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John Payneの別名義ASIA? いいえ、新バンドDUKES OF THE ORIENTのデビュー作です。

John Payneの別名義ASIA? いいえ、新バンドDUKES OF THE ORIENTのデビュー作です。_c0072376_15453563.jpgDUKES OF THE ORIENT 「Same」'18

後期ASIA、GPSのヴォーカリスト兼マルチ・プレイヤーである John PayneとLANA LANEや90年代に数多くのプログレ・プロジェクトやプロデュース業で名を馳せたキーボーディスト Errik Norlanderによる双頭プロジェクトのデビュー作(メンバー・フォトではツインギター&キーボード入り5人組)がリリースされたのを、かなぁーり遅れてGET!

本作がリリースされるまでのゴタゴタやバンド名についての一連の騒動、そして新譜情報だけは John Payneの口から伝えられるのに一向にリリースされる気配もなく、内容と全く関係ない権利関係やメンバーの入れ替わり問題ばかりが話題になっていたアルバムがやっとリリースされ John Payneファンな方々は今頃は胸を撫で下ろしている事でしょう。

一時期 John PayneのASIAとオリジナルメンツが再集結したASIAが存在してファンが困惑したり、後期ASIA在籍メンツによる新バンドGPS(キーボードはSPOCK'S BEARDの奥本亮)が結成され新譜がリリースされたり、GPSとは別にASIA featuring John Payne(キーボードは Errik Norlander)なる別名義で新譜『Americana』をリリースする、という情報やらが錯綜し、結局ASIA featuring John Payneはカヴァー・アルバムしかリリース出来ず、オリジナルASIAは順調に新譜をリリース(Geoff Downesの裏切りっぷりが、また…)する、というなんともドロついた政治力が蠢いているのが透け見える状況やらに、不遇な90年代のASIAを支えてきた John Payneに対して余りな仕打ちじゃ無いか、と憤慨していたファンは少なくないはず。

結果から言って John Wettonを中心に再集結したオリジナルASIAは期待に反して碌なモンじゃないアルバムしかリリース出来ず、そうこうする内にJohn Wettonが鬼籍になってオリジナルASIAは終わり、という皮肉めいた結末(Carl PalmerはEL&Pの方を取った訳だ。そりゃボスになれるんだし、当然か)を迎えた事を考えると、一連の騒動に足を引っ張られて思うような活動が出来無かった John Payneには、今度こそ頑張って活動してもらいたいと願わずにはおれないのです…

さて、本作はASIA featuring John PayneからDUKES OF THE ORIENT(東洋の公爵達)に改名したかのような作品で、これまでに後期ASIA、GPSに関わったメンバーばかり(ギタリストがズラリ、勢揃い)がアルバムにはクレジットされている。

音楽性もAOR風味の増した後期ASIAから、そのまま音楽性を引き継いでHMテイストを加味したGPSのサウンド要素を多分に含んでいて、実際本作を耳にした方なら『コレなら改名する必要があったの?』と、素朴な疑問を誰でも抱く事だろう。

まぁ、ASIAの名前は権利的に面倒だし、さっさと新バンドとして活動を開始した方がいい、と踏んでの名義変更だろうが、GPSがイマイチ受けなかったからとは言え、見切りが早いなぁ、とビジネスライクな行動にちょっと感心してしまう…(汗

で、そういった内容以外の話題に事欠かない本作だが、その内容の方はと言うと、後期ASIAからお馴染みな John Payneの持ち味であるAORテイストを多分に含み、ハスキーな声で力強く歌い上げるディープ・ヴォイスの魅力が活かされたメロディックでキャッチーなUKプログレッシヴ・ポップロック的音像に、Errik Norlanderらしい壮大でシンフォニックなキーボード・オーケストレーションを加えた音楽性で、コンパクトでありながら叙情的な美旋律を全面に押し出した初期ASIAテイストも幾分か感じさせる(確実に Errik Norlanderは確信犯だ)ドラマティックでハードなスケールの大きいサウンドは、劇的な展開とベテランならではの構築美で隙無く纏め上げられており、もしASIAがオリジナルメンツでの再結成などという愚行を行わなかったならば、きっと『Silent Nation』'04 に続く新譜はこんなサウンドになったんじゃないか、と想像させるに十分なクオリティと完成度だ。

良く言えば後期ASIAを受け継いだ、悪く言えば後期ASIAの焼き直し、とも言えるが、最早 John Payneと Geoff Downesの和解は無いだろうし、必要も無いだろうし、John Payneファンとしては、彼がAORテイストあるウェットでメロディアスな良質のロック・アルバムをリリースさえしてくれさえすればもうメンツに拘らないので、願わくばどうかこの十数年の空白を埋めるような精力的な活動を John Payneには続けて欲しいものであります…



by malilion | 2018-12-24 15:38 | 音楽 | Trackback
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