![]() 近年再結成され現在も活動中の、79年結成とオランダ初のHMバンドと言われている今やベテラン中のベテランバンドの長らくCD化が待たれていた6thアルバムが当時リアルタイムで唯一CDリリース作であった7thとカップリング2in1CD(楽曲カット無しで一枚へ完全収録!)にて待望のオフィシャル再発(!)となったので、そそくさとGET! オフィシャル再発は目出度いのだが、残念な事にデジタルリマスターでもなく、当然リミックス等の作業も行われておらず、ピチパチノイズが入る所をみるとマスター消失からの板起こし盤な疑いが強い残念な再発盤だ…orz まぁ、海賊盤を抜きにしてこれまでCDで聞く事が叶わなかった6thがこうしてリリースされたんだし、それだけでも良しとしましょう… これで彼等の再結成前のオリジナルアルバム7枚は全てCD化された事になるので、ともかく今の若いHMリスナーでも彼等の音楽に気軽に触れる事が出来るようになったのは喜ばしいですね(*´ω` *) なにせ他のオランダ産HMバンド達と比べキャリアでは一日の長がある彼等ですが、如何せん知名度が低いのです。ここ日本では特に。 オランダのHMバンドでここ日本で最も知名度があるのは、後に白蛇へ加入する Adrian Vandenberg(G)が率いていた日本人好みな哀愁のメロディと全世界的に旺盛を極めていたポップHM的キャッチーな楽曲が耳を惹くVANDENBERG、そして今やヨーロピアン・ロック・オペラプロジェクトとしてその名を轟かすAYREONを率いる Arjen Anthony Lucassen(G&Vo)が在籍していたVENGEANCEくらいで、あと幾つか有望なバンドが存在するもののさらにマイナーな扱いであった事は否めないだろう… PICTUREはそれらのバンド達より1世代は前のキーボード入り5人組バンドで、当初は70年代風な野暮ったいチープなHRサウンドを鳴らしていたが、NWOBHMの影響を受けてか2nd以降は作を重ねる毎によりハードエッジでウェットなメロディが冴えるユーロピアンHMサウンドへサウンドが磨かれ練度が上がり、そのままHM街道を愚直にひたすらファスト&ヘヴィに突き進むのかと思いきや、'85年リリースの5thアルバム『Traitor』でサウンドが一気にメジャー指向へ激変し、ポップ度とメロディアス度が増すと言う世界的な時流である煌びやかでキャッチーな産業ロック&ポップHM的サウンドへと様変わり(今から考えるとソレ程ポップでもキャッチーでも無い音なんスけどね…)し、デビュー当時からのファンを失意のドン底(汗)へ突き落としたのも今となっては懐かしい話ですね… 6th、7thアルバムはバンドがその売れ線のアメリカナイズされたサウンドへ最も接近していた時期のアルバムなので、これ以前のアルバムはマイナー・ユーロHMサウンドでイマイチ好みでない、という方でも所謂80年代的華やかでキャッチーなメロディアスHMがお好きな方なら気に入るだろうサウンドだと言えます。 もうお気づきかと思いますが、彼等がマイナーな存在であった理由の一つはこの音楽性の変化も大きな原因であったのは間違いないでしょう。 初期の彼等のサウンドが好きなファンは、ゴリゴリなハードドライヴィンでもない甘々にドポップでもない程々にメロディアスでスピーディな楽曲、男らしい無骨さとタフさが漲る単純明快なリフ主体の、メジャーレーベルがこぞってHMバンドを売り出していたメタル全盛期であるアメリカンでバブリーなイメージの80年代直前にだけ存在した、純粋で無垢、そして不器用で実直な、アンダーグラウンド臭も漂うオールドスタイルなユーロHMサウンドに胸焦がれたんでしょうから、ソレが一気に売れ線狙いなサウンドへ変化しては目も当てられなかった事でしょうねぇ… また彼等が今一つマイナーな存在に留まらざる終えなかった最大の要因は、バンドメンツの入れ替えが激しかった(立ち上げメンバーの Jan Bechtum(G)が追い出されたり、最終的にベーシスト Rinus Vreugdenhilだけ残る…)のに加え、アルバム毎にフロントマンが変わる、と言える程にヴォーカリストの変遷が激しいかったのが最大の要因なのは疑いようもありません。 実際、三代目ヴォーカルの Pete Lovellは『Eternal Dark』'83 『Traitor』'85に歌声を残して脱退(EMERGENCYへ加入)し、続いて四代目フロントマンとして迎え入れられたのが元VANDENBERGのリードボーカルだった Bert Heerink(6th時点では正式加入ではない…謎)で、彼の持ち込んだ音楽的影響が大きかったのか彼のブライトな歌声がそうさせたのか、『Every Story Needs Another Picture』'86からアルバムのメロディアス度がまるで別バンド(メンバーはレーベルの命令が不服で殆どのテイクをスタジオミュージシャンがプレイしたって噂、ホントなんですかねぇ?)のように一気にアップし、キャッチーでフックあるメジャーな80年代HMバンドに相応しいメロディアスHMサウンドを披露するに至ったのだが、これだけのサウンドの変化とバンドの変節についていける古参ファンは少なかったのか、さらにメジャー志向が強まった続く7th『Marathon』では、キーボードを大々的にフューチャーしたゴージャスなLAメタル風サウンドを披露したもののファンの支持は失せ、売り上げ的にも望む結果が得られなかった(そもそもレーベルがバンドに売れ線を要求しプレッシャーをかけたのが低迷の原因なのに…)のか、バンドはその活動を一端終える事に… 個人的には初期サウンドも後期サウンドも気に入っていたので、今回の再発はまさに待望、って感が強いのですが、改めてこうして本作に耳を傾けると、ZZ TOPのパクリ的なノリや、モロにDEEP PURPLEをパクったりが耳について思い出し笑いのような苦笑せざる終えませんでした(w 今になって思うのは、リフ主体の攻撃的な楽曲をベースにしつつ、女性バックコーラス等も活かし、如何にもメジャー的なアメリカンHM風要素を巧みに組み込み、ベースがマイナー・ユーロHRだったバンドがメンツを変え、フロントマンを変えして不器用ながら苦心してサウンドを流行にマッチさせ、アルバムの完成度を上げして、メジャーシーンの激流へ挑んだ作品と捉える事も出来て、実に感慨深いものがありますねぇ… 初期サウンド云々抜きにして、80年代のメジャーシーンを賑わしたポップでキャッチーなHMがお好みな方は一度チェックしてみても後悔はしないと思いますよ。 ここで述べましたように(未だに)マイナーバンドな彼等の旧作リイシューですので、そうプレス数も多くないでしょうから、入手困難になる前に素早くGETしておくのをお薦めします。 因みに三代目ヴォーカリスト Pete Lovellを擁するメンツで再結成を果たし、LIVE活動も行っていた彼等の最新のラインナップは、 Ronald van Prooijen(Lead Vocals):初代ヴォーカリスト Rinus Vreugdenhil(Bass Guitar):唯一のオリジナル・フルメンバー Jan Bechtum(Guitars):バンド創設者 Appie de Gelder(Guitars) Laurens “Bakkie” Bakker(Drums):オリジナルドラマー と、なっている。 もう皆いいお爺ちゃん、って風貌だが、気合い入りまくりでHMを今でも演奏し続けてくれているのが嬉しいですね(*´ω` *)
by malilion
| 2018-10-11 13:11
| 音楽
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