いやー、GLASS HAMMERの Fred Schendelと Steve Babbが全面的に協力している事もあってか、なんかプレミア価格でとんでもない値段でしか中古盤で出回ってなかったので今まで指を咥えて恨めしく眺めているしかなかった盤がヒョッコリ流れてきたのを上手いこと拾えて何よりでした(*´ω` *) 恐らく私が購入出来たのは、02年に Karl Groomの手によってデジタル・リマスターされリイシュー(ジャケが若干変更されている)された本作も購入し、レコードラックが手狭になって古い音のオリジナル盤を放出でもした方が居たからじゃないのかな、とか勝手な想像をしております。 そっちのリイシュー盤も欲しいけど、オリジナル盤と同じく未だにとんでもないプレミア価格なんですよね…('A`) マイナーなフィメール・ヴォーカリストの自主制作アルバムなので、広大なアメリカでは殆ど注目されていない事やプレス数が希少なのが響いてるなぁ… さて、その Michelle Young嬢ですが、GLASS HAMMER参加前はチャタヌーガのテネシー大学で音楽を専攻し、合唱団で歌ったり、数年のボーカルレッスン(教会でアルトパートを好んで歌い、ソプラノパートは未熟な若い頃には非常に困難な高いキーだったのと、練習嫌いで学業は不真面目だった模様)を受けつつ、ソロ・ピアノやヴォーカル、或いはヴォーカル・グループとしてバンドで演奏するタレントショー等に参加し、世に踊り出るチャンスを伺っていたらしい。 面白いのが Michelle嬢がどういう経緯でGLASS HAMMERへ参加する事になったかと言うと、GLASS HAMMERがデビュー・アルバム『Journey Of The Dunadan』'93 の作業中、Steve Babb(Synthesizer、Bass、Taurus Pedals、Medieval Guitar、Percussion、Lead & Backing vocals)と David Carter(Electric Guitar)の2人がレストランにてアルバム制作の話をしているのを盗み聞き(!)し、2人がミュージシャンだと分かったので自分からアプローチした、という超行動派なエピソードだろう。 結局、既にヴォーカル・パートの作業は殆ど終わっていたので、アルバムのメンバー写真を撮影する為に Michelle嬢は雇われ、けれど彼女の声を気に入ったGLASS HAMMERの中心人物 Steve Babbと Fred Schendel(Organ、Keyboards、Acoustic Guitar、Recorder、Drums、Lead & Backing Vocals)2人の提案によってバッキングヴォーカルとして数曲にその歌声を残す事になり、そのままメンバーとして加入しLIVE活動をしつつ、次のアルバム『Perelandra』では堂々とGLASS HAMMERのフロントマンとしての座を勝ち取り、本格的にミュージックシーンへデビューを果たしたのでした。 『Live and Revisited』'97 では美声を披露しつつ、サポート・キーボードを弾いたりしていた Michelle嬢ですが、彼女は97年にフルタイムでソロキャリアを追求する為にやっと手に入れたGLASS HAMMERのフロントマンの座を捨て、あっさりとバンドを脱退する事になる。 これは彼女の加入の経緯を考えれば超ハングリーな Michelle嬢が、決してGLASS HAMMERでは主導的な立場になれぬ脇役にいつまでも甘んじる訳もなく、遠くない将来訪れるだろう未来だったと言えるでしょう。 でも…ちょっと Michelle嬢は気が早いと思いますけどね…(汗 GLASS HAMMER在籍中に本作『Song of the Siren』のレコーディングは開始されており、Steve Babbと Fred Schendel両名の全面的バックアップで制作された経緯もあって、当然の如く2人はGLASS HAMMERのアルバムをリリースしている自身のレーベルARIONからのリリースを招待(メンバーのソロ作をファミリー的にリリースって定番だもんね)したものの、Michelle嬢は2人に頼り切りになる愚を犯す事なく自身でNaosha Recordsを設立(しっかりしてるなぁ…)し、デビュー・ソロアルバムをリリースする決定を下す。 今となってはな話だが、この時ARIONレーベルからソロ作をリリースする選択をしてくれていれば、普通に定価で Michelle Youngのソロアルバムを今でも簡単に購入出来ただろうに、と思ってしまいます…orz 本作は Steve Babbと Fred Schendel両名の全面的バックアップで制作されてはいるものの、それは演奏パートだけで Fred Schendelとの共著曲を除いて、ほぼ全ての楽曲は Michelle嬢のペンにより、プログレ系フィメール・ヴォーカリストのソロ作にありがちな歌姫は歌唱パートを提供するだけで楽曲は殆ど所属バンドメンツが創作しているパターンではなく、素晴らしいリードヴォーカルに加えて、Keyboards、Guitar、Bass、Bamboo Flute、Silver Flute、Chimes、Ocarina、Double Barrel(両手に持ってシェイクし音を出すパーカッション)をプレイするなど、確かに本作は彼女の手によって創作された作品である“印”がしっかりとそのサウンドに刻みつけられている(*´ω` *) GLASS HAMMERでの Michelle嬢の歌声を知る方ならば既にご存じでしょうが、Michelle嬢と Kate Bushの歌声の類似性(そもそも Kate Bushに影響されて歌い始めたんだから当然だ)は隠しようもなく、Kate Bushのアルバムに期待される要素の多くを本作も兼ね添えていると言えるが、個人的にはMichelleの声の方が透明感があって音域も幅広く、朗らかで力強くてよりポピュラー・ミュージック寄りな彼女の音楽の方が好みではありますね。 勿論、創作意欲旺盛で挑戦的な Michelle嬢が Kate Bushの劣化コピー的な存在で満足する訳もなく、続く2ndソロアルバムではライブミュージカル等を見て自分の音楽に演劇的な感覚を形作る事に成功し、より自身の“声”を表現出来るようになってオリジナリティを確立していく事になるのですが… プログレ&シンフォ系ファン的には参加メンツが地味な本作より、Clive Nolanと Oliver Wakemanと親しくなった後に制作された2ndソロ作の参加メンツの方がポンプ系シンフォ系の有名所が参加している為に注目度は高いかもしれないので、ご興味あるようでしたら一度チェックしてみても損はないですよ。 尚、本作に収録されている楽曲スタイルは、所謂今日の市場における女性ヴォーカル・アルバムの大多数に見られる傾向な楽曲、ポップス、ソフトバラード、JAZZ風ナンバー、以外にもミステリアスなプログレッシヴ・インストゥルメンタル、民族音楽的インストナンバー、そして典型的な Kate Bush風の官能的女性ボーカルトラックが収録されており、ハッキリ言って Kate Bushの作品のいくつかを彷彿とさせる楽曲が多く耳につくのは紛れもない事実で、この時点ではオリジナリティという点で少々弱いといわざるお得ないだろう。 現在までに Michelle嬢は一枚だけソロ作『Marked for Madness』'01 をリリースするに留まり、以降はブルースロックバンドを始め、フランスのフォーク作など幅広いジャンルの他アーティスト達とのコラボ作やプロジェクト等に参加し、今も活発に活動を継続中な模様だ。 最後に彼女の音楽的ルーツであり、お気に入りアーティスト達を記しておくと、THE BOOMTOWN RATS、THE COCTEAU TWINS、William Orbit、Laurie Anderson、Kate Bush、KING CRIMSON、Adrian Belew、Steve Hackett、KANSAS、THRWAD、FERNANDEL、Nanci Griffith、FISHBONE、Tori Amos、Marco Flores、LANDMARQ、HAPPY RHODES、ARENA、SHADOWLAND、PENDRAGON、UNDER THE SUN、 Mozart、Beethoven、Mischa Elman、QUEEN、Ella Fitzgerald with Louis Armstrong、Paul Revere & THE RAIDERS、Basil Poledouris、THE STYLE COUNCIL、Rick Springfield、THE JAM、SUPERTRAMP、Sarah McLachlan....と、本当に幅広い音楽を聴くのが好きなようですね。
by malilion
| 2019-05-08 16:29
| 音楽
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