北欧メロハーの新星 PALACEの2ndをご紹介。

c0072376_20400879.jpgPALACE 「Binary Music」'18

北欧スウェーデン産メロハーのニューカマーが、16年リリースのデビュー・アルバム『Master of the Universe』に続き、2年ぶりに2ndアルバムをリリースしたのをちょい遅れてGETしたのでご紹介。

1st当時は、カナダが誇るメロハー・バンドHAREM SCAREMのフロントマン Harry Hessを中心とするFrontiers主導のメロハー・プロジェクトバンドFIRST SIGNALにギタリスト兼ベーシストとして参加したのを皮切りに、CRY OF DAWNやKRYPTONITE(The PoodlesのJakob Samuelをフィーチャー)にギタリスト兼ベーシストとして参加、Toby Hitchcockのソングライター兼ギタープレイヤーとしての参加と様々なプロジェクトで名を売り、満を持してマルチ・プレイヤーにして類稀なる才能を秘めたソングライター Michael Palace(Vocals、Guitars、Bass、Keyboards、Produced)がBIG TIME時代の盟友 RicK Digorio(Guitars)と共にタッグを組み、同郷HRバンドADRENALINE RUSHのリズム隊を迎えて結成された北欧メロディアスHRバンドが、Frontiers Recordsのレーベルオーナー Daniel Floresの肝いりでデビュー、と鳴り物入りな新人で注目を集めた訳だが、その1stは個人的にはA級までいかない極上のB級メロハーにもう一歩、な出来なものの、北欧特有の憂いを帯びた美旋律と伸びやかなハイトーン・ヴォーカルに分厚い爽快なコーラス、北欧お約束のキラキラ感満載の大仰なキーボードに透明感溢れフック連発のキャッチーな楽曲、そして繊細さも兼ね備えたハードエッジで徹底的にメロディアスな80年代リスペクトなHRサウンドと、デビュー作と思えぬ完成度に有望な新人バンドがデビューしたものだと嬉しくなったものでした。

で、続く本作なのですが、マルチミュージシャンが率いるバンド特有の問題がやはり発生した模様で、デビュー作に関わったメンツは既に誰もおらず、今回はプロデュースとドラムだけ元MIND'S EYEの Daniel Floresがプレイし、ゲストギタリストでCODE REDの Oscar Bromvallが一曲 "Julia"でのソロパートをプレイした他、楽曲もプレイも1st同様に殆ど Michael Palaceが独力で創り上げたアルバムとなっている。

内容の方はと言うと、北欧らしい叙情性を含みながら産業ロック、AOR、ニューウェーブ、北欧HM等の要素をバランス良く取り入れたサウンドの方向性に大まかな変化はなく、さらにメロディックに構築されたコンパクトでキャッチーな楽曲の高品質なクオリティ、幾重にも重ねられたブ厚い爽快なコーラス・ワーク、テクニカル且つスリリングなプレイで魅せるギター・ソロなど、メロハーに不可欠の要素が詰まった楽曲の数々が前作を遥かに凌駕する仕上がりなのを一聴して即確信する程で、さらにHarmonica、Alto Saxophone(これはご愛敬なプレイスキルだけど…)など前作でプレイしていなかった楽器も Michael Palaceがプレイし、QUEENっぽいタッチのメランコリックなメロディな楽曲も収録するなど前作にはなかった新要素もあって、なかなかに楽しませてくれます。

また、デビュー作では無理なハイトーンを多用していて、その上ずり気味な歌声が少々耳に触ったが、本作ではミドルレンジ中心なAOR風な楽曲にマッチしたアダルトな歌唱スタイルを多用している事もあってヴォーカルのヘナチョコさ具合は気にならなくなっている。

まぁ、ギタリスト兼任でのヴォーカルと捉えれば十分以上な問題ない上手さなのだが、フロントマンましてやマルチプレイヤーを名乗って産業ロック寄りなサウンドをプレイするとなると、どうしても一段落ちるヴォーカルの力量が気になってしまうので…(汗

ヒットポテンシャルの高いキャッチーでコンパクト、そしてハードでキレのいいメロハー・サウンドに比重を置いたサウンドだったデビュー作から、幾分落ち着いた産業ロック&AOR要素と整合性重視なポピュラーミュージックのポップス要素が強まったと言える本作のサウンドですが、個人的には定番北欧メロハー要素満載過ぎて幾分没個性に感じられた1stよりも、2ndリリースまでにCODE RED、Robin Jidhed(北欧メロハーの元祖的バンドALIENの初代フロントマン Jim Jidhedの息子)をフィーチャーしたバンドCREYE、Erika、Hank Erix、FIND ME(Featuring Robbie LeBlanc)など多方面で多くのミュージシャンやバンドとコラボした成果か、本作の方が楽曲の幅も広く完成度も高いサウンドのアルバムなのは間違いないだろう。

デビュー作で必要以上にプッシュしていた溌剌爽快要素は確かに減退しているけれど、総合的に完成度とポップさとキャッチーさは増しているので、後はHR要素が多目がいいか、産業ロック要素が多目がいいか、というリスナー側の好みで評価が変わるってとこじゃないですかね?

少々不安なのは、今後もこのメロハー要素が薄まる方向性へ進むなら、ワンマン・バンドのマルチプレイヤー一人での活動はなかなか厳しいんじゃないかと思いますけどね…一人故に完成度は上がるでしょうが、一人だからこそ楽曲のネタが尽きるのも早いだろうし、独力では作曲スピードも限られてくるでしょうし、そうそう名曲を一人の手だけで量産出来るハズもないんですから…

出来る事なら信頼出来る力強い相棒か、ちゃんとしたバンドを組んで精力的に活動をして欲しいと思う、有望な新人ミュージシャン Michael Palaceなのでした…

北欧メロハー好きは勿論、80年代のAORやSTORM、JOURNEY、NIGHT RANGER等の煌びやかなキーボードサウンドが売りのオールドスタイルなUSメロディック・ロックを好む方にも十分訴求する高品質なメロディアス作なので、華やかな80年代USサウンドへの憧憬を隠さず現代風にモダンに再構築した本作のサウンドを是非チェックしてみて下さい。




by malilion | 2019-02-06 20:32 | 音楽 | Trackback
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