DREAMTALE 「Seventhian... Memories of Time」'16
HELLOWEENを源流に北欧で発展してきたSTRATOVARIUS & SONATA ARCTICA直系バンドであるフィンランド産メロパワ・バンドの前作『World Changed Forever』から3年半ぶりとなる、通算7枚目のアルバムを今頃ご紹介。 いや、CARDIANTの4th聞いてたら同郷バンドの彼等の事を思い出して、そういえばレビューを放置してたなと気がついたので…(汗 デビューから4thまで毎作シンガーが異なるなどアルバム毎に顔触れが変わるメンバーチェンジの激し過ぎたバンドだったが、近年は安定した布陣で順調な活動が続いていたのに、再び本作でデビュー前のデモからの付き合いだったドラマー Petteri Rosenbomから新人ドラマー Janne Juutinenへ交代している。 フロントマンの交代劇はもう勘弁と言うファンの声が聞こえて来そうな中、ドラマーの交代ならサウンドへの影響は最小限で抑えられそうなのでファンはともかく安心だろう。 三作続けて同じメンツでの製作とは成らなかったものの創作体勢は安定している模様で、キャリア初の2枚組スタジオ・アルバムとなった本作でも、北欧バンドならではの叙情性と疾走感を湛えたメロディアスなユーロピアンHMサウンドを余すところなく披露していて、デジタリーでモダンなキーボードの音色、前作でも比重を増してきた勇壮な雰囲気、そしてジャーマン系HM的なスピードとタイトでヘヴィなサウンドがバランス良くMIXされた楽曲は、デビュー以来変わらぬマイナーな臭気を放ちまくるB級メロパワ・サウンドな音楽的方向性のままに、そのサウンドスケールとメロディーの魅力がいっそうに磨かれ輝きを増しているのが分かる('(゚∀゚∩ ただ、本作のサウンドが02年デビューとキャリア15年を超えるベテランになりつつあるバンドの作品と考えると、手放しで褒め称えるような状況ではないのはファンならずともこの新譜のサウンドを耳にした方なら誰しもが思う事だろう。 曲作りやアレンジ、プレイスキルやソロの聞かせ方等々アルバムを重ねてる毎に着実に成長しているのだが、そのキャリアに相応しいレベルに達していないというか、イマイチ垢抜け無いと言うか…う~ん…本作も悪くない出来なんだけど、やっぱりB級マイナーな殻を打ち破れていないという感想に落ち着いてしまうのがなんとも悲しい(つд`) メロパワというジャンルとしてはイマイチ音が軽いからか、派手で軽めなキーボード・サウンドが原因なのか、未だに線の細さを隠せずパワー不足で不安定なヴォーカリスト Erkki Seppanenの歌声がマイナー臭さを助長する為か、はたまたその全てが複合的に絡み合ってなのか…(汗 個人的に彼等のマイナー臭いツーバスドコドコな北欧メロパワ・サウンドが身を捩る程(笑)に大好物なだけになんとも歯がゆいのですが、やはり聞き終えての感想は『やっぱB級なんだよなぁ、ソコがイイトコでもあるけど。……でも、このキャリアでこのサウンドはヤバくね?』と、いう毎度の感想に落ち着いてしまう。 前作は Akseli Kaasalainenが操るキーボード・サウンドがリーダーの Rami Keranenがプレイするギターよりややもすると目立っていたのが特徴であり、その派手で煌びやかな音色を多用するセンスの良いシンセ・サウンドが大々的にフィーチャーされ、音数多く流暢なキーボード・ソロ等のサウンドがエピカルな雰囲気を阻害している原因かとも思ったが、本作ではギターがサウンドのイニシアチブをしっかりと握りキーボードは控え目な扱いになっているにも関わらず“軽い”という印象が変わらぬ点を見ても戦犯はキーボードではないと断言出来る。 むしろ派手にギターとキーボードがバトルを繰り広げる方がメロスピ的にもアピールポイントになるし、個人的には4th『PHOENIX』から加入したキーボーディスト Akseli Kaasalainenは今やこのバンドサウンドの両輪と言っても過言ではない貢献をしていると思うので、彼だけは今後も抜けないで欲しいなぁ…ホントに… それと毎度の事ながらアルバムの音質もソレ程良い…いや、寧ろ悪いと言った方が正しいだろうし、もしかしたらスタジオにおいての録音技術や環境にサウンドの軽さの要因があるのかもしれない…後は誰か良いプロデューサーに巡り会えたならこのサウンドの問題が解消されるのかも? ツーバス疾走曲やアップテンポなノリのいい曲、派手なギターとキーボードのソロ、どの曲もフックあるリフや耳を惹くメロディーがあって、しっかりとキャッチーな歌メロと盛り上がるコーラスもフィーチャーされている、と箇条書きにするとコレで受けない訳がない、ってくらい日本人好みなクサメロの欧州型メロパワ・サウンドな模範的サウンドなんですけどねぇ… ただ、無理矢理に今風のヘヴィサウンドへ進化したとしたならば、この日本人好みなオールド・スタイルなB級メロパワ・サウンドが壊れてしまうのも容易に予想出来るだけに、なんとも悩ましい…('A`) もう一枚の方の現メンバーによる1st~4thまでのアルバムから選曲した過去曲再録アルバムは、オマケ的な扱いとは言えバラバラなフロントマンによる歌声だった楽曲を Erkki Seppanenの歌声でイメージも新たに纏まっていて旧作を全て持っているコアなファンも新鮮な感覚で再び以前の楽曲を楽しめるし、新規ファンへ向けてはバンドの歴史の手引きとも言える風に仕上がっていて、本作のオマケ的な扱いにするのが惜しいくらいだ。 メンバーチェンジは激しいもののコンスタントにアルバムをリリースしてきたお陰でか未だに国内盤がリリースされ、デビュー当時のSONATA ARCTICA系の北欧HMバンドと言うイメージがどれだけ大きく国内市場で有利に働いているのか分かると言うものですが、今となっては若いHMファンへの訴求力がイマイチなバンドだと言われても返す言葉がない状況(そもそも本家のSONATA ARCTICAの人気が…)だとファンながらに同意だし、この新譜も『大好評でプレス追加!』なーんて事になってないのは重々承知しておりますが、次作も国内盤リリースされるとイイなぁ… 月並みですが、次回作こそはもう1ステップ上へ駆け上がる飛躍と奮起を期待したい所ですね。
by malilion
| 2018-05-24 08:27
| 音楽
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