ANUBIS 「Lights Of Change (Live In Europe 2018)」'19
オーストラリアというプログレ&シンフォ不毛の地からデビューした期待の新星で、key入りトリプルG編成6人組の、前作の再録アルバムより1年ぶりとなる新譜は、15年リリースの十周年記念LIVE盤に続くLIVE盤が早くもリリースされ驚かされた! なんだかんだで既に活動15年目を迎える彼等も中堅的存在になりつつある訳だが、後続でめぼしいバンドが続かないので未だに期待の新星扱いなのが、ちょっと悲しい… さて、本作は故郷に錦を飾った十周年記念LIVE盤とは違い、18年のユーロ・サマーツアーの模様から抜粋された2枚組LIVE盤で、Disc1にはドイツでの野外フェス(7/15、Loreley Amphitheatreで開催されたProg Festivalでのほぼ全セットを収録)での熱演を、Disc2にはソールドアウトとなったオランダの有名クラブt Blok(7/8、Nieuwerkerkで開催されたProgfrog公演の後半を収録)での模様を収録した、ある種彼等にとっての海外遠征記念盤と言えよう。 メンツは前作と変わらず不動の6ピース(現体制になって5年目)で、バンド一丸となってロマンチックな情感を織り成すアンサンブル、売りの分厚く華麗なコーラスやトリプルギターの利を活かした分厚いバッキング、そしてLIVEだと二割増しで大活躍する David Eatonのリリカルで優美、そしてシンフォニックで柔和なキーボードの音色が、アルバムより一層にハードタッチな色合いが強くなるLIVEサウンドに潤いと艶やかさ、さらに透明感を与え、スタジオアルバムとまた趣を変えた一味違うスリリングでラフな魅力あるサウンドを奏でる様子が伝わってくる好盤だ。 MARILLIONっぽいロングトーンの透明感ある繊細なギターの音色の裏で邪悪に蠢くHR的なベースの存在感や、頑張ってアルバムの再現を保っている Robert James Mouldingのハイトーン・ヴォーカル、そして手数よりタイトさやグルーヴに重きを置いたシンフォ&プログレ系的には異端なHR的ドラムス(なのに音が軽ぅいのは…MIX具合のせい?)と、いい意味でLIVEならではの味やノリが変拍子やテクニカルなプレイを巧みに交差させ複雑な展開をみせるサウンドに勢いを与えていて、近作でのシンフォ度が増してマッタリ感ばかりを強く感じるサウンドに少々残念な思いもあった彼等でしたが、初期からの持ち味であったHR的スピードや攻撃性が本LIVE作ではチラリチラリと垣間見えて個人的には大変嬉しかったですね(*´ω` *) また、本LIVE作の最大の売りは、デビュー作の映画サントラみたいなイマイチなサウンドに一気にHRタッチが加わってパワフルなハード・シンフォサウンドを奏でるバンドへ生まれ変わり彼等の人気に火がついた、個人的にも大好きな2nd『A Tower Of Silence』'11 をアルバム順通りプレイする丸ごと再現というバンド史上初のフルパフォーマンスを収録しており、スタジオ作以上にロマンチックでセンチメンタル、そしてLIVEを経て磨き抜かれ、より神秘的で完成度の高まった美しくもシャープなシンフォサウンドを奏でる見事な様は、正にファンならずとも感無量といったところでしょう。 シンフォ系のLIVE作なんだから当然なんですが、LIVE作と言うには余りにお行儀が良く、ついHRバンドのワイルドで熱くアグレッシヴなLIVE作と比べてしまう自分が間違っていると重々承知(けどメンバーの風貌はハードロッカー臭いんだよなぁw)しておりますが、もうちょいLIVEならではの原曲の崩しやアレンジをガラリと変えたLIVEバージョンの楽曲なんかの熱演も聞きたかったなぁ、なんて無い物ネダリをしてしまうくらいしか文句のつけようがない本作ですので、ファンなら勿論のこと、透明感ある壮大なオセアニアン・シンフォ好きな方や、ユーロ・シンフォ程暗くシリアスでなく、USAシンフォ程パワフルでヘヴィでもない一風変わった彼等の生の音を、是非ともシンフォ好きな方に一度チェックして貰いたいですね。
by malilion
| 2019-01-27 16:15
| 音楽
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