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ハープサウンドをメインに据えた特異なアメリカン・プログレバンドART IN AMERICAが35年ぶりに2ndアルバムリリース!

c0072376_19063703.jpgART IN AMERICA 「Cloudborn」'19

USAミシガン州デトロイトをベースに活動したアメリカン・プログレバンドの、Ruetenikファミリー(Flynnは芸名みたいなもの)の3人兄弟(Chris Flynn:Lead Vocals & Guitars 、Shishonee Flynn:Harp & Vocals、Dan Flynn:Drums & Percussion)を中心としたShishonee嬢の操るハープをバンドサウンドのメインに据える特異なスタイルの83年デビュー作に続き、正式なフルアルバムとしては35年(!!)ぶりとなる2nd自主制作アルバムがリリースされたのを即GET!

デビュー作はプロデュース&エンジニアをEL&PやYESの仕事で知られる Eddy Offordが手がけた事や、キーボードにDIXIE DREGSやJAZZ IS DEADでの仕事で知られるジャズロック&フュージョン界で著名な Terry "T" Lavitzを迎え、アレンジとギターソロに Steve Morse(DIXIE DREGS、DEEP PURPLE)が参加と玄人好みなトピックも今となっては懐かしいですが、続く本作はGENESIS、QIEEN、RENAISSANCE、Elton Johnとの仕事で知られるイギリス人プロデューサー David Hentschelによるキーボード、プロデュース、エンジニアリングに加え、ベース奏者に Tony Levin(KING CRIMSON、Peter Gabriel、ABWH)が招かれ、再びプログレ好きなリスナーにしっかりアピールするポイントをおさえた一作となっております(*´ω` *)

ただ、本作は純然たる新作と言う訳でなく、13年に一度自主リリースされた『Hentschel Sessions - 2013』なる David Hentschelが手がけたロサンゼルスでの新録音源(Track 1~6 バンドは同時期に16曲作曲している模様で次作に収録予定だとか)に加え、過去のアルバム未収録曲のLIVE音源1曲とデモ音源3曲を収録した新旧音源のアーカイヴ作をベースに、デモ曲やLIVE曲を外して05年から15年にかけての間に作曲され録音された新曲を追加しフルアルバムに再構成した一枚(デモ曲の再録はされていない)となっており、デビュー作と同じくFlynn兄弟が中心ながら収録時期が長期に渡る(少なくとも5年の間がある)バラつきの影響でキーボーディストやベーシストが複数参加(プロデュースも Hentschel Sessionsに加え、Track 7~10は Chris Flynn、Track 11~13を元ベーシストの Jim Kuhaが手がけている)な上に、AISA、SAGA、90125YES、そして80年代の後期GENESISの影響が窺える80年代風モダンポップと70年代風プログレッシヴ・ロックのハイブリッドサウンドだったデビュー作と比べて音楽性の幅がググッと拡がり、バンドサウンドが大きく変化しているのが分かる。

と、言っても全く別バンドサウンドに変わってしまった訳ではないので、ファンの諸兄はご安心を。

これだけ前作からインターバルが開いたのだから当然同じサウンドの訳がない、と誰だって予想するものの、意外な程に1st風のハープをメインに据えた初期GENESISを彷彿とさせる繊細なアコースティカルサウンドをベースに、一切シャウトする事なく70年代プログバンドのフロントマンの多くがそうであったように、切々と歌い上げる Chris Flynnの穏やかな歌声と典雅なサウンドタッチはデビュー作と変わる事なく、巧妙なアレンジメントが施された如何にもプログレという長いインストゥルメンタルパートが軽やかに交差する、ユーロサウンドとアメリカンサウンドが絶妙に混ざった独特なプログレ・ポップサウンドがこの新作でも多く耳にする事が出来て、実に嬉しくなってしまいました(*´ω` *)

逆に新たに追加された要素としては、カントリー風のアーシーな乾いたスライドギターの音色が鄙びた味を醸し出すブルージーな楽曲だったり、ハープが少し抑え目になり普通のプログレバンドのようにキーボードサウンドがメインな楽曲や、デジタリーなパーカッションが活きるサントラ風な楽曲に、Tony Levinのプレイが活かされた幾分ヘヴィなリズムを強調した楽曲、そしてワールドミュージックな雰囲気漂うダンサンブルなリズムが強調さた楽曲等々、終始爽やかなイメージを保ちつつ、長い長いインターバルの間に培われた様々な音楽的要素が彼等の楽曲に色濃く窺える一作となっております。

とは言え、サウンドイメージは総じて爽快でポップ、そしてアコースティカルで繊細な叙情が美しい艶やかなメロディが秀逸なサウンドなのは少しも変わり無いので、デビュー作が気に入っていた方や繊細でリリカルなハープサウンドが活かされたユーロ風味ある独特なアメリカン・プログレサウンドが気になる方は是非とも本作を購入してみて下さい。


因みにオリジナルである『Hentschel Sessions - 2013』の内容の方はと言うと、c0072376_19072601.jpg『Hentschel Sessions - 2013』に収録されていたTrack 1~6は、David Hentschelによるプロデュース。

米国カリフォルニア州Woodland HillsのScott Frankfurt Studioで録音され、ドラムトラックだけはカリフォルニア州BurbankのGlenwood Place Studioで録音された。
ベースは Tony Levinによるプレイ。
英国で David Hentschelがキーボードサウンドを追加録音し、最終的にサウンドをミックスしている。

Track 7『Can't Stop It』は、1st未収の未発表曲で、83年に米国Michigan州FlintでバンドがLIVEプレイした際に録音したもの。
Track 7のベースプレイは1st録音にも参加し、当時メンバーだった Jim Kuhaによるプレイで、キーボードは Kent Richardsによるプレイ。

Track 8『Not Like That』は、Chris Flynnの手によるホームDEMO。

Track 9『Fields』は、米国フロリダ州MiamiのCriteria Studiosで、Ron&Howard AlbertによるプロデュースのDEMO曲。

Track 10『Lathe of Adonai』は、米国カリフォルニア州 Newbury Parkの Mitch Crane Studioで Mitch CraneによるプロデュースのDEMO曲。
Track 10のリズムパートは Mitch Craneによるベースとドラムのプログラミング。

と、83年のLIVEトラックに加えて、3つの未公開DEMOで締めくくられている。

今となっては入手困難なレア自主制作盤だが、このまま活動が軌道に乗って彼等の人気が再び復活すれば、なんらかの形でリリース、または収録されるかもしれないので、未入手な方々はその時をひたすら待っていましょう……('A`)

PS.デビュー作で控え目にプログレチックなセンス良いキーボードプレイを聞かせてくれていた Terry "T" Lavitzは、2010年に天に召されてしまったので再びの参加は叶わなかった…R.I.P


by malilion | 2019-08-29 19:01 | 音楽 | Trackback
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