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“カナダのMARILLION”ことRED SANDがダークなテーマの8thアルバムをリリース!

c0072376_00120452.jpgRED SAND 「Forsaken」'19

“カナダのMARILLION”ことカナダはケベックのネオプログレ・バンドRED SANDの、前作から3年ぶりとなる8thがリリースされたので即GET!

13年作からリーダーでギタリストの Simon Caronの娘 Pennsylia Caron嬢がキーボーディストとして参加してからメンツは比較的安定していたが、マイナー・シンフォ系につきもののメンバーチェンジが再び勃発した模様で、前作から参加していたベーシスト Andre Godboutが脱退し、現在はパーマネントなベーシスト不在の4人体制での制作(ユーロ圏でのLIVE紹介のメンバーフォトで5人並んで居る画があるので、現在はサポートベーシストを迎えた? もしくは新ベーシストが加入?)となった模様だ。

薄明かりにほんのり構造物が浮かぶアルバムジャケや『見捨てられた』というアルバムタイトルからも窺えるように、全般的にダークで絶望的な印象のサウンドで満たされたこの新作は、初期MARILLION風なシニカルさも漂わせ、サイケデリックなテイストもあるサウンドが醸し出す悲観的な雰囲気が色濃いダークでミステリアスな不穏感を煽るデジタリーなイントロの導入を聞くと、まるで東欧か北欧の凍てつくような重厚なシンフォ・サウンドへ路線変更か?!と、驚かせるが、テーマがシニカルでダークな悲壮へ向いているだけで、紡がれる音楽は前作同様にテクニックやスピードに頼らぬ、ただただ美しい旋律を丁寧に紡ぎ続け、儚い哀愁へと淡い幻想色に楽曲を染め上げる、MARILLIONのメロゥな部分だけ抽出して煮詰めたかのような“泣き”とメロディアスさのみを追求した木訥で真摯なプレイとサウンドは甘美の一言に尽きる。

Steff Dorvalのヴォーカル・アプローチが所謂シアトリカル系の芝居がかった歌唱法な事や、バックのサウンドがMARILLION系、特に Simon Caronのギタープレイが、モロにMARILLIONのSteve Rothery風なのを筆頭に、所々でPENDRAGONの Nick Barret風だったり、JADISの Gary Chandler風だったりするだけでなく、Pennsylia Caron嬢が操るキーボードの音選びやプレイまでもがClive Nolan風(これは親の影響だろうなぁ…)とあって、作曲スタイルや、ブレイクと雰囲気を指摘するまでもなくモロに80年代後期UK~90年代風UKポンプ風味が漂うサウンドだし、アルバムテーマのダークな方向性も今となっては何一つ目新しさなど無いが、Pennsylia Caron嬢が可憐なフィメール声のバッキングヴォーカルを重ねる事でポップでクリアーな美しい歌メロのイメージが加わってMARILLIONフォロワー臭が幾分か薄れたのと、シンセ、オルガン、ピアノ、メロトロン系などヴィンテージ感を醸し出す鍵盤系サウンドや、徹底的に美しさにこだわったエモーショナルで官能的なギターの音色、そしてゆったりしたテンポで構成された繊細でハートフルなフレーズが尽きること無い洪水状態で、それらは今や完全に彼等の専売特許なレベルまで昇り詰めていると言っていいだろう(*´ω` *)

いささかロック的なハードエッジとパワーや攻撃性に欠けるが、心情表現にのみ注力した入魂のギター・プレイと、そんな魅惑的なギターに寄り添うように、華やかさを演出するピアノと煌びやかなシンセ、そして全てを優しく包み込むメロトロン系サウンドを操るキーボードとデジタリーなSE等、それら全てが絶妙のバランスで混ざり合って、キャッチーなメロディー、そしてシアトリカルなヴォーカルを際立たせる役割となっており、何か一つ欠けても彼等のリリカルで美麗な音楽は表現出来ぬに違い無い。

また、表だって目立つリード楽器のギターとキーボードがスピードやテクニカルなプレイで魅せるタイプでない代わりと言ってはなんだが、地味にリズムパートは非常にテクニカルなプレイを見せており、本バンドの描き出す情景や劇的な場面変化をしっかりと支える役割を見せているのも見逃せないポイントだ。

徹頭徹尾メロゥなサウンドが実にRED SANDらしい本作だが、それまで淡々とまったり美しく穏やかで柔和な叙情サウンドを紡いでいるバンドが、最終曲では突如として予想外のペース変化(キーボードもソロパートをここぞとばかりに延々とプレイ!)を見せ、シアトリカルで斜に構えた歌唱を見せていた Steff Dorvalが入魂の熱唱を聴かせる山有り谷有りの展開へ雪崩れ込んでいく様は、コンパクトに纏められているもののこれまで抑えに抑えて来たプログレ系バンドお約束な大仰な楽曲構成となっており、それまでのマッタリ感を吹き飛ばす程に痛快で、出来ればこのスリリングな展開の楽曲を最初に一曲配して欲しかったのと、もうちょい長尺で聞かせて欲しかったと無い物ねだりしてしまう。

毎度の事ながら、美メロなシンフォ系がお好みな方や初期MARILLION、PENDRAGON、ARENA、SHADOWLAND等がお好みな方はチェックしておくべきバンドと言えるだろう。



by malilion | 2019-05-02 00:04 | 音楽 | Trackback
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