オランダ産幻のメロハー・バンドEMERGENCYの唯一作をご紹介。

c0072376_14460479.gifEMERGENCY 「Martial Law」'88

'86年に結成されたオランダ産キーボード入り5人組メロディアスHRバンドによる'88年リリースの唯一作(スイスにも同名別HMバンドが存在する)がPICTUREの再発でお馴染みなマニア御用達レーベルDivebomb Recordsより16年に500枚限定でリイシューされていたのを思い出してご紹介。

少数プレスの限定盤だったはずだが、実は最近でも購入する事は可能な模様で、実際はその後も幾度か追加プレスされて最終的に1000枚以上は出回っているのじゃないだろうか?
まぁ、売れると分かっている商品をたった500プレスで終わらすような愚かな商売人はいないものね。でも、限定の意味ねぇ…('A`)

本作はリマスターが施されているもののリイシュー盤の常と言えるボートラや未発曲等の類いが追加収録されていない。残念…orz

ZINATRA、DEF LEPPARD等を手掛けた Erwin Musperのプロデュースの下、メジャーレーベルARIOLAからリリースされた本作は当時からメロハー愛好家の間では有名な一枚で、北欧HM風なキラキラしたキーボード、透明感あるメロディ、青さ丸出しだが爽快感ある分厚いコーラス、そして Pete Lovellのフックある歌メロとハードエッジがありつつスピーディでキレのあるコンパクトにまとまったキャッチーな楽曲と、ウェストコースト要素の正反対なマイナー調のウェットなメロディがメインなユーロ風AOR作や、ALIEN、TREAT、TALK OF THE TOWN、初期BAD HABIT、ZINATRA、SHY、初期EUROPE等にも通じるウェット感ある甘口のメロディアスHMな作風は実に日本人好みで、80年代北欧HMとNWOBHM風な荒々しさが程良くMIXされAOR風味がまぶされた、それらの要素が他の作風要素を一切スポイルすることなく奇跡のバランスで結実したサウンドは評価が高いのも納得の出来と言え、本作だけを残して歴史の闇へ消えてしまったのが本当に残念でなりません。

PICTUREの4th『Eternal Dark』と5th『Traitor』に歌声を残して脱退した Pete Lovellが本作に参加し、そのストレートでパワフルなヴォイスを遺憾なく発揮しているが、当時PICTUREが所属するレーベルからのプレッシャーで所謂産業ロック的な“売れ線”を強要され、嫌気がさして脱退したと聞いていたのに同じようなキャッチーでメロディアスなサウンドを演るEMERGENCYへ加入!? と、驚いたものですが、そのサウンドを今になって聞き比べてみると、PICTUREの『Traitor』は些かぎこちなさの残る産業ロック路線へ接近した中途半端なメロディアスHMだったのに対して、EMERGENCYの方はキャッチーながらも未だモダン化しておらぬ荒削りなNWOBHM臭がそこかしこに漂うオブスキュアなメロディアスHRサウンド、今で言う80年代北欧B級HM群に通じるマイナー臭漂うユーロテイストなメロハー・サウンドに近く思え、まぁ、確かに方向性が違うのですが…その微妙な差が Pete Lovell的に重要だったのかも…?

実際の所はきっと創作活動における自主的か強制されてか、というポイントが重要で、メロディアスなHMサウンドの方向性自体に嫌気がさした、って訳ではなかったのは、本作でのキャッチーでメロディアスな楽曲での、PICTUREでの活動を吹っ切るかのような生き生きした歌いっぷりを耳にすれば誰もが納得するのじゃないでしょうか?

今の耳で聞くと只の欧州風ハードポップなんですが、ギターだけちょっとメタリックな音を立てているサウンド、って程度で、スピーディな楽曲もメチャ速い(そもそもスラッシュメタルが市民権を得る前だし)なんて事はなく、昨今のハードだヘヴィだ、スピード&ファスト! なーんてゴリッゴリのHMサウンドの前では軟弱極まりないサウンドに分類されちゃうんですが、当時はDEF LEPPARDの『Pyromania』'83が全米でブレイクし、シングル「Photograph」が世界中でガンガンかかるのを皮切りにキャッチーでポップな耳障り良いブライトサウンドなHMが持て囃されていたバブリーで華やかな時代だったので、EMERGENCYのサウンドでも十分にハードなHMサウンドとポップサウンドの折衷HMサウンドとして通用したんですよねぇ~(*´ω` *)イイ時代だったなぁ…

あっさり解散していなければ輸入盤で評判になって、絶対に後々で日本盤もリリースされただろうに…活動ベースがオランダでなければワンチャンあったかもしれないと思うと、本当に残念でなりません。

メジャーレーベルからリリースされたのが災いしたのか、近年までリイシューされる事がなかった名盤ですが、今なら比較的確実に入手する事が可能な一作ですので、ご興味ある方は一度チェックしてみて下さい。

精巧なリプロ盤(海賊コピー盤)も存在するようですので、Divebomb RecordsのCDかどうかチェックした上でご購入下さい。


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by malilion | 2018-10-18 14:31 | 音楽 | Trackback
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