H.E.A.T 「H.E.A.T Ⅱ」'20メジャー、インディ問わず毎月幾多の北欧メロハー・バンドが登場する中で、遂に新鋭メロハー・バンドの筆頭バンドとしての確固たる地位を手に入れた感のある北欧スウェディッシュ・メロハー・シーンの旗手H.E.A.Tが、前作『Into the Great Unknown』からBESTアルバムとLIVE作を挟んで3年ぶりにリリースした通算6作目のオリジナル・アルバムをちょい遅れてGET! これまで何かとメンバーチェンジが勃発して落ち着きの無かった彼等ですが、本作は久しぶりに前作と同じメンツでのアルバム制作となった模様だ。 また、前作、前々作とバンドのポテンシャルを確かめるように徐々にメロハー・フィールドに留まらぬ、より幅広いポピュラー・ミュージックへの接近を試みた意欲作をメロハー・シーンに挑むかの如く果敢にリリースして来た彼等だが、前作から復帰したオリジナル・ギタリストの Dave Daloneが前作では楽曲制作に参加出来なかったがやっと本作で全面的に作曲に参加したのも関係したのか、試行錯誤した実験作への評価を鑑みてか、『今H.E.A.Tが改めてデビュー・アルバムを制作したらどんなアルバムが出来るか?』というコンセプトの元に『原点回帰』とも言える本作をリリースした英断には拍手喝采を送りたい。 いやー、あのまま行っていたら下手したらSONATA ARCTICAの愚行を繰り返すヤバイ事になってましたからね! 正直、勇気ある選択は讃えられたとしても音楽的に方向性が拡散していた前作の出来は初期からのファンには不評だったし、あのまま誰の助言にも耳を貸さず賛否両論な方向性へ突き進んでいったならば、隆盛を極める北欧メロハー・シーンから生まれ出るだろう新鋭メロハー・バンドに遠からず追い抜かれ、SONATA ARCTICAやSTRATOVARIUSみたいに一昔前の老害バンド扱いされる事態に陥ったでしょうから…(汗 マネジメントの助言なのか、バンドメンツがリフレッシュされ初期に似た構成へ戻ったからなのか、外部からの助言を柔軟に取り入れる寛容さと理性をメンバーが保っていたからなのか、結果的に本作で選んだ若々しくキャッチーで溌剌としたキレの良い初期メロハー・サウンドを取り戻す創作の方向性は大成功だと言えましょう(*´ω` *) と言う事で、本作はファンが彼等に望む通りな、煌びやかでキャッチーな80年代メジャー風アリーナ型王道メロディアスHR路線に徹した高品質な楽曲でガッチリ固められたアルバムで、デビュー作を想起させるサウンド・プロダクションが少々ノスタルジックではあるが10年を経たキャリアと経験が十分に活かされた並々ならぬその仕上がりは、既に地位を確立している欧米メジャー・バンドに一歩も引けを取らぬ大物の風格とビッグなスケール感を放っており、ブライトでフレッシュな感覚に鮮やかに彩られた初期スピリット迸るメロディアス・サウンドの完成度は、もはや北欧メロハーというジャンルを完全に飛び越えた極上レベルにあって、シーンを賑わすトップ・メジャー・ロックバンド達の座へ一気に詰め寄っていると言っても過言ではないだろう('(゚∀゚∩ マイナーな所が味でもある北欧メロハー・サウンドではありますが、本作の磨き抜かれたハイポテンシャルな楽曲と初期風サウンドは、そういったインディ・シーンを賑わす新鋭バンド達とは一線を画す力強く華やかなオーラが眩い程に放たれており、『これぞメジャー・バンドのサウンドだ!』と言いたくなる素晴らしい完成度と、それにも増して若々しいフレッシュな息吹と老獪なベテランならではのアレンジ力や楽曲構成の手練手管が同居した、遠からず失われてしまうからこそ儚く美しい、惹きつけて止まぬ刹那の魅力と魂震わす奇跡の輝きを放つ一枚と言えるのではないだろうか。 正直、ここまで素晴らしくキャッチーでフック満載な初期風メロハー・アルバムを再び彼等がリリースするとは思っていなかったので、全く予想外な極上のアルバムのその出来映えには完全に脱帽であります。 大抵のバンドは自身も完全に理解しておらぬ初期のスピリッツを取り戻すのは難しく、初期作が人気であればある程にキャリアが邪魔して初期風な作風で初期アルバムを超えるのは難しいのですが、どうやらH.E.A.Tは私の予想を超えたポテンシャルを秘めたバンドであった模様で、これは行く先が楽しみ過ぎるバンドが増えた大変喜ばしいサプライズでありました(*´ω` *) つまらん御託は要らない、ただ美旋律が目一杯に詰め込まれた素晴らしいこの新作に耳を傾ければいい、そんな有無を言わさぬ完成度のアルバムですので、メロハー・ファンならずともユーロ・ロックファンならば一度チェックしても決して損にはならぬ、滅多にお目にかかれぬ傑作アルバムですよ!!
by malilion
| 2020-04-28 11:59
| 音楽
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