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YESトリビュート・バンドでマニアに知られたTIM MORSEがソロ第三弾をリリースしていたのを、今頃ご紹介。

YESトリビュート・バンドでマニアに知られたTIM MORSEがソロ第三弾をリリースしていたのを、今頃ご紹介。_c0072376_19000498.jpgTIM MORSE 「III」'18

元々はYESトリビュート・バンドPARALLELSで活動していたUSAのマルチ・ミュージシャンで、歴史的な飛行家リンドバーグの生涯をテーマしたコンセプト・アルバムだった前作『Faithscience』'12 以来となる3rdアルバムが実は去年ひっそりとリリースされてた模様で今頃に慌てて購入。

2ndソロ以降、フュージョン系のJerry Jennings BANDのメンバーになった事や Bret BinghamとのTHE MANGOESでの活動も関係してかなかなか新譜が届けられなかったが、こうして無事新譜がリリースされてなによりだ。

参加者の数は少なくなったが、ギターをはじめベースやドラム、マンドリンやヴァイオリンなど前作同様にゲスト奏者陣を多数招き、自らの多重録音プレイ(ギター、ベース、シンセにドラム、そしてヴォーカル)で緻密に造り込んだサウンドのアルバムという“1人プログレ・バンド”なスタイルに変化は無い。

前作はヴァイオリンにKANSASの David Ragsdaleを招くなどしていたが、残念ながら本作では別ヴァイオリン奏者が参加していて個人的にはちょっとそこは残念かなぁ…

本作のサウンドだが、適度にテクニカルなリズム展開を見せつつキャッチーなメロディとシンセで楽曲を彩るスタイルに変化はないものの、前作までのSPOCK'S BEARD風だったり Neal Morse風だったりの、如何にもアメリカンという抜けの良い爽快感ある90年代以降のUSシンフォ&プログレ・タッチなサウンドから、今まで意図的に抑えて来ただろうYES風のサウンド、特にキーボードプレイやサウンドで露骨にYESカラーを押し出したり、ムーディーなJAZZっぽいフレーバーや古き良きプログレ風味な鍵盤サウンドを聴かせている点が大きな違いだ。

また、特にヴィンテージ機材で録音する事にこだわったと言う本作は、ハモンドオルガン、フェンダーロードスのエレクトリックピアノ、ミニムーグ、メロトロンのサンプル等々をたっぷりフィーチャーしている上、ムーグトーラスベースペダルも活用しているので、その手の機材マニアの方には嬉しい一作となる事だろう。

元々バリバリにテクニカルなインタープレイを見せつけるようなプレイでグイグイ推していく派手なタイプでないのもあるが、流石にSPOCK'S BEARDや Neal Morseの二番煎じじみた方向性では明確なオリジナリティの確立難しいと見たのか、本作のYES風味を加味したサウンドへ軌道修正したのは個人的に“アリ”だと思いますね。

オリジナリティ確立目指してYESっぽくなっちゃイカンだろう、という突っ込みは重々承知なんですが、最近の耳当たりの良いモダン・シンフォ系で分厚いコーラスにキャッチーな歌メロ、そしてキレと抜けの良いサウンドってなると、どうしてもSPOCK'S BEARDにサウンドが近似しがちですから、敢えてSPOCK'S BEARDの源流でもあるYES風味までサウンドを原点回帰させた方が良い結果を生むと判断したのではないでしょうか? 勿論、勝手な推測でしかありませんけど。

まぁ、即興プレイを活かした殆どデモのテイクを利用したみたいな事を言ってるので、なんだかんだと小難しい考えなんぞ皆無な、ただ気持ちよくプレイしてたら地のYES好き要素が顔を出してこういう次第になった、ってだけかもしれませんが(w

ただ、前作でも感じたのですが、マッタリと穏やかでスッと耳に入ってくる心地よいメロディと優しいヴォーカルや重ねられたコーラスは実に聴き易いし、要所要所で耳を惹くメロディやプレイなんか聞けるものの、総じて既にビッグネームであるSPOCK'S BEARDや Neal Morse、そして他のモダン・USシンフォ・バンド達以上の個性や差異を感じられず、Tim Morseでなければ聞けない、というような強烈な個性やプレイは見当たらず、そういう視点から見ると些か魅力の薄い作風と言わざるおえないのが、高品質に造り込まれた優等生サウンドなだけに実に惜しい、悪くないアルバムです。

そこここにプログレチックなサウンド・ピースやプレイが散りばめられた心地よく和め、爽快感もあるTim Morseのサウンドを嫌う人は少ないでしょうから、ワンチャンどこかのビッグネーム・バンドへ誰かの後釜で転がり込むか、思い切ってプログレ的サウンドは捨ててもっとポピュラー・ミュージック寄りなサウンドへ接近でもするかしないと、きっと次も『出来の良い佳作止まり』な印象のアルバムを聞く事になるような気がしてなりません…

また本作はCDーR盤しか存在しないので、入手が面倒だと思われる方はDLで購入してもいいのではないでしょうか?

前作まではちゃんとデュプリ盤リリースしてくれたのになぁ…これも時流なんですかねぇ…orz





by malilion | 2019-10-31 18:54 | 音楽 | Trackback
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