![]() DANGER DANGERへ04年に出戻ったフロントマンの Ted Poleyが、北欧スウェーデン新世代ハイブリッドHRバンドDEGREEDと組んだ新プロジェクト・バンドによるデビュー作がリリースされたので即GET! そもそもが Ted Poleyがソロアルバムを制作しようとした所が本作の出発点(アルバムジャケが全てを物語ってる)なので、本来ならDEGREEDのメンツはソロアルバム制作時のバックバンドという地味な裏方的扱いであるべきなのだが、DEGREEDの創作貢献に対する敬意とそのミュージシャンシップや演奏スキルに惚れ込んだ Ted Poleyが本作をバンド作として捉え、改めて対外的にアナウンスした結果の新バンドとしてのタイトルと言う事だ。 DANGER DANGER脱退の後、ソロ・キャリアやTRIXTERのギタリスト Steve BrownとのプロジェクトバンドTOKYO MOTOR FISTなどで精力的な活動を行っていた訳だが、そんな中でテクニカルでモダンなプレイが身上の新世代北欧HRバンドの有望株DEGREEDのハイセンスなプレイを気に入り、挙げ句にバンドにまでしてしまったのは、Ted PoleyがDANGER DANGER加入前はUSプログレHMバンドPROPHETでドラマー(有名な話だけど、今の若いリスナーは知らないかも…)だったのも大いに関係しているのだろう。 大抵、ヴォーカリストって奴はインストパートを延々と演奏するプログレ系のバンドサウンドや、そういった本来バンドの顔であり主役であるヴォーカリストの立場を蔑ろにしかねない音楽形態を当然と言えば当然ですけど好まぬ傾向にありますからね。 逆にプログレ系は、定番の変拍子だったりでドラマーのテクニカルなプレイが重要視されますし腕前の見せ所なので、そういった Ted Poleyのミュージシャンとしてのバックグラウンドも大いに関係して、優秀なバックミュージシャン達(そして、恐らく無名で制作コスト的にも割安な)の手によるソロ制作という Ted Poleyの望む環境と、17年に待望の4thをリリースし、プレイヤースキル的にもアルバムの出来的にも問題なく、あと1つ足りないのはメジャーな知名度だけ、というDEGREED側の要求を満たすWINーWINな関係が築かれたのだろう。 で、内容の方ですが、Ted Poleyのソロ作が出発点なので当然ですが、ヴォーカルがメインでクローズアップされたサウンド形態で、DEGREEDの派手なインタープレイやテクニカルなプレイは控え目で目立たない、彼等の持つモダンなセンスやそつないプレイスキル、またコンポーズ能力の方がクロースアップされた造りになっているアルバムと言えましょう。 キャッチーでフック満載な溌剌ポップサウンドが売りのDANGER DANGERフロントマン Ted Poleyのソロ作に求められる“売れ線要素”は当然満たしつつ、DANGER DANGERでは聞けぬモダンでAORにも通じるコンパクトに纏め上げられたハイソで洒落た楽曲の数々は基本的にアメリカンポップス路線なのですが、そこへDEGREEDからのインプットであろう北欧的なウェットなメロディや、楽曲の根底に流れる優美さ、終始艶やかで繊細さを感じるモダン・サウンドなど聞き所は満載で、もしアメリカ人ミュージシャンの有名所を集めて制作されていたならば、恐らくさらにキャッチーでもっと明るくカラっとした爽快感ばかり耳につくドライサウンドになっていただろうアルバムにユーロ圏独特のシットリした質感と北欧HR特有の清涼感を与え、Ted Poleyの関わった作品カタログの中でも大きく趣の異なる、その他のソロ作とも差別化されたサウンドのアルバムを残した点は大いに注目されるべきポイントと言えるのではないでしょうか? DANGER DANGERのフロントマン Ted Poley、という点に惹かれて本作を購入したファンにとっては、イマイチUSメタル的な溌剌さやドポップな感触が足りない大人びたサウンドと捉えられ不満に思われてしまうかもしれませんが、さすがに彼もデビュー当時のバブリーなご時世の若者って訳でも歳でももうありませんので、こういった落ち着いてリラックスした音楽を演る歳に相応しいミュージシャンに成ったんだと納得して戴く他ありませんね… 私のような Ted Poleyのソロ作というだけなら決して本作は購入検討にならなかっただろうDEGREEDファンにとっては、DEGREEDの新たな魅力やスキルを確認出来る、彼等のこれまでリリースしてきたオリジナルアルバムとは一味違った大人向けなサウンドの、高品質なハードポップ&AOR作と捉え楽しめる一作と言えましょう。 幾分、整合感やAOR的な完成度に重きを置いたからなのか Ted PoleyがDANGER DANGER等やこれまでとは違った魅力を見せようと意識したからなのか、楽曲のセンスの良さやエレガンドな上品さ、そしてコンパクトさとは裏腹に、分かりやすいキャッチーさやUSAロック的なフックに欠けるきらいのあるサウンドに思え、DANGER DANGERのようなサウンドを求める向きには少々厳しいサウンドといった印象なのが本作への偽らざる感想ですね。 Ted Poleyには本体バンドのDANGER DANGERや Steve BrownとのTOKYO MOTOR FIST、そして自身のソロ活動もあるわけで、実際本作の完成までに3年を費やしたと言う事だし、続くMODERN ARTの新作が果たしてリリースされるのか甚だ疑問ではありますが、もし次作があるならばもっとDEGREEDに楽曲制作のイニシアチブを譲った純然たるバンド作としてのサウンドを聴かせて欲しいものであります。
by malilion
| 2018-11-08 18:03
| 音楽
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