![]() 前作『Rock‘N'Roll Telephone』から4年ぶりの新作であり、NAZARETHを唯一無二の存在たらしめているバンドの顔であり声であるオリジナル・シンガーで看板ヴォーカリストだった Dan McCaffertyから新ヴォーカリストへチェンジして初のアルバムをGETしたのでご紹介。 1968年結成から今年で活動50年(!)という長い長いキャリアを誇る70年代英国HRバンドの生き残りである彼等、既にオリジナルメンツはベーシスト Pete Agnewのみで、現在はドラマーも息子 Lee Agnewが務めており数年前からバンドは実質Agnew一家が仕切っていた状況だったが、遂に前作をもって看板ヴォーカリスト Dan McCaffertyが健康上の問題の為に正式に13年に脱退となり、新フロントマンに Linton Osbomeを迎え活動を継続させていた彼らだが、15年からフロントマンがチェンジするという早々に暗雲が立ち込めるような出来事があったものの、現在は Carl Sentanceが三代目ヴォーカリストとして迎えられ、その新体制4人組によって本作は制作されている。 音楽性は基本的にデビュー当時からAC/DC張りに殆ど変わりなく、ブギー中心のロックンロール・サウンドが身上の彼等だから、半世紀を超えた活動故に今さらさしたる変化(途中、産業ロックやAORへ色気見せたり、華やかでバブリーな80年代HMへ色気も見せたけど…)もないだろうと予想はしつつも、どうしたってフロントマンの交代というこれまでで最大のサウンド変革が訪れるであろう本作には、ファンならずとも興味がある音楽ファンは多いのではないだろうか? かく言う私も、果たしてあのイブシ銀なNAZARETHのサウンドがどう変化したのか、はたまた変化しなかったのか、を楽しむ為に、先行公開されていた音源を一切耳にせず本作を購入した次第であります。 Dan McCafferty在籍時は、彼の決して耳障り良いとは言い難い独特なシャガレ声と音域の問題もあって、そうそう幅広い音楽性へバンドサウンドが変化する事が出来無かった故の不変のサウンドでもあっただけに、その看板と表裏一体で足枷ともなっていた“声”が変わる訳だから、もしかしたら今までしたくても出来無かった冒険を挑んでくるかも、とか想像してワクワクしてたんですよね(w 一聴して感じたのは、ああ、やっぱり音域が広いヴォーカルをチョイスしたんだな、と言う事。 当然、今まで楽曲の展開や幅が狭められていた弱点を、新フロントマンを得るチャンスで補おうと、AC/DCも同様のフロントマン交代があったけれど、それとは正反対な Dan McCafferty系等のシャガレ声ではなく比較的ハイトーンを聴かせるヴォーカリストを選択した訳ね、と。 まぁ、Dan McCafferty系のヴォーカルを選んだらどうしたって比べられるし、それでなくてもどうせ比べられるんだから、だったらハナから別系等の歌声を持つフロントマンにしよう、という考えは理解出来ますし、建設的で前向きですよね。 で、内容の方ですが、定番のブリティッシュ・ブルーズHRをはじめ、シャッフル調ブギーだったり、活きのいいロックンロールだったり、枯れた味わいのあるブルーズ調バラードだったりと、おおよその予想通りなシンプルで渋いストレートなロックサウンドという方向性なものの、甲高いハイトーンを聴かせるヴォーカリストへの変化と、比較的甘めな声質の特徴を活かしてか、近年希に見る程にポップフィーリングが強く、総じてアルバム全体が明るく朗らかで若々しいイメージで染め上げられており、前作までのイブシ銀な枯れた味わいと、お爺ちゃんバンドならではの哀愁と翳りみたいなものが滲み出ていた渋い渋いサウンドがお好みであったファンは少々面食らうかもしれません。 まぁ、バンドメンツの平均年齢もググンと下がって、殆ど別バンド状態になった訳だし、さすがに70年代UKロッカーの生き残り Dan McCaffertyと同じ渋さを要求されても叶えられるはずもない、って事で、一気にサウンドを若返らせたんでしょうけどね。 それにポップな変化についても、一度80年代にバンドメンツを大幅に増やしてキーボードやコーラス等を補強し、産業ロックへ大幅に傾いたドポップでシャレオツなアルバムをリリースして初期音楽性を捨て去る暴挙に出た事もある彼等なので、古参ファンほどダメージはそれ程ないかも…(汗 とは言え、ユニットが若返った見返りにバンド最大の武器を失い、他バンドとの差別化はアルバムの音だけからはしにくくなったのは確かで、こうなると現状NAZARETHなんだけどNAZARETHじゃない、というような微妙な気分にファンはならざるおえない訳で、こればっかりは時間しか解決してくれぬとは言え、やはり新フロントマンを迎えた今の編成で一刻も早くヒット曲なり新たなバンドの顔となる代表曲が出てこないと、懐メロを歌う良く似たカヴァーバンド状態なのを払拭出来無いだろうと思いますね、個人的には。やっぱり。 心機一転作であり、重要な勝負作である事はバンドも重々承知しているだろうに、無駄な気負いが一切感じられぬこれまで通りなリラックスしきった飄々とした作風が如何にもベテランの貫禄を感じさせ、彼等らしいと言えば彼等らしいのがファンには嬉しいんですけどね(w 今しばらくは Dan McCaffertyのガサついてベシャっとツブれたあの独特の声がチラつくでしょうが、総じてポテンシャルも高くしっかりキャッチーに纏めつつコンパクトな仕上がりの、これまでのオリジナリティであるイブシ銀なNAZARETH流ブルーズHRサウンドもしっかり感じさせるこの新機軸サウンドで、どこまでも邁進して欲しいですね。
by malilion
| 2018-11-07 19:30
| 音楽
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