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オランダのメロディアス・プログHMバンドBAGHEERAの唯一スタジオ作をご紹介。

c0072376_00275480.jpgBAGHEERA 「Doors To Deliverance」'95

ラックを整理していたらヒョッコリこんなものが転がり出てきたので本日はコレに耳を傾けておりました。

ヒンズー語で『ヒョウ=バゲーラ』という意味の名のオランダのキーボード入り5人組B級インディ・プログHMバンド唯一のフルアルバム作で、本作の前にデモテープ一本、EP一枚、シングル一枚をリリースしており、結成時は冴えないC級ユーロHRを演奏していた彼等が短期間でプログHMへバンドサウンドを変化させたのは、世界中を席巻しメジャーシーンの一大勢力となる夢劇場の成功(82年)や、オランダがポンプムーブメントの“飛び地”であった事も少なからず関係しているように思います。

当初ベーシストが流動的でなかなか定まらず、88年のデモテープ『Who's Afraid of the Big Black Cat』から91年リリースのEP『Silence at Romney Marsh』までミドルレンジ主体のマイルドな声質のヴォーカリスト Kees van Keulenがフロトマンだったが、95年リリースのデビュー作にして唯一のフルアルバム『Doors To Deliverance』でフロントマンが Jan Hovingへ、またキーボーディストも創設メンツの Joost den Hertogから Roland Jensterへチェンジしている。

歌唱力に問題ありの Kees van Keulenから Jan Hovingへフロントマンをチェンジしたのは、複雑で技術的にもスキルを要するプログHMのヴォーカル・パートを担うに相応しい人物(イヤ、幾分かマシになった程度の改善か…)を迎え入れた結果だろうが、声質的に少々癖があり歌唱法もシアトリカルな Jan Hovingの歌声(個人的には許容範囲だが、もっとストレートな歌唱法のフロントマンの方が良かった?)がこのバンドの音楽的な方向性にアジャストされていたかは今となっては少々疑問が残りますね。

まぁ、EPの時点で Kees van Keulenがシアトリカルな歌唱法(下手クソなんだよなぁ…コレが…)へスタイルを変化させているのと、バンドサウンドもスピーディでミステリアスな雰囲気を漂わすIRON MAIDEN風メタル(ギタリスト Bob Hoezenがインギー・フォロワーなプレイを聴かせ始めてる)へ接近しているので、よりシアトリカルな歌唱が巧みな Jan Hovingを迎え入れたのは切っ掛けなだけであり、バンドサウンドが大幅にリリカルなユーロ・プログHMへ様変わりした最大の要因は、キーボーディストが Roland Jensterへチェンジした影響の様にも思えますけど…(汗

さて、本作のサウンドはと言うと、垢抜けない古臭いHRからスピーディなIRON MAIDEN風メタルへの変化を経てバンドメンツのプレイスキルも上がったのか、よりこなれたプレイで総じて纏め上げられた印象を受け、なかでも特に Roland Jensterの操るピアノの艶やかな音色と華やかで軽やかなシンセの素早いパッセージがバンドサウンドを煌びやかに飾り立てるパートが終始耳を惹き、実際バッキングやリードパートも多目な上に長めとキーボーディスト主導なバンドに思われそうだが、オーソドックスなプレイやバッキングながらしっかりギタリスト Bob Hoezenも仕事をこなしており、時折ピロピロとインギー風早弾きで鋭く切り込んだり、キーボードとユニゾンの早弾きプレイを披露したりして軟弱になりがちなキーボード主導なバンドサウンドを引き締める重要な役所を担っているのが分かる。

プログHMサウンドと言うには少々リズム隊が退屈なプレイを繰り広げているが、キーボードとギター、そしてヴォーカリストが時折素っ頓狂な叫びを張り上げ、メロディを担うパートが揃って派手で妙ちきりんで強引な展開やメロディを聴かせるB級プログHMあるある(汗)をしでかしているので、敢えて楽曲の崩壊を防ぐために無茶なテクニカル演奏やインタープレイの応酬は控え、ソリッドなプレイに徹しているのかもしれない。

このままキーボーディスト Roland Jensterの影響力が増大してプログHMからメロディアスな叙情派シンフォ・バンドへ路線変更するか、よりテクニカルなパートとハードエッジなアンサンブル重視サウンドへ接近してメジャー系のプログHMへ路線変更するのか、いずれにせよ彼等が順当に活動を続ければもう一つ上のレベルに上がった素晴らしい作品を聴かせてくれた事でしょうが、新加入した Roland Jensterの持ち込んだ音楽性と元いたメンバーの求める音楽性とのブレが原因だったのか残念ながらバンドメンツが分裂し、97年に彼等は解散してしまう。

名手 Roland Jensterはその後に渡米し、今もその華麗な鍵盤捌きをステージで披露している模様だが、他のメンツがその後音楽活動をしているかは定かではありません…

少々ヴォーカリストの歌唱に癖がありますが、メロディアスな楽曲とハイセンスなキーボードプレイはB級プログHM作と切り捨てるには惜しい光るモノを持っており、マイナーなインディ・プログHM作でも手を出しちゃうマニアックなファンな方にお薦めな隠れた良作であります。




by malilion | 2019-10-29 00:21 | 音楽 | Trackback
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