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若き日の Dan Swanoが挑んだ北欧プログレ・ポップバンドUNICORNの幻の音源がリリース!

若き日の Dan Swanoが挑んだ北欧プログレ・ポップバンドUNICORNの幻の音源がリリース!_c0072376_12235284.jpgUNICORN 「A Collection Of Worlds ~Resurrectio~」'18

90年代にMELLOW RECORDSへ2枚のアルバムを残している、若き日の Dan Swano(Lead Vocals、Drums)が率いていた、Peter Edwinzon(Piano、Synthesizers、Vocals)、Anders Mareby(Guitars、Flute、Vocals)、Per Runesson(Bass)の4名からなる北欧スウェーデン産プログレ・ポップバンドのフルアルバムデビュー前に残していたデモテープがリミックス&リマスターを施されリリースされたので即GET!

メロディアス・デスHMバンドEDGE OF SANITYやゴシック・ロックバンドNIGHTINGALEのリーダーにしてマルチプレイヤー、音楽プロデューサーとして著名な北欧メロデス界の重鎮、スウェーデン人ミュージシャン Dan Swanoが10代の頃に結成し、活動していたHRバンドから発展した、EDGE OF SANITYの活動と並行し断続的に2枚のフルアルバム(イタリアのMELLOW RECORDS盤、マニア泣かせ…)、2枚組コンピ(『A Collection of Worlds PartⅡ』と3rdデモテープ『The Weirdest of Tales』'91を収録)、4枚組CDのBOXセット・コンピレーション音源集、そして4本のカセット・デモテープを、90年代後期に活動停止するまでに残した北欧プログレ・ポップバンドの、最初期のデモテープ『A Collection of Worlds PartⅠ』'88と『A Collection of Worlds PartⅡ』'89の音源をまとめた、まさに幻の音源のリリースだ。

今や北欧メロデスのみならず多岐に渡って精力的に活動している Dan Swanoのブレイク前のプレイ(ヴォーカルとドラム)が聞ける幻の音源とあってか、インディ・レーベルからながら初期のデモテープ音源はこれまで幾度かCD化されて来たが、本作は単なる発掘音源CD化ではなく、『A Collection of Worlds PartⅡ』の音源の曲順を変化させ、17年リミックス&リマスター、さらにヴォーカル・パートのみ11年再録音源に差し替えてのリイシュー作となっている。

本作のサウンドは、後にMELLOW RECORDSよりリリースされる2作のサウンドと比べるまでもなく特異で、若さ故に才気走るのが抑えきれぬのかハッタリ連続のテクニカル押しな上、スピィーディでパワフルなHR的要素が強く、さらに80年代初期に英国で唸りを上げたポンプ・ムーブメントの影響(間違いなくIQとMARILLION)が垣間見え、如何にもプログレ、という複雑な構成の楽曲(Dan Swanoは70年代プログレッシヴ・ロック愛好家)が実に個性的で、そこへ Dan Swanoの中域メインなヴォーカルを活かしたASIA的キャッチーな歌メロ要素やメンバー全員からなる分厚く爽やかなコーラスを加え、さらに後の活動が予見出来る Dan Swanoの自己主張が強くテクニカルで頑張り過ぎ(汗)なドラムスが目まぐるしい変拍子をそこかしこに叩きつけながら強引に楽曲を推し進める、破綻スレスレながら怒濤の勢いで駆け抜けていく、一種爽快感さえある手に汗握る展開に継ぐ展開な楽曲に、燃え上がるような創作意欲が迸る、ティーンエイジャーのアマチュア・ミュージシャン達の剥き出しな情熱と渇望が漲るサウンドだ。

80年代後期USAインディ・シーンに大量に居たテクニカル・スラッシュメタルバンド達に通じる複雑怪奇で強引な楽曲展開なのだけれど、途中で聞く気が失せてしまうUSA勢と違って彼等は爽快なコーラスやポップでキャッチーな歌メロと一丸となったメンバー達のアンサンブルでなんとか楽曲が破綻しないように力業で纏め上げていて、そんな所は如何にも清涼感あるメロディ創りが得意な北欧ミュージシャン達のプレイだと感心してしまうが、如何せん全体的なサウンドの完成度は低く、勢いとキャチーさで聞き通せるもののプログレ的な艶やかさや構築美、さらにオリジナリティといった点でまだまだ至らず未完成なバンドサウンドなのは否めないだろう。

しかし、10代でこれだけ強力なサウンドと次に何が飛び出してくるか分からぬ怒濤の楽曲展開、そしてタイトでソリッドなプレイを自主制作のデモテープに残している時点で、やはり Dan Swanoは只者じゃなかったと、改めて感心させられますね。

後にデビュー・フルアルバム『EVER SINCE』'93 に再録収録(この時点でベーシストは不在でゲストのプレイ)される楽曲のオリジナル・ヴァージョンを収録している点や、本デモではフルートを効果的に使ってプログレ的なサウンドの彩りと艶やかさをバンドにもたらしていた Anders Marebyが以降はフルートをプレイしなくなり、代わってCelloをプレイ(何故かゲストでフルート奏者を招く…)するようになるという変化や、よりスタイリッシュなバンドサウンドへ変化し、Peter Edwinzonのテクニカルで情熱迸るHR的プレイは影を潜め、代わってセンスあるシャレオツでモダンなキーボードプレイや華やかな音色のシンセでサウンドの整合感を上げていくようになる変化が分かったり、一番の大きな違いは Dan Swanoのド派手で騒々しいドラムプレイが大人しくなってタイトさに重きを置いたシンプルなプレイへと変化した点(w)等の、軽めなサウンドなMELLOW RECORDSのアルバムとの差異を楽しめるのでファンは勿論、ポンプからシンフォへ向かう過渡期のHR風味あるハードシンフォ好きな方にもマストアイテムと言えるだろう。

後にさらにモダンさとポップでキャッチーさが上がって、テクニカルさを抑えて整合感と北欧ならではの透明感が増していく彼等のサウンドですが、その変化は英米問わずこの時期のメジャーへの展望を画策するポンプ系バンド全般に言える事なので苦言を呈する気も無いし、軽やかなポップ度が上がって聞きやすくなった方が個人的には好みなので大歓迎だったのですが、本作で聞ける北欧バンドらしいHR要素を含みつつ変拍子を巧みに活かした、爽快なコーラスとフックある歌メロが心地よい、パワフルな疾走感を備えたテクニカルな初期シンフォ・サウンドが、もしそのまま発展したのなら一体どういったユニークで面白いサウンドへ進化したのだろうか、とか、間違いなく後のプログレHMバンドの先駆となりえたのに…惜しい! などなどと、妄想せずにはおけません(*´ω` *)

しかし、気になるのはアルバムタイトルに“Resurrectio(復活)”って入っている事で、これはUNICORNとして再び活動してくれるって事なんですかね?

今までの再発は旧音源のCD化でしかなかったけれど、本作はちゃんと新たに再録しているパートもある訳だし、きっと Dan Swano的にも若き日に成功を夢見て活動していたバンドに愛着はあるでしょうから、是非このまま本格的に活動再開して欲しいものです。

因みに、ジャケットのデザインは4枚組BOXセット『A Recollection Of Worlds』'01 の目を惹く人物(メチャ、目立つww)をピックアップしてトリミングしたリデザインされたものとなっている。



by malilion | 2018-12-06 12:12 | 音楽 | Trackback
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