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宇宙飛行士スタシスの冒険が遂に完結! LONELY ROBOTが3rdアルバムをリリース!

c0072376_09383299.jpgLONELY ROBOT 「Under Stars ~Limited Edition Digipack~」'19

IT BITES、FROST*、ARENA、KINO等での活躍のみならず、グレ系大御所のツアーサポート、レコーディングエンジニアやプロデューサーとしてアルバム製作に関わるなど、'90年代以降のUKプログレシーンで大活躍する英国マルチ・ミュージシャン John Christian Mitchell(Vo,G,B,Key)によるソロ・プロジェクト作の3rdアルバムにして宇宙飛行士スタシスの冒険三部作の最終作が2年ぶりにリリースされたので、ボートラ3曲追加のデジパック仕様スペシャル・エディションをちょい遅れてGET!

デビュー作こそ多数のゲストを迎えて製作されていたが、次作2ndではググッとゲストの数が減り、本作に至っては Fishのベーシスト Steve Vantsisが数曲でベースをプレイする他は、ほぼ John Mitchellが独りで創り上げていて、前作に引き続き Craig Blundell(FROST*、PENDRAGON、Steven Wilson)をドラムに迎えている以外は、ギターを筆頭に自身で楽器をマルチにプレイし、作詞作曲プロデュース、そしてミックスとマスタリングまでも全てを一人で手がけるワンマン体制に変化はない。

ファーストアルバム『Please Come Home』は、人間はエイリアンから生まれた可能性が有るというSF的発想を元にした、星空を旅するようなスペイシーで煌びやかなポップサウンドが展開され、セカンド『The Big Dream』は、宇宙飛行士の極低温睡眠からの目覚めに関する『真夏の夜の夢』風のファンタジックな物語が、哲学的な黙想と現実と夢の狭間の混乱も絡めてキャッチーなポップサウンドで綴られ、続く最終章である本作では、若者、ミレニアム世代、そしてテクノロジーへドップリと依存している現代人のソーシャルメディア依存、そしてデジタル主導の世界からの決別について、哲学的見解を提示し、ソーシャルメディア生活の非現実性に対する猛烈な否定を宇宙旅行のテーマに結び付け、明らかに意図的な80年代風の音色やトリックを取り入れたシンフォニックでデジタリーなポップサウンドをノスタルジックな叙情詩的に、ミステリアスなサウンドも交えてオーガニックに展開していく。

アルバムのテーマや最終章と言う事もあってか、宇宙飛行士の目を通して見た様々な宇宙体験(トピックのテーマ別のプレゼンテーション)というスタイルに変化は無いものの、幾分スペースファンタジーな物語の部分は少なくなっており、前二作と比べると明らかに楽曲のキャッチーさやポップ度が後退しているが、その代わりと言ってはなんだこれまで以上にエモーショナルでセンチメンタル、そして心に突き刺さる“泣き”の絶妙なトーンが冴え渡る John Mitchellのギターが絶品なのと、意図的に前二作では彼がこれまで関わってきたキャリアのプログレ、ポンプ、シンフォ系サウンドから距離を置いた歌モノポップ・サウンドが本作では本職のシンフォ系サウンドに近づいたサウンドに感じられ、シンフォ系リスナーにとっては John Mitchellに期待する通りの美旋律満載なサウンドと言えるが、前二作のキャッチーでメロゥなポップサウンドが気に入っていた方からするとやや不満な形のスペースオデッセイ最終作となるかもしれない。

とは言え、ポップさやキャッチーさでは劣るかもしれないが、本作は前二作よりも独特の旋律的な雰囲気を持ち、サウンドとプロダクションの壮大さ、そして何よりもリリカルでメロディアスな、現代的テーマに合ったSFサウンドと豊かで静かな歌詞を巧みにミックスしたプログレッシヴ・ミュージックだと言えよう。

映画的なサウンドスケープや、不吉な感触を与えるサウンドトリック、80年代風シンセポップフィーリングを備える旋律的な楽曲に加え、心奪われるエモーショナルなギターソロの他にも、分厚く暖かなコーラス、隙の無いプロフェッショナルな作曲、心憎い細かなアレンジ、そして抜群に巧い John Mitchellのヴォーカルと、80年代のシンセポップと2019年の John Mitchellのプログレ的実験サウンドを組み合わせた音楽は、明と暗、消失と発見、それら多くの物事を対比させ、星々の狭間を漂う孤独な宇宙飛行士を彷彿とさせるホロ苦い悲しみと甘さを漂わせ、まばゆいほどの感動を響かせながら、栄光の旅の明るく平和な結末を暗示するように、ファーストアルバムに収録され、セカンドアルバムで再び姿を現す“Please Come Home Lonely Robot”が再びリフレインしながら、星々の彼方へ楕円軌道を描いて消えていく……うーん、美しい。実に美しい大団円だ(*´ω` *)

John Mitchellが語る本作のメインテーマでもある『私達人間は、私達の周りの美しさに気づかずに余りにも多くの時間を費やし、技術に繋がれてあまりにも多くの時間を費やしているのでは?』という考えに由来した本作の思考させられるサウンド、決して嫌いじゃありません。

しかし、最初から三部作と言うことで制作されたLONELY ROBOTのアルバムですし、本職バンドがお休みの暇つぶしポップソロ作とも言える訳ですが、ここまで素晴らしいアルバムを聞かされると、このまま終わっちゃうのは勿体ないなぁ、ってファンならずとも考えてしまいますよねぇ?

どうせ本隊バンドはそうそう動かないんだし、もっとLONELY ROBOTのアルバム創ってもいいんじゃない? ねぇ?

John Mitchellと聞いてシンフォ&プログレ系サウンドを求める向きに大推薦とは言えないけれど、ファンタジックなゆったり美しいUK産ヴォーカル・アルバムを楽しめる方や、物憂げでセンチメンタル、そしてメロディアスなデリケート・サウンドがお好きな方になら是非お薦めしたい、美旋律が満載なコンパクトで完成度の高いアルバムです(*´ω` *)



by malilion | 2019-05-24 09:29 | 音楽 | Trackback
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