GEKKO PROJEKTが発展して生まれたUSシンフォ新バンドBOMBER GOGGLESをご紹介。

c0072376_14223563.jpgBOMBER GOGGLES 「Gyreland」'18

元SPOCK'S BEARDのドラマー Jimmy Keeganを迎えてカリフォルニアのロック・トリオが新たに結成した4人組USシンフォ・バンドのデビュー作をGET!

と、言っても全くの新人と言う訳ではなく、むしろ古参ミュージシャンを中心に元のバンドから発展して新バンドへと移行した、と言った方が正しい状況だろう。

本作の中心人物である Peter Matuchniak(Guitar&Vocals)は、MARILLION、PENDRAGON、IQ、TWELFTH NIGHT、PALLAS等と同じく80年代初期に結成され活動したUKポンプの先駆バンドの1つJANYSIUMの中心人物である英国人ミュージシャンで、そのDURAN DURAN meets GENESIS×CAMELと例えられるニューウェーブ系の影響が強いサウンドが好評を博したJANYSIUMは断続的な活動を続けるものの00年で活動を終え、その後に Peter MatuchniakはEVOLVE IVなるロックバンドを結成し1枚アルバムを残したがバンドは開店休業状態に陥り、次いでGEKKO PROJEKTなるUSシンフォ・バンドを立ち上げ12年、15年にシャープでテクニカルなアンサンブルが織り成すメロディアスで繊細な楽曲が美しい2枚のアルバムを残している。

因みにそれ以外にも Peter Matuchniakは2枚のソロアルバムをリリースしているので、本作のギターサウンドが気に入った方はチェックしてみるのもいいかもしれない。

本作はそのGEKKO PROJEKTの3rd制作時の Peter Matuchniakの構想が発展し、GEKKO PROJEKTのバンドメイト Vance Gloster(Keyboards&Vocals)はそのままに、新たに Steve Bonino(Vocals&Bass)を加え、新ロック・トリオとしてコンセプト・アルバムの制作を進めている最中、ドラマーにSPOCK'S BEARDを脱退したばかりな Jimmy Keeganを迎える事で新USシンフォ・バンドの体制が整い、デビュー作をリリースするに至る、という流れらしい。

そういう経緯もあってかGEKKO PROJEKTのサウンドに似た、US産バンドらしいカラっとした抜けの良いサウンドのシンフォ・コンセプト作で、USモノお約束のオッサン声ながら分厚いコーラス有りの、メロディアスでスピーディーな楽曲の所々にダークでミステリアスな英国的叙情風味が仄かに香る、ちょっとジャズっぽいシャレオツなサウンドや儚くロマンチックなサウンドなんぞも垣間見える、US産シンフォ・バンド作のアルバムとしては少々毛色の変わった独特なサウンドの一品と言えるだろう。

本作のコンセプトは、海に大量に浮かぶプラスチック片が造りだした架空の土地、浮遊大陸『Gyreland』と、そこへ逃れた人々が織り成す社会と訪れる危機が描かれたSFチックな物語だ。

1985年から1988年の間に発見された北太平洋中央部の海洋塵粒子の渦巻き“Gyre”や、海洋に浮遊するプラ片の量は膨大で、海流によってプラスチックが集まり、一説にはテキサス州に相当する広大な海面を帯となり、渦巻き、覆っている事実が、本作の創作インスピレーションなのは明らかだろう。

『Gyreland』の物語は、亡命者、流出者、難民がGyreとして知られる海流によって捕獲された膨大な量のプラスチック廃棄物をどのように発見したかから始まる。
人々は何とかそのプラ片で出来た大陸に家々(!?)を建て、その場を“Gyreland”と名前づけ暮らし出す。

『Gyreland』では人々が話し合う事無く知識を互いに伝達可能なテレパシー能力が発現し、人々は迅速な意思疎通のお陰もあって前例のないスピードで建築、開発が進むのだが、その事実は環太平洋周辺の国々の関心を集める事となり、特にロシア、中国、米国が強い関心を示し、遂に『Gyreland』へ三カ国の軍から成る侵略同盟軍が派遣される事になってしまう。

人々はその動きに抗議するものの『Gyreland』は軍隊や武器を持たぬため、侵略が開始されれば為す術も無いのは明白であった。
争いを避けて新天地へ集った人々なのに、三カ国は望むものを手に入れたら互いの同盟を破るつもりなのを予想し、さらなる争いが『Gyreland』を中心に起こる事を嘆き、悲しみます。

そして、侵略軍が『Gyreland』へ到着するのだが、兵士達がプラスチックの地面に足を踏み入れるにつれ、奇妙な事が起こる。
彼等も共同体の感覚と知識を得て、『Gyreland』の人々と心が通じ合い、武器を捨て、平和を望む共感力に圧倒されていく。
理由が何であれ、侵略者達は軍を放棄し、人類史上の新たな転換点である『Gyreland』の人々に加わっていく……

と、最後ちょっとご都合主義というか理想主義的ロマンチックな流れながら、しっかり深刻な海洋汚染の環境問題や不穏になりつつある世界情勢も描いてみせる、如何にもプログレっぽい小難しいテーマを中心に据えたファンタジックなSF物語だなぁ、と(*´ω` *)

コンセプト作ではあるものの映画的な大仰な楽曲やSE等の演出は行われておらず、小曲を織り成す事でコンセプトを表現する、という手法でアルバムは構成、表現されているので、その手のコンセプト作が苦手な方でも、別段コンセプトを意識せずとも楽曲を楽しめるのは良い点でしょう。

勿論、欠点がない訳ではなく、ヴォーカルのレベルが楽器演奏者の兼任レベルで、つまりポンプやプログレバンドでよく聞くヘタウマなヴォーカルより多少マシな程度に聞こえるレベルなのが、バックのサウンドがなかなか気品あって艶やかで美しく、その上モダンでシャープな完成度高いサウンドなだけに少々残念かな、とは思いましたけどね…

Peter Matuchniakのファンは勿論のこと、GEKKO PROJEKTの新譜を待ち望んでいたファンの方などにもお薦めな一作なのは間違いありませんので、ご興味あるなら一度チェックしてみてはいかがでしょうか?


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by malilion | 2018-06-30 14:16 | 音楽 | Trackback
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