いだろう。 流石にこの年月を経て“引きの美しさ”を体得したのか、以前のように弾き倒すだけでなく、他パートとのバランスを考慮したプレイをしたり、それまで余りプレイしなかったアコースティカルで繊細なサウンド等を披露しているのも、さらに本作のメロディに深味と美しさ、そして味わいが増した最大の要因かもしれません。 後は Simon Abbottsのヴォーカルも経年の表れか元々低めな歌声がさらに低くくなっており、渋みを増してブルーズソングにはさらに相応しくなってはいるものの、本作でのちょっと甘味の増したユーロ・メロハーっぽい楽曲等だと、抑揚が少ない Phil Mogg風歌唱スタイルも相まってバックのメロディアスなサウンドに歌メロが乗っかり切っていない箇所も見受けられ、そこは少し惜しく思える箇所ではありました。 冷静になって本作に耳を傾けると、無骨で不器用な1stより売れ線に色気を見せた2ndに近い路線(コーラス要員をゲストで招き、他メンバーもバッキングコーラスでバックアップ等)なサウンドのアルバムなのですが、2nd時のような無理矢理感やポップに成り切れていないチグハグ感等が無く、長い時間を掛けてそういった要素を消化し自身のブルーズベースサウンドに取り込み、巧みに甘味あるユーロ・メロハー的な叙情メロディを加え、英国特有な煮えきらぬキャッチーな歌メロに磨きをかけつつ、オリジナルなブルーズフィール漂うモダン・サウンドに纏め上げている点が、以前より本作がポップに聞こえるけれどしっかりブリティッシュHRサウンドに聞こえる要因のように思えます。 また、このインターバルでメンバーは大幅に入れ替わっており、Vince O'reganと Simon Abbottsのオリジナルメンツ以外 Andy Pierce(Drums 19年からLEGIONに加入)、Pete Betts(Bass)、Irvin Parrat(Keyboards & Backing Vocals 12年からLEGIONに加入)の三名を新たに迎え、2ndリリース時にキーボーディスト不在の4人組になっていたが無事に専任鍵盤奏者が復帰した5人体制になっている。 Phil Vincent率いるLEGIONに今も在籍している Vince O'reganが、きっと本作のレコーディングに同僚の Irvin Parratと Andy Pierceを誘って、そのままメンバーにって流れなんじゃないでしょうか? またぞろ妙な気を起こして Vince O'reganがバンドを乗っ取ったりとか不埒な考えに囚われぬ事を祈っとります…ギタリストって人種はどうしてこうエゴが強いのか…心配だ… 閑話休題 さて、本作のブルーズフィール漂うシンプルながらキャッチーなメロディアスHRサウンドは今の耳で聴くと幾分古臭く思えるものの、エモーショナルで良く泣く Vince O'reganのギターが実に味わい深く、基本無骨で甘みの少ないストレートなサウンドを煌びやかなシンセが要所要所で飾り立て、哀愁の美旋律と Simon Abbottsの不器用な熱唱が切々と訴えかけてくるそのサウンドには、これぞベテランならではの新人に真似出来ぬ技と枯れた味わいが垣間見え、さすがにA級バンドの高品質サウンドとは申しませんが、本作に耳を傾けていると無性にノスタルジックな嬉しさがこみ上げて来るのです(*´ω` *) 目新しさや新鮮味に欠ける、という声は重々承知ですが、やはりこのバンドにはこのいぶし銀な古き良き英国HRサウンドでなければならぬのでしょう。 哀しいかな今となってはそれ程の知名度も無いバンドですし、今回は自主制作盤なのでプレス数も少ない模様なので、ブルーズベースでキャッチーなサウンド好きな方や、MAGNUM、HEARTLAND、TEN、DEAR等がお好みな方ならチェックしても損はないですし、熱心な英国メロディアスHRファンな方ならば入手可能なウチに素早い御購入をお薦め致します。
by malilion
| 2020-05-07 13:58
| 音楽
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