半年遅れで購入、PRAYING MANTISの新作『Gravity』デス

c0072376_00124433.jpgPRAYING MANTIS 「Gravity」'18

英国NWOBHMムーヴメントを代表する哀愁の叙情派ツイン・リードギターHMバンドの約3年ぶりとなる待望の新作を今頃(汗)購入したので、ご紹介。

いつでも安心安定な“マンティス節”を披露してくれる彼等の新譜、そう焦らずとも大丈夫と、後回しにしまくってたら毎度の事ながらこんな事になってしまいました(スマヌ

前作でフロントマンとドラムスが John“JayCee”Cuijpersと Hans in't Zandtのオランダ人二人へチェンジした彼等ですが、なんと久しぶりにメンバーチェンジが行われず(!)本作は前作と同じメンツでのアルバム制作となっており、一体いつ以来の快挙なのかと驚かされましたよ(汗

そして、そんな充実したメンバー間の信頼があってこそなのか、本作のサウンドはある意味でこれまでで一番の問題作とも言える変化を示した冒険作と言えましょう。

前作の紹介の時にも述べたが、IRON MAIDENのトリビュートバンドで歌っていた姿と歌声がバンド勧誘への切っ掛けになっただけあって John“JayCee”Cuijpersの如何にもHMバンドのフロントマンと言うワイルドな風貌と、その野太く朗らかな王道HMヴォーカル・スタイルに違和感が隠せなかった訳ですが、本作ではAOR要素も巧みに取り込んでさらに音楽性が進化し、ストレートな80年代風HM歌唱を活かした、よりブライトでポップ、そしてキャッチーでフック満載な本作の楽曲は、これまでのマイナー調の憂いと翳り、そして哀愁のメロディが売りだったMANTISサウンドを一気に陽気さ漂うメジャーサウンドへ塗り替えてしまった、バンド始まって以来最大の異質さとさえ言える王道HMなイメージが色濃い作品となっており、旧来からのファンにとっては前作で薄々感じていた違和感が突如として巨大な壁になって目の前に迫って来たかのように思えるのじゃないだろうか?

ただ、個人的にはこのメジャーサウンドへ接近したポップ感とAOR風味増し増しの新機軸なMANTISサウンド、嫌いじゃありません。
っていうか、大好物な甘々サウンドだー♪(*´ω` *)

再結成以降、未だ彼等の最高傑作アルバムと呼ばれ続ける3rd『A Cry For The New World』'93 で示した哀愁の美旋律サウンドと繊細でウェットなメロディアスHMの方向性にいつまでも縛られる事なく、遂にここまでバンドサウンドを変化させた勇気と、さらなる進化を恐れなかった Tino&Chris Troy兄弟の飽くなき探究心に拍手喝采を送りたい。

勿論、全く以前の音楽性が失せた訳ではなく、本作でもセンチメンタルなメロディを奏でる華麗なツイン・リードが炸裂する“マンティス節”と疾走するHRテイスト、そして美しいコーラスを特徴とする湿り気を帯びたマイナー調のブリティッシュHM的メロディアスさは健在だが、本作に置いてはメインの音楽性として表現されてはおらず、この新譜では前々作からその影響の色濃さを増しつつあったAOR風味な柔和でコンパクトな楽曲、メンバー全員がコーラスを取るキャッチーで分厚いフックある歌メロ、さらにワイルドで朗らかな John“JayCee”Cuijpersのパワフルなガナリ声とHMらしいシャウトがもたらすメジャー路線でブライトな音楽性がアルバム全体のカラーを決定づけており、以前の哀愁のMANTIS節が程良くブレンドされた徹底的にヴォーカル・ライン重視の甘口メロハー&AORサウンドがバンドサウンドの基本へと生まれ変わっていて、そこには最早マイナーで不運続きだった日陰者なイメージもNWOBHM臭も失せている。

このサウンドの変化の影の立役者なのは『Sanctuary』'09 制作時より加入しバンドに馴染んできた Andy Burgess(G、Key)の一層の音楽的貢献が大きいのは楽曲制作クレジットを見れば明らかで、John“JayCee”Cuijpersという野太い歌声のパワフルな典型的HMシンガーを得た事によって Andy Burgessのインプットが加速し、結果的にそれらの影響を Tino&Chris Troy兄弟が否定せず受け入れ、よりポップでメジャーな方向へサウンドを変化させ、突き進むのを躊躇わなかった英断がなによりも評価されるべき事だろう。

古参ファン程、この新譜の方向性には戸惑いを覚えるに違い無いが、いつまでも同じ音楽性に留まっている事は死を意味するし、守りに入ったマンネリ作品を延々ファンに買わせるなんて不誠実過ぎると Tino&Chris Troy兄弟ならずともアーティストを自覚するミュージシャンならば誰もがそう思うはずだ。

メンバーが不安定なまま日陰者のマイナー調メロハー・アルバムを息も絶え絶えに再びいつ解散するかと危機感と不安に苛まされながら活動する彼等の姿を見るより、イメージチェンジしてでもメジャー志向なサウンドでメンツを安定させてバリバリ活動して欲しい、そう応援したくなるいつもいつもアンラッキーにつきまとわれている彼等なのです。

しかし、一度目の解散の後、新バンドを立ち上げメジャーレーベルと契約する為に四苦八苦し、音楽性もメンツも幾度もブレさせてさえ欲し試行錯誤し遂に手にする事が適わず歴史の闇へ消えたと思っていたメジャー指向なサウンドが、これだけの年月と苦難を経てまさか本作で結実しその姿を現す事になろうとは…古くから彼等の活動を追うファンならば涙無しには本作を聞けませんよね…(つд`)

当然、変化の代償に失ったものの大きさはファンならば即理解するでしょうし、幾分サウンドに深みや艶やかさが薄れ、若干楽曲にメリハリが欠ける感やHRバンド的にインタープレイが少な目だったり全体的にサウンドのエッジや勢いが失せた等々の不満点を上げだしたらキリがないが、願わくばこのまま安定したメンツで一日でも長く活動を続け、早めに次作を届けて欲しい、そう切に願うバンドなのでした……



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by malilion | 2018-10-23 00:07 | 音楽 | Trackback
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