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シンフォから一気に演劇サウンドへ?! ドイツのCENTRAL PARKが7年ぶりの新譜をリリース!

シンフォから一気に演劇サウンドへ?! ドイツのCENTRAL PARKが7年ぶりの新譜をリリース!_c0072376_19182745.jpgCENTRAL PARK 「At The Burial Vault」'18

ドイツ産ネオ・プログレバンドの前作から7年振り、バンド結成35年目の節目作となる3rdがリリースされたので、ちょい遅れてGET!

デビュー作はEL&PにASIAをMIXしたような(本人達的にはYES、MARILLION的UKプログレ系サウンドとSAGA、ASIA的メロディアス・ロック的サウンドをMIXさせていると考えている模様)ポップでキャッチーな歌メロやフレーズ、そしてコンパクトな楽曲なものの、キーボーディスト Jochen Scheffterの自己主張の強い古典的UKプログレ風な鍵盤の音色やその重厚なプレイとサウンドが90年代初期風なモダンさも感じさせるバンドサウンドと少々ギャップがあったけれど、83年に結成されたにも関わらずなかなかアルバムデビュ-が叶わなかった焦燥感と抑え切れぬ熱き想いが伝わってくるような力作でした。

プログレ系には珍しく濁り声のフロントマン Heiko Mockelを06年の1st『Unexpected』では起用していた彼等ですが、11年の2nd『Reflected』で Jannine Pusch嬢なるフィメール・ヴォーカリストを迎え、より繊細なタッチの活かされた20分越えのシアトリカルな組曲も披露するモダン・シンフォ系サウンドへ進化した訳でしたが、個人的には女性フロントマンになった事でデビュー作で感じられた迸るようなロック的パワフルさや、ASIA的キャッチーさがそのサウンドや歌メロから著しく減退した事もあって、Jochen Scheffterもバランスを考慮したキーボードプレイを聞かせていただけに残念で、そして退屈な一作でありました…('A`)

で、久しぶりの新作なのに『葬儀場で』なる、暗さ爆烈なアルバムタイトルでちょっと不安になる本作で再びメンツ変動があり、長らくドラマーを務めてきた Artur Silberが12年にバンドを脱退した後、Holger Roderなる新ドラマーを迎えたにも関わらず、今度は特に癖もなくソプラノ主体の典型的フィメール声なもののパワーが無く歌唱スキルにも少々問題のあった Jannine Pusch嬢が脱退、代わって初代ヴォーカルの Heiko Mockelがフロントマンとしてバンドに復帰するがバンドメンツとの住まいの距離が離れていた事(ケルン在住)が創造的な作業を続ける上で大きな障害となり最終的には脱退し、15年秋、新フロントマンに再びフィメール・ヴォーカリスト Barbel Kober嬢を迎え、本作の創作に挑む事になった模様だ。

女性ヴォーカリストながらパワフル且つ濁り声などでドスのある歌声も聞かせ幅広い表現力と歌唱法を誇る Barbel Kober嬢のエネルギッシュな歌声は前任者より癖が強く好みが分かれる所だろうが、より複雑でシンフォニック、そしてテクニカルで重厚なサウンドへ進化したCENTRAL PARKの多様な要素を含んでいるバンドサウンドを表現するには彼女の歌声の方が適しているのだろう。

個人的には Barbel Kober嬢の歌声は好みじゃありませんし、低音ダミ声を多様するヴォーカルアプローチも(オマケにオバちゃんじみたルックスも…)好きではありませんけどね…

美声で美人のフィメール・ヴォーカリストをフロントに据えて、ってのがプログレ好きには多いように思うんですが、その点では彼等の選んだアプローチは余り受けないように思うなぁ…('A`)

デビュー作当時のASIAやEL&Pを感じさせるポップさやキャッチーさは本作に置いて殆ど姿を消しているのが個人的に残念でなりませんが、どうやらコレはオーストリアの劇場の舞台俳優 Ferdinand Pregartnerと協力して"Verbal Inferno Meets Rock Music"なる演劇を2017年に行い、その音楽にCENTRAL PARKが全面的に参加してた事が影響してか、より大仰で複雑、そしてダークでミステリアスなヘヴィ・サウンドへ、大きくバンドサウンドが変化した要因と考えられます。

まぁ、本作に置いてもデジタリーなアレンジや打ち込みリズム、そしてシアトリカルで不安を煽る様なヴォーカル・アプローチ等、常に前作で見られぬ新要素を加味してバンドサウンドを進化させ新たなサウンド形態やアイデアを具現化している点を見るまでもなくバンドはしっかりと“プログレス”し続けて“今”のサウンドへ挑み続けている訳だからプログレバンドとしちゃなんら間違った事をしてる訳じゃないんですよね。

ただ、その選択し進んだサウンドが初期に較べて大きく好みじゃない、ってのがネックなだけで…orz

また Ferdinand Pregartnerと協力しての小規模な演劇ステージの為にバンドサウンドを大きく変化さた結果、今までのロック的なサウンドアプローチを捨ててジャズやスイング等の要素を加えたアコースティック・サウンドをメインとするパフォーマンスや方向性が好みで無かったのか Holger Roderは17年後半にバンドを脱退し、代わってアフリカン・ビートに精通している Arnold Zohrerなる新ドラマーをバンドは迎えている。

そして、今後バンドはこの演劇ステージで選択した凝った構成のアコースティック・サウンドをメイン(!?)とするサウンドで活動するらしい……(汗

以前のようなロック形式のLIVEには12年に脱退した Artur Silberが時間が許せばヘルプでドラムを叩いてくれるらしいが、ロックパフォーマンスより芸術的なミュージカル・サウンドに近い、ジャズとロックを融合させたサウンドをメインとするバンドの次なる新作が出るとしても…ちょっと…購入するかどうか悩みますね…

次はプログレ・フォークのカテゴリーなサウンドになるんかなぁ…?

美声のフィメール・ヴォーカルものがお好きな方や、以前のようなASIA的なポップでキャッチー、そしてEL&P的な古典的プログレなシンフォサウンドをお求めの方は本作に手を出さない方が無難でしょう。

相変わらず所々で美しいピアノやキーボードの音色は聞こえるものの、久しぶりに届けられたアルバムが大きくガッカリな方向性のアルバムでちょっと悲しいです…(つд`)




by malilion | 2018-08-25 19:13 | 音楽 | Trackback
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