![]() 今は亡きポンプ系バンド NO NAMEでお馴染み(?)な欧州の中心地、ルクセンブルク大公国からデビューしたキーボード入り五人組シンフォ・バンドの待望の新作が4年ぶりにリリースされたのを、ちょい遅れてGET! ギタリスト Stephane Lecocqと共にバンドを創設したメンバーであるドラマー Thibaut Grappinのみを Christophe Szczyrkへチェンジしての本作だが、その変化の程はアルバムの音を耳にする前から、随分とモダンなデザインになったジャケットからある程度は伺える2ndアルバムだ。 2014年末に自主制作リリースされ、15年にドイツ・レーベル『Progressive Promotion Records』の手で再リリースされたデビュー作は、バランス重視な古典的プログレとポンプをMIXさせた優等生シンフォ・サウンドでバンドの独自性やサウンドの個性が薄い印象だったが、続く本作では女性ヴォーカリストをゲストに迎えたり、定番のフルート、チェロ、ヴァイオリン等のストリングス・ゲスト陣等を迎え叙情的なクラシカル・アンサンブルを効かせたアレンジによってサウンドの質と艶やかさが増しただけでなく、メランコリックな雰囲気やユーロ圏バンド特有の陰鬱で気怠げなメロディ、そしてリリカルで優美な美旋律の度合いが一段と強まり、さらに前作ではフロントマンの Nicholas-JohnがギターとE-Bowを操ったが、本作ではテルミン(!?)を操るなどデジタリーで近代的なサウンド処理にも意欲的に挑んでモダンなサウンドを進化させ、精巧なアレンジを施し楽曲の表情の幅も拡げた、待たせた甲斐のある新人バンドらしい意欲作と言えよう。 特に Sebastien Perignonの操る可憐で繊細なピアノの軽やかな音色と、MARILLIONの Steve Rothery張りな哀愁と泣きの音色を聴かせる Stephane Lecocqのギターが楽曲のそこかしこで切なく咽び泣き、息をのむような哀愁で楽曲を染め上げていく様は以前には聴かれなかった表現で、実にユーロシンフォ・バンドらしいメロディアスさと、程良いスケール感もあって大仰過ぎてB級イタ公シンフォのように安っぽくならぬ、このバンドならではのバランス感でコンパクトに纏め上げられていて胃もたれせずに最後まで聞き終える事が出来るので、長尺曲が多く複雑な楽曲展開でリスナーをウンザリさせてしまう事が多々あるプログレ系が苦手な方にこそお薦め出来る、プログレ導入にもってこいなバンドではないだろうか? 癖のない歌声で Nicholas-Johnがシアトリカルな歌唱で物語を紡ぎ出すが、そのサウンドは北欧バンド群のサウンド程にミステリアスでもなく仄暗くもない、イタリアン程に騒々しく大袈裟で暑苦しくもない、丁度程良い塩梅なサウンドなのも新世代バンドならではのスタイリッシュなモダン・ユーロ・シンフォサウドと言える。 間違いなくデビュー作よりサウンドのスケールと楽曲表現の幅を拡げた着実な進歩の見える本作だが、Nicholas-Johnの音域の狭い歌唱と癖の少ない歌声も相まって、強烈な個性やサウンドの進化具合、そして他ユーロ・シンフォバンド群との差別化に成功しているとは現時点で言えないものの、この調子でオーソドックスで透明感ある欧州風シンフォサウンドにさらに磨きをかけ、次なる新作では一層のレベルアップを計ってその名とサウドをシーンに轟かせて欲しい、期待出来る新人バンドの一つだ。
by malilion
| 2018-11-06 00:41
| 音楽
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