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北欧のSKID ROWなDAYNAZTYが、一気にモダン・デジタリー・ポップサウンドへ急接近な新譜をリリース!

北欧のSKID ROWなDAYNAZTYが、一気にモダン・デジタリー・ポップサウンドへ急接近な新譜をリリース!_c0072376_18090751.jpgDAYNAZTY 「Firesign」'18

北欧スウェーデン産5人組ツインギターHMバンドが約2年半ぶりに6thをリリースしたので、おっかなビックリしつつ即GET!

北欧のSKID ROWとでも言うような、LAメタル的華やかなアメリカンHMと北欧HM要素をMIXしたキャッチーでメロディアスなサウンドが身上の音楽性でデビューした彼等だったが、前々作で昨今の新人バンドが陥り易いモダン・ダークネス病とでも言うような鈍色USサウンドへ急接近し、持ち前の華やかだったサウンドをスポイルさせガッカリさせ、前作でいくぶん初期風なメロディアスさが戻って安心させてくれ、続く本作でどういった変化が見えるのかと興味津々だった訳ですが、今度はヘヴィな方向と真逆な方向へ進んだ模様でこれには少々驚かれました。

より北欧HM的な爽快感あるサウンド要素が強まり、さらに一時期ザクザクした疾走するソリッドでメタリックなギターリフがモダンヘヴィネスを強力に主張するサウンドへ傾倒していたにも関わらず、本作では一気にベーシスト Jonathan Olssonが奏でるキーボードサウンドの比重がググッと増え、華やかさが増すのと同時にサウンドが全体的に軽やかになって、メロハー的サウンドと言うよりもさらにポピュラリティが高い普遍的ロックサウンドへ接近するとは完全に予想外。

この方向性の急激な変化は、恐らくフロントマンの Nils Molinが17年に同郷のメロディック・デスメタル・バンド、男女3人のスクリーム・ヴォーカリスト、クリーン・ヴォーカリストを擁するモダンなエレクトロコア・スタイルが特徴的なAMARANTHEへ電撃加入した事が大きく影響しただろう事は想像に難くありません。

DAYNAZTYでは刺身のツマ状態だったキーボードのみならず、他にもSEや電子楽器やコンピューター処理したサウンドを積極的にバンドサウンドに取り込んでいるAMARANTHEでの活動を経験し、そしてDAYNAZTYより知名度がありHMファンから支持されているのを間近で見て、それらの要素をDAYNAZTYへ Nils Molinが逆に持ち込み、DAYNAZTYをよりメジャーな存在へ近づけんと画策したのは間違いないだろうし、それに加えて14年リリースの4thアルバム『Renatus』より加入した Jonathan Olssonがバンドに馴染んで作曲への貢献度が上がったか、発言力が増したかでキーボードサウンド増加へ繋がった(クレジットを見る限り、Jonathan Olsson主導の作曲ではないけど…)一因、という事もあるのかも?

ともかく昔から北欧HMはキラキラしたキーボードをフィーチャーしたサウンドが大の得意なバンドが多かったわけだし、DAYNAZTYの面々も恐らくそうした身近なサウンドを耳にして育ちミュージシャンになった訳だろうから、本作のようにキーボードがフィーチャーされた北欧HM的テイストが多々感じられるサウンドへ接近してもなんら不思議もなく、元々華やかなLAメタル的なサウンドをバンドサウンドの基軸にしていた彼等のサウンドにマッチするのも当然と言えば当然なのだろう。

さらにAMARANTHEでの活動の影響なのか、今まであまり聴かれなかったミステリアスでファンタジックな感触の歌メロや楽曲メロディ、ゴス系なダークで分厚いコーラスを多用するなど新要素の数々が本作で垣間見え、思いの外に Nils Molinは色々なモノをDAYNAZTYへ持ち込んできたのだなぁ、という印象が楽曲の端々で感じられました。

本作に至っては、初期のSKID ROW的なアメリカンHM的感触は薄れ、元々ユーロ圏のバンドなので当然だが、よりウェットでメロディアスなサウンドへバンドサウンドが傾倒しているのがハッキリ分かる楽曲で本作は構成されていて、そうなると必然的に派手でトリッキーなリフやテクを見せつけていた Love Magnussonと Mikael Laverの奏でるアメリカン寄りなソリッドなギタープレイも、より北欧HM的でメロディアスなフィーリングに特化し、さらにデジタリーでモダンなキーボード・サウンドにもマッチした、流暢な早弾きや憂いを湛えた泣きのフレージングなんぞも顔をだす美旋律プレイとサウンドへ変化し、北欧HM大好物な自分的には嬉しい変化ではありますが、初期のカラっとしたサウンドとザクザクギターを刻んで弾けんばかりに突っ走る80年代風アメリカンHMテイストを好んでいたファンにはちょっとガッカリな方向への進化と言えるかもしれない。

現代的モダンサウンドの感触が強まっている本作のサウンドは、所謂マイナー臭が強く繊細で美旋律の質は高いけれどパワーとモダン性が著しく劣る日本で根強い人気を誇る80年代風北欧HM的な感触は薄く、先に述べたようによりポピュラリティの高い普遍的なロックサウンドに近づいていて、特にデジタリーなキーボードサウンドが好みでないメタルヘッドな諸兄には、キーボード主導による売れ線的なアプローチの所々が気に触るだろう事は簡単に予想でき、より幅広いリスナーをファンに獲得出来る代わりにダイハードなメタルファンからの支持を失う危険性の高いリスクある勝負作で挑んできた、短期間でかなりサウンドの幅を拡げ貪欲に多種多用な音楽性を恐れることなく取り込んで自らの血肉にし続ける北欧期待の新鋭である彼等が、次作で一体どういう方向へ発展するのか今から目が離せません。

なんだかんだで同時期にデビューした同じ新人バンド達とは一味違う、バッドボーイズ系でも80年代アメリカンHMリバイバラーでもない独自の道を模索し、唯一無二のサウンドを確立しつつあるような彼等の、この先の活動に期待大なのであります(*´ω` *)

しかし、最近は複数のバンドをフロントマンが掛け持ちするのが当たり前になったりしてて驚かされますねぇ…ヴォーカリストって言ったら、バンドの顔とも言える存在なのに、どちらもインディ・レーベル所属ながらメジャー・シーンで精力的に活動するバンドを掛け持ちとは…時代が変わったんですねぇ…(シミジミ

と言うか、同時期にAMARANTHEも新譜をリリースとか、DAYNAZTYの活動との兼ね合いはどうするつもりなんだろうか?(汗

体力的にもかなりタフな状況(AMARANTHEのヴォーカルは分担だから負担は軽い、と踏んだのかも?)になるでしょうし、Nils Molin脱退なんていう最悪の事態が起こらなければいいんですけど…




by malilion | 2018-11-12 18:02 | 音楽 | Trackback
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