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STRYPERの弟分バンド、USクリスチャンHMバンドHOLY SOLDIERのデビュー作がデジタルリマスターでリイシュー!

c0072376_10535025.jpgHOLY SOLDIER 「Holy Soldier +2(2019 Remastered Limited 500)」'19

85年にカリフォルニア州ロサンゼルスで結成され“STRYPERの弟分”という振れ込みで活動し、強固なCCM系ファンベースを築いたツインギター5人組のUSクリスチャンHMバンドが90年にリリースし大ヒットしたファーストアルバムが、ボーナストラック2曲追加、Digital Remasteredで500枚限定(!?)の新装リイシューされたのをGET!

因みに、2ndアルバム『Last Train』も同じレーベルからDigital Remastered、500枚限定でリイシューされております。

90年と言えばSTRYPERは、徐々にメインストリームのサウンドが変化しつつあるのを敏感に察知したのか、マンネリズムから脱却する為か、クリスチャンHMスタイルからより幅広いHMサウンドへ音楽性を変化させ、トレードマークのストライプも捨て去った5thアルバム『Against The Law』をリリースし、結果的に旧来からのCCM系ファンベースから失望を買う失敗作となってバンドは解散の憂き目を見てしまう頃だ。

丁度、兄貴分がCCMファンベースを裏切る形のアルバムをリリースしたのも彼等に運が向いたのでしょうが、元から独自の音楽スタイルを保守的に護り続け、求め続けて来たクリスチャン系ファンの期待を一身に集め、初期STRYPER風なゴージャスで造り込まれた分厚いビッグサウンド、そしてストレートに朗らか爽快なアメリカンHMスタイルでファンが求める通りのサウンドを引っさげデビューした訳ですから、ダークで鬱なサウンドが主流になりつつあるポピュラーロック界の気配を身近に感じていたであろうCCM系ファンにとって、彼等は正に“救世主”に感じられた事でしょうね(*´ω` *)

クリスチャン系のバンドは大抵コーラスが分厚く綺麗だし、STRYPER風サウンドにピッタリなハイトーンのリードヴォーカルが甲高い声でシャウトしまくるハードでエッジがあるキャッチーな楽曲と、兄貴分のサウンドを研究しただろうコンパクトに纏められたそのサウンドは、まんま80年代風アメリカンHMスタイルなもののSTRYPERと比べると幾分ギタリストの弾く音符の数が少なく、どちらかと言うとブルージーさを感じさせるベーシックなアメリカンHR風なプレイをしており、トリッキーでド派手なギタープレイをギンギンに繰り広げる、というパートは少なく、歌パートをより重要視してバックの各パートがしっかりコンポーズされた楽曲バランスになっているように感じます。

パワフルでスピーディーな楽曲の時はSTRYPERとの類似点が多いドライなアメリカンHMサウンドになるが、一転ミッドテンポでしっとり歌モノ風な楽曲や、バラード風の楽曲ではブルージーさが滲み出てくる大陸的な大らかさ漂うアメリカンHR風サウンドになる点が彼等の独自色と言えなくもないかも?

後は、弟分とは言うけれど実際はSTRYPER程に分厚いコーラスとハイトーンでグイグイと派手にキャッチーに押しまくるオーバープロデュースぎりぎりなサウンドではない、比較的オーセンティックなHRサウンドスタイルな点も兄貴分との音楽性の差異と言えるだろう。

クリスチャンミュージックという特殊なファンベースが存在するアメリカの、当時の状況からCCM系で大ヒットを記録した実績はあるものの、よくよく聞くとそのメロディの質は兄貴分に及ばず、楽曲のフックもキャッチーさもA級クラスかと問われると、お世辞にもそうは言えぬレベルだと思うので、フォロワー的な情報の他にもそういった点故にか、ここ日本で彼等の知名度や人気がマイナーな存在とされるのも納得なのかもしれません…(汗

独自の流行とスタイルを貫いてきたクリスチャン系バンドの多くも、この後暫くして世間で流行っているダルくダークなグランジーサウンドなバンドばかりになっていく訳で、グランジーの暗黒に飲み込まれていなかった残された健全な音楽シーンであるCCM系で最後まで気を吐いた、ゴージャスで華やかなアメリカンHM最後の輝き、ヌーメタル時代の徒花のようですよねぇ…orz

ただ、グランジーの波が来なくとも彼等がその後も順調に活動出来たかどうかは、実際はかなり怪しかったように思えます。

何故なら、このバンドはメンバーチェンジが本当に激しかったのです……

85年、Andy、Jamie、Robbieを中心にバンドは結成される。

結成当時のラインナップは、
Andy Robbins(Bass、Guitar、Backing Vocals)
Jamie Cramer(Guitar、Backing Vocals)
Robbie Wolfe(Lead Vocals)
Chris Hyde(Drums、Backing Vocals)
Larry Farkas(Guitar、Backing Vocals)

85年にドラマーを Chris Hydeから Terry Russellへチェンジ。

86年に Larry Farkasから Michael Cutting(Guitar、Mandolin、Backing Vocals)へギタリストをチェンジ。

メジャーデビュー寸前の88年に、フロントマンを Robbie Wolfeから Steven Patrickへチェンジ。

この当時、ハリウッドサンセットストリップとその周辺でLIVEを繰り返し腕を磨き、Doug Aldrichが在籍していたLIONや、NIRVANA、NEW HAWK(THE BULLET BOYSの前身バンド)、GUNS N'ROSES、WARRANT等々の、多くの有名無名アーティスト達とステージを共にし、しのぎを削っていた。

89年、Word/A&Mのインプリントレーベルであるメジャー・クリスチャンレコードレーベル Myrrh Recordsと契約し、プロデューサーの David Zaffiroと6週間に渡りスタジオに籠もってアルバムを制作し、90年にセルフタイトルのデビューアルバム『Holy Soldier』をリリースする。

好評を博したデビューアルバムを引っさげ、ハードにLIVEサーキットを続けたバンドだが、ツアーの過酷さが原因でフロントマン Steven Patrickとギタリスト Michael Cuttingが脱退。

バンドはツアーを続けながら、フロントマンをシアトル出身のシンガー Eric Wayneへ、ギタリストを Scott Soderstromにチェンジさせる。

91年、再びフロントマンに Steven Patrickが復帰し、Eric Wayneが入れ替わりに脱退。

と、短期間の間にコロコロメンツが変動したのが順調なバンド活動の足を引っ張ったのは確実な上に、92年の2ndアルバム『Last Train』にして既にSTRYPERが音楽性を変化させたように、彼等もクリスチャン系HMのポリシーというか、CCM系というカテゴリーの存在意義である、神を称えるような歌詞から脱却し、所謂一般音楽市場向けな普通の歌詞の楽曲を収録して、兄貴分と同じようにCCM系リスナーから不評を買ってしまった訳で…('A`)

2ndのサウンドはよりオリジナリティが増した結果のSTRYPERサウンドからの脱却が感じられ、ピロピロと早弾きもフィーチャーした派手なギタープレイ・パートが増え、キャッチーでゴージャスなイメージより、よりタフでヘヴィになった骨太HMサウンドなイメージが強く、元々持っていたブルージーな要素もさらに強まり、コーラスの使い方やリズムアプローチ等より幅が拡がった楽曲の数々に、さらなる音楽性の進化を感じさせただけに残念でなりません。

結果、レーベルの期待する売り上げを果たせなかったのが原因でMyrrh Recordsから契約を切られてしまう。

メジャーからドロップしたのも影響したのか、94年にギタリストへ Michael Cuttingが復帰し、オリジナル・ギタリストのJamie Cramerが脱退する。

3rdアルバム制作前にフロントマンが Steven Patrickから Eric Wayneへ再びチェンジし、Eric Wayneが自身の低目な声域を活かした全米を席巻するグランジサウンドへバンドサウンドを移行するよう強く進言し、結局時流を鑑みて音楽性をガラリと変えたダークでヘヴィなダルサウンドの3rdアルバム『Promise Man』を95年にForeFront Recordsからリリースし、その他大勢の80年代風ブライトサウンドなバンド群と違い上手く時流にったサウンドを披露してラジオ等でシングルは好評で迎えられる。

だが、彼等の元々のファンベースであるCCM系リスナーはその転身を快く思わず、新たなサウンドは受け入れる事はありませんでした…

また好評だったアルバムに対するForeFront Recordsのサポートも不十分だった上に、CCM系ファンから求められるサウンドと流行のグランジーサウンドとのギャップもあってか、95年に Terry Russellが脱退し、ツアードラマーとして Jason Martinがバンドへ雇い入れられる。

結局、デビューアルバムがCCM系リスナーに余りにも受けてしまったが為に、その後に一般市場へ迎合したグランジーサウンドを器用に披露したものの、新たなレーベルからのバックアップ不足と元々のCCM系リスナーにニューサウンドが受け入れられ難かった事が、不運に次ぐ不運のように避けがたいダメージとなって彼等を襲ったのが致命傷になったのでしょう。

バンドはベーシストの Andy Robbinsプロデュースの元、彼自身のレーベルSpaceport Recordsから、フロントマンの Eric Wayneとオリジナル・ボーカリストの Steven Patrickの両名をフィーチャーしたLive Retrospectiveアルバム『Encore』を97年にリリースし、程なくして解散を迎える流れは、ある意味で必然だったと言えるかもしれません……

しばしの後、04年に Michael Cutting、Jamie Cramer、Steven Patrick、Andy Robbins、Terry Russellからなるメジャー・デビュー時と同じラインナップで一時的にリユニオンし、カリフォルニア州ロサンゼルスで特別な再会ショー『Up from the Ashes』を開催する。

05年に再びオリジナル・ラインナップでリユニオンが成され、ベネフィットコンサートやスタジオアルバム制作の話が持ち上がる中、たった3ステージを経ただけで三度 Steven Patrickが脱退し、急遽ドラマー Terry Russellの兄弟 Don Russellをフロントマンへ迎えて06年夏のフェスティバル等に出演したが、結局バンドはそのまま再び解散してしまった…

なんだか Steven Patrickに振り回されてるイメージしかないバンドなんですが(汗)、仮に彼が脱退しなければ器用にグランジーサウンドへ転身した3rdアルバムはリリース出来ず、その他大勢の80年代ポップメタルのバンドと同じく惨めな活動状況に陥って解散するしかなかったでしょうし、初期のままなクリスチャン系サウンドを固持していればバンドは存続したかもしれませんが、より一般的な認知度を高める事は出来ず兄貴分が陥ったマンネリズムに遠からず陥るのは目に見えていた訳で、簡単に言えば時代が悪かったって事になってしまうんですが、なかなかに有望な変化をしそうなサウンドを鳴らすバンドだっただけに、グランジーブームとメンバーチェンジの多さに祟られた不運なバンドだったなぁ、と今なら思えてしまいます。

後、Eric Wayneの歌声自体は枯れた味わいの埃っぽいアメリカンロックによくマッチする渋めないい声質してると思うし、実際アーシーなスライドギターが活躍するブルージーな楽曲やカントリー調な楽曲、そしてバラード調な楽曲等でその実力を遺憾なく発揮しているのでその辺りを鑑みて迎え入れたのかもしれませんが、だとしても何故にハイトーン・ヴォーカルがトレードマークな Steven Patrickの後釜として彼をフロントマンに迎え入れたのか、そこが疑問ですね…

元々ハイトーンが苦手っぽいんだよなぁ、Eric Wayneは…『やっぱりミスキャストだったんでは?』と、今ならそう強く思えます。

とまれSTRYPERが好きな方やハイトーンでコーラスばっちりなクリスチャンHMがお好みな方なら購入しても損はない一枚だと言えますので、ご興味あるようでしたらお早めにお求め下さい。



by malilion | 2019-09-11 10:41 | 音楽 | Trackback
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